東森英彦の反逆者日記

思い付きな日々の追憶

「スタイル」

2011-10-15 01:12:03 | 相棒との会話シリーズ
ぶぁ、何だよこれ。スーってする茶かよ! まるで近所の悪ガキを見る様な面持ちで、女は振り返った。「ジャスミンティーよ、それ。それよりちゃんと説明しなさい。」 説明?何をだよ。ちゃんと仕事してきたぜ、標的も間違いなくアイツだったし。「それは解ってるわよ。私が言いたいのは、今回の依頼とは別に何故もう1つの死体が出来たって事」 あ、それか。簡単な話なんだよ、ソイツは死んで当然だから。いつもの通り指定の場所に早めに行ってさ、俺なりに様子伺ってたんだ。下調べっていうか…以外だろ!?俺にも神経質な所あるんだ。罠って場合もあるし。そー考えるとこの商売、避妊せずやっちまう様な感じだな!? 依頼人や標的の事余り知らずに危険な事するんだからよ。 「いいから、せ・つ・め・い!」 あ~はいはい、時間になると標的が情報通り出て来たんだ。罠も何にもなく。そして俺は事を成し得ようとしたらさ、何と標的が通り魔的追い剥ぎに逢ったんだよ。「ふ~ん…大体話見えてきたわね、それで?」それで!? それでも何も、もう俺は道具持って出ちゃってるし、やるしかないよな!?とりあえず、そ
の追い剥ぎ野郎を始末して、標的をきちんと始末したよ。結果的に今回の依頼内容より1人増えちゃったけど、あんな野郎は世の中の為には居なくなって良かったんじゃねぇか!? 「…そうね、私少し解らない所あるんだけど?」 スーってする茶を啜りながら女は言う。「何で先に、可哀想な追い剥ぎをやったの?仕事的には標的が先なんじゃないのかしら?」 だってお前、いきなり見ず知らずの男が、見ず知らずの男に追い剥ぎされてるんだぞ!?そんな事許されてたまるかよ! だから俺は引導を渡してだな…女は解った解ったと手を振り「わざわざ助けてあげてから始末したのね。お優しい事ね」 そんなんじゃねぇよ。何か、俺は仕事で手を染めてるけど、それは依頼内容にある標的だけ。あの野郎は誰でも良かったんじゃねぇか!?『よし、あと3人目の奴を襲おう!』っとか。ふざけんじゃねぇよ、そんな行為は俺のプロ意識が許せねぇんだよ。「ふ~ん、ま、どっちが先だなんて別にいいわよね。ちゃんとアンタは仕事をしてきた。ご苦労様」女は立ち上り言った。「ジャスミンティーが駄目なら、違うお茶入れてあげよっか?
」     …それどんなやつ!?
「ローズヒップよ」 あ…う~ん…やっぱやめとく。意地の悪い顔をして女は笑った。