それを何度か繰り返し客が沸いてきた頃、Sam Moore登場。目の前を歩く彼に思わず握手の手をさし出す。Samの手は柔らかくちょっとひんやりとしていた。歌が始まると魅惑され続けた。圧倒的な迫力で迫るかと思えばハイトーンのファルセット。すごい爺さんだ。ヒット曲を次々にやってくれた。
彼のヒット曲ではなかったと思うがSoulの定番Knock On Woodや、比較的新しい、Daveとでなく有名なカントリー歌手Conway TwittyとのデュエットRainy night in Georgiaなんてのも。Soul Sister, Brown Sugarでは客と掛け合いもあり、最後にやった黒人女性の上手いこと(周りに聞くと、どうも仕込みだったようですな。)奥の方にLEOさんがいたので、もし隣に座っていたなら押し出したかった。残念無念。日本にもこんなSoul Singerがいることを知って欲しかった。
女性ヴォーカルにマイクを譲る場面もあったが、それによって体力をセーブしようという、大御所のライブにありがちな手抜きではなく、全力投球しているのがはっきりと感じられた。I Thank Youを歌う時になり、『若い頃から僕のファンだった日本人を紹介する』と言いだした。なんと療養中の忌野清志郎が登場。大声でシャウトするなど元気な姿を見せた。清志郎ファンの皆さん、ご安心あれ。髪も7分刈りで、彼が妖怪大戦争で演じたぬらりひょんやぼーずの頭よりよっぽど黒々としてました。きっとまた元気で歌う姿を見せてくれると思う。
もう一組その後に呼ばれたのがゴスペラーズとかいう若者たち。彼らにはちょっと苦言を呈したい。SamがSly & Family Stoneの名曲Dance To The Musicの頭『俺たちが欲しいのはドラマー。ビート好きにゃたまんねぇ』と歌い出した。それなのに彼らの一人はLa lalala La~とダンス天国に持っていこうとしたのだ。
歌詞を知らなけりゃ黙っていればいい。Samはそれに乗らず『ギターも忘れちゃだめさ、ステップ踏ますにゃこれだろう』と続けこの名曲を歌い切ってくれた。ダンス天国にメドレーで移る打ち合わせはなかったと見て良い。あの若者はこの演奏をどうしたかったのだろう。確かにイントロは似ているが、R&Bをやるなら、これ位は知っていても良い。その後、リードヴォーカルらしき兄ちゃんが一曲披露してくれたが、Samの声が被ると違いは一目(一聴か?)瞭然だった。もーちょっと若い人には頑張って欲しいですなぁ。
こんなことがあったとはいえ、客を乗せてはその後バラードで落ち着かすベテランの選曲には参った。When Something Is Wrong With My Babyをしっとりと聴かされた時には思わず涙してしまった。周りが暗かったことに感謝だ。そして最後はビリー=プレストンの名曲 You Are So Beautifulだった。ヒット曲をアンコールの隠し玉に残すようなこともせず、2時間以上歌い切ってくれた。お決まりのアンコールが掛からなかったのは、全力を出し切ってくれたことが皆判っていたからじゃないのかな。
LEOさんが彼女のブログでも書いておられたが、この夜の観客は最近のコンサートにありがちな、始めから総立ちという無意味なことをせず、乗ったときには立って踊り、バラードはおとなしく聴くという大人の態度だったと思う。Samの熱演とあわせ、ホントに素晴らしいコンサートだった。
順番に読んで頂く為、日付を操作しています。実際は17日です。
最新の画像もっと見る
最近の「ライブレポート」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事