僕が大学の頃に発表された小説の中に堺屋太一さんの『油断!』(ゆだん)があった。日本に原油が入ってこなくなると言う衝撃的なもので、名を伏せた官僚が書いた小説という事でも結構話題になった。血気盛んな頃だったので役人の小説なんか読めるかと無視を決めた覚えがあるが、我ながら単純・単細胞的発想で嫌になる。
第一次オイルショックから題を取ったものだと思うが、結末が悲惨なので直後の発行を遅らしたと聞いた。オイルショック前に構想を練っていたとしたら大した先見性だと思う。このお蔭で経済は悪化し、2~3年後の就職状況は最悪と言われた。僕の場合、人様より2年遅れで卒業したのが幸いしたかも(笑)。
普段は普通にあるものが突然無くなるという経験は何度か覚えがある。阪神・淡路大震災では家は全損状態となり、東日本大震災では停電だけで済んだと思ったら、スーパーの棚から物がすべて消えた。普段から備えないと駄目なのは身に浸みて判っていた・・・はずだった。
4日に上陸した台風21号は8月末には存在がPRされ、規模も大きい上に恐らく関西直撃が判っていた。その前の20号も神戸・明石間に上陸し、後輩クンの屋根が飛んだり、西宮でも山側の友人宅はしばらく停電したと聞いていた。こういうのを自分の事として捉えないと危機感は欠如する。親しい人達がエラい目にあったので、充分に意識していたのだが。
この日は昼過ぎから風が強くなったが、台風に網戸を洗ってもらおうと雨戸を開けっ放しという舐めた態度に出たワシ。神戸に上陸直前で風が弱まった13:55、突然電気が消える。真昼間と雨戸を開けていたのが幸いし、暗闇パニックには至らず。10分後くらいに通電したかと思ったらまた停電する。
東日本大震災で愛用したガスランタンをと思ったが、まだ引っ越し荷物のどこかに(笑)。準備に真剣実が無いとこういうことになる。ワンコの散歩用ライトを頭にセットし、ロウソクを探り当てた。その後、台風は日本海に抜けたが夕方になっても電気は来ない。ちょっとこれは想定外だったな。
頼みのPCはルーターが停電で使えないので、モバイル用に切り替えたが充電が不十分、PCにつなぎ騙し騙し使うが1時間ほどでバッテリー切れ。携帯のワンセグでニュースを見ては直ぐに切り節電することにしたが、日が暮れても流すニュースは台風の一番ひどかったときの画像ばっかり。こっちが知りたいのは電気の情報なのに高波の画面ばかりで嫌になる。
大昔、山で愛用していたフランス製のヘッドランプでワンダーって奴はバッテリーケースからコードを抜くとケースそのものが懐中電灯になるという優れモンで一世を風靡した感があるが、入手し難い専用バッテリーが難点だった。山屋には単三3本用に改造している人もいたくらいだ。それ位気付けよ、フランス人。
この山屋御用達のワンダーより遥かに明るいのが今のLEDヘッドランプ。普段は明るすぎるので、照度を落として使っているが最大照度で使用しても連続で60時間持つと言う。買ってからまだバッテリー交換をしたことが無かったが全く問題なく手元を照らしてくれた。
その夜、蒸し暑くなってきたがエアコンは死んだままだし、シャワーも温水が出ない。油断、いや湯断?を想定しなかった自分が悪い。そして22:30PM辺り、突然部屋が明るくなり通電完了、文明の有難さを思い知る。翌日、ワンコと公園に行くと松の大木が折れていた。8時間で復旧した停電も、市内全域の完全復旧まで2~3日かかり、改めて自分の認識が低かったことを反省した。
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