飲み終わった紙コップを握り潰す
普段、決してそんな事はしないのに・・・
母が待っている、早くリカバリールームに戻らないと
私が居ないと不安がる
いつもおどけて憎まれ口叩いて
そんな母だけど、不安なんだろう
付き添いも一人のはずだったのに、私に泊まってほしいと言う
私だけが泊まると言うと、一緒に泊まると言って聞かない
母も不安なのだ・・・心配でたまらないのだ
リカバリールームの父は、明け方から少しだけ眠りについている
やっと痛み止めが効くようになったようだ
痛い・・・痛い・・・
そう呻くように言う父を、私は初めて見た
我慢強いというのか、腎臓結石が暴れて七転八倒の苦しみでも
身体を丸めて耐える父なのに
呼吸器と沢山の計器類につながれている父
なんと弱弱しい
私にとって父は、強くて優しい人だったはずなのに
そこに横たわる人は、77歳の老人だった
ああ・・・そうだった
人は皆、年老いていくんだ
癌でなくても、あと10年・・・いや5年・・・
私は父の最期を見とどけなければいけない
それが子供としての私の役割
最後の親孝行なのだろう
新潟は今日も青空だった
ヤマボウシが風に揺れていた
※夢と現実の狭間で・・・・・