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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載182)
「30だけど17です」第21話(そばにいる資格)④
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
あの日はヒョンテもウジンも、ジェニファーもお腹をかかえ、雨に濡れながら病院に駆け付けたのだった。
緊急オペのメスを握ったドクターはジェニファーの前に立った。
「残念ですが…」
とだけ答え、歩き去った。
ジェニファーの夫もソリの仲良しだったノ・スミと共に事故死した2人のうちの1人だったのだ。
あの日、死んだ夫とともにジェニファーも心の輝きを失ってしまったのだった。
「あれ? どうしたんです? 目から涙が…」
チャンの言葉にジェニファーは答えた。
「大丈夫です…私はいつも大丈夫です…」
ソリは心配そうにあらためて訊ねた。
「本当に?」
目を濡らしたままソリを見てジェニファーはコクンと頷いた。
ソリが怪訝そうにジェニファーを見つめていると、チャンは指を鳴らした。
「そうだ。叔父さんとは何の話を?」
★★★
「…」
「ジェニファーに呼ばれたと言ってたんだけど」
ジェニファーは答えた。
「ミスター・コンを呼んだ覚えはありません」
チャンは首を傾げた。
「確かにそう言ってたんだけど…」
チャンの表情は固まった。
二階を見やり、駆け上がっていった。
ソリもついて階段を走り上がる。
ジェニファーも後をついて上がる。
チャンはウジンの部屋に駆け込んだ。入口横の洋服ダンスを開いた。
ハンガーにかかった衣服に乱れはない。
「そのままだ…」
後ろでジェニファーが言った。
「荷物があるなら、遠くへは行ってないはずです」
3人が思案顔になっているとポロッと何かが下に落ちた。
下に転がっているのは丸筒だった。
ソリは小さく声をもらした。
見覚えのある丸筒だったからだ。
ずっと昔に同じ物を見た記憶があった。
覚えているのはその人の後ろ姿とこの丸筒だった。
ソリは声かけてずっと追ったが、その人は雑踏に紛れて消えてしまった。
チャンが拾ってしまおうとしたらソリが呼び止めた。
「どうしたの?」
ソリは怪訝そうにするチャンから丸筒を手にする。
間近で丸筒を確認してソリは訊ねた。
「あの〜、韓国で学校に通ってた頃のおじさんの写真はありますか?」
チャンはその頃のウジンの写真を集めてソリの前に持ってきた。
食い入るように写真を見てるソリにチャンは訊ねた。
「なぜ、昔の写真を?」
あの人だ…
ソリはぼんやり記憶の中に滑り降りた。
あの時のバスで一緒だったあの人だ…
写真を見ているうちにウジンの姿がそこに重なってくる。そして彼の言っていた言葉も一緒に…
― この次のバス停で降りてください。
「昔、僕は―ある少女に取り返しのつかないことを…とても怖かった。また誰かの人生に首を突っ込んでしまうかと思って」
そう言って、ウジンは自分を涙を浮かべて抱きしめてきた。
あの時、彼ははっきり口にした。
「ウ・ソリだった。生きてたのか。生きてたんだ」と。
以来、おじさんはしばらくの間、自分と目を合わそうとしなかった。
写真を見つめるソリの目に涙が溢れた。それは頬を伝って床に流れ落ちた。
「私のせいみたい…私のせいで、いなくなったみたい…」
チャンは訊ねた。
「どういうこと? おばさんのせい?」
チャンは明るい顔で否定した。
「大丈夫。荷物もあるし、どこへも行ってませんよ」
チャンはチケットポケットから何やら取り出した。ソリに見せた。
「ほら、パスポートも破ったから、海外には行けません」
「…」
「だから、安心して」
パスポートを見てジェニファーが言った。
「それは使えないものです。有効期限が切れてます」
有効期限を確認してチャンはうな垂れた。
「本当に出て行ったのか…」
その頃、チャンは空港にいた。
旅券受付の職員は訊ねた。
「行き先はどちらです?」
迷っているウジンに職員はもう一度声をかける。
ウジンは漠然とした声で言った。
「一番遠くへ行ける早い便を」
そう言ってパスポートを提出する。
考え込んでいたのはソリがプレゼントしてくれたイヤホーンのせいだった。バイオリンの音楽も聴けるイヤホーンがいいか、何も聞こえないイヤホーンがいいかを考えていたのだった。
パスポートがウジンの手に戻される。パスポートを抱えてウジンは歩き出す。
歩きながらウジンは今は聞こえないイヤホーンを耳に押し込んで歩き出していた。
ソリは外に飛び出した。追いかけてきたチャンと共に通りでタクシーを拾って飛び乗った。
「仁川へ」
「夢じゃなかった…」
チャンはソリを見た。涙を流し続けながらソリは呟いた。
「夢じゃなかったのね」
自分の枕元にいたのは夢の中のおじさんじゃなかったのだ。
― おじさん、どうしたの?
― …
― すごく眠くて…
― うん。ゆっくりお休み
そう言って、おじさんは額にキスをしてくれた。
あれは夢じゃなかったのだ。
その後、おじさんはそっと部屋を出て行った。
「お願い」ソリの声は悲嘆に暮れていた。「お願いだから、行かないで」
空港への道は遠くもどかしかった。
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