日々新化、ランニングする整形外科医

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マラソン3時間切りを目指す整形外科医の日常から想うことを中心に発信していきます。

正しい歩行とは?

2023-07-02 14:10:20 | 骨格

そもそも正しい歩行とは何でしょう?

 

答えはないかもしれません。前回動作の評価の話をしましたが、歩行という動作自体が関節可動域をそこまで出さなくてもできてしまうので自分の使いやすい方向に代償作用が起きているのではないかと思っています。私自身も勝手に得意な方だけ動かして一部を動かさないようにしていると思います。走る位大きく動かすと改善した方が良い部分も見た目に分かりやすくなると思います。ですから私見にはなりますが走動作のフェイズを歩行動作に落とし込んでも良いのではないかと思っています。ですから歩行動作でも明らかに改善すべきところが分かりやすい時はそもそも走ること自体難しくなっているかもしれません。逆に走動作の判断の難しいところは動きが速いので動作解析で一部を見にくいところです。

 

とにかく正しい歩行は敢えて言うならその人の関節の動く中心で動ける関節の数がどれだけ多いかではないでしょうか?関節もたくさんありますし、形もいろいろですのでどう動くべき関節であるかは形状に由来します。

 

以前からしつこくお話ししていた股関節は

こんな形をしていますが、形状的には球関節です。丸い受け皿に丸い骨頭がクルクル回る構造をしています。クルクル回るとは極端に言えば

こんな感じでとらえると、受け皿の中心でズレずに球体が回ることが関節に負荷をかけずに動けていることになります。ですが他の関節と共同して動く時、容易に中心からずれて動く可能性があります。意外と関節の中心で動くというのは難しいことが分かると思います。動きが小さければ多少ずれていても目立たなかったり、一部を極力動かさないで悪影響を最小限にできますが、本質的には中心で動いて、全体的な動きの中でバランスを取れて動いていることが一番無駄なく効率的に動いているのだと思います。

 

人によって球関節の回旋の大きさは異なると思います。それは骨格の特性によって異なっているのでしょうね。今回はここまでにしておきます。

 

 


運動療法の評価とは?

2023-07-01 14:00:24 | 日記

学会後で改めて思うのですが、運動療法が良い事をどう表現するかの難しさに改めて直面したと思います。

 
なぜなら基準となるものがほぼないからです。どういう動きが良いかという基準がないのです。ですから、動作に基準を作るべきですが、ここにも問題があります。動作自体が動いているので、基準を作りにくい事です。これに関しては医療の領域では限定する意味で歩行にする事である程度可能になります。
 
 
歩行の中の動きをどう分解するかですが、共通の局面を作らないといけません。その上でそれぞれの動作の局面を言葉を用いて分けるにはある程度の範囲が必要ですので動作の時期を分けて言います。期分けをするので期分けの範囲があります。その期分け、局面をフェイズと言います。どのように分けるかでどういう形が取れているか?ここで初めて良いか悪いかの議論が成り立ちます。ただそのフェイズもきちんと共通認識にされてない、現存の歩行分析のフェイズで議論が成り立つのかが問題としてあります。
 
一応歩行のフェイズでおそらく共通していると思われる項目です。ですが動作ですのでより細かく言った方が正しい議論がしやすいですが、まずはこのフェイズだけでも覚えていただけると嬉しいです。右足接地のみを見て言っていますが、フェイズとして述べる時議論するためには片脚の動きがどうなっているかで議論するしかないと思います。例えば跛行がある場合、右と左で動き方がかなり異なります。この際それぞれの脚の同じフェイズでの違いを見ないと歩行の改善策を見つけにくいと思います。
 
その上でどのフェイズでどういう形をとっているか?
 
ここでも難しさがあります。例えば右脚の初期接地(イニシャル コンタクト)の図ですがこの時足関節、膝関節、股関節の角度、重心の位置が微妙に異なるだけで動きが異なります。病的で明らかな場合は良いですがこの微妙な差をどちらが良くて悪いかは、数値化して言うことが難しいことです。
 
なぜそうなるのかはその個人の状態や個人個人での良いところの角度に差があり、どこが正しい角度というように数値化が難しいことです。ある程度この範囲内ということはできるのかもしれませんが、そもそもその人が正しく歩けているのか、もっとよく歩くことができていれば今が正しい数値ではないとも言えます。
 
採血データですと正常値がありますが歩行フェイズでの関節角度の正常値を求めようとするとある人にとっては正常値でもある人にとっては異常値みたいなことも生じてしまうのです。数字は比較して見やすい項目ですが、骨格運動自体が連鎖して動き、骨が200個位と多数あることからもその変量が多すぎるのが数字で表すことに難しさを生じさせています。ですから単純に良いか悪いかを言いにくいのだと思います。
 
難しい話になった所を最後まで読んでいただきありがとうございます。でもこれをどのように分かりやすく言ってしまうか?別の目線が必要だと感じました。