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末期のスシ?

先日、日本版ミシュランガイドが発行されたと思ったらもうベストセラーだそうだ。ぼーずは食物特集の内容を見て雑誌を買うことがあるので、余り大きなことは言えないが『やっぱりな』と思ってしまった。権威に弱いのは日本人だけだとは思わないが、この手の本が好きだからなぁ、我々は。星に振り回されるのは愚かなことじゃないのかな。フランスでは星を落とされたシェフの自殺騒ぎまで起きたとされている。

ミシュランにはお世話になった。2万Km弱・・の話ではない(しかし減りの早いタイヤだったな)赤い装丁のガイドブックの方だ。欧州のホテルを選ぶのには便利な本だった。そう、宿に関しては木賃宿に毛が生えた程度の安ホテルまで載せていた。当然評価なんか見ていない。値段と設備を確認していただけだった。今の日本なら買わなくともネットで十分対応できる。

ベストセラーは買わない主義(買うときはブームが去ってから買う)なので当然読んではいないのだが、数寄屋橋の名店『次郎』が3つ星に選ばれたと聞いた。味でいえば当然かなと思った。ぼーずの安月給では度々行ける所ではないが味は秀逸だ。店を出て指の匂いを嗅ぎ、魚臭くなかったのはこの店だけだった。ネタの新鮮さと、最後に出してくれる熱いオシボリが効いているのだと思う。

瀕死の叔母を見舞うため上京した婆さん(ぼーず産みの親)を、こっちもこの先長くもないんだし、と連れて行ったことがある。寿司を褒めるのは当然としても、死にかけの婆さん(こっちはぼーずの大叔母)にも食わせたいと言い出した。言うだけならまだ許す。なんと、本気で店主に頼みだしたのだ。慌てたのはぼーずだ。次郎は基本的に持ち帰りをさせない。加えてカードでの支払いは出来ない店である。二人なら十分でも三人分の手持ちがあるかは微妙な所だった。

『寿司の味が落ちるから、持ち帰りはねぇ』と親父にそう断られるだろうと思いきや『93歳の御婆さん?分かりました』と握りだしたのだ。こら、支払いするのはワシや(笑)。親父は握った寿司を折りに入れず、まな板の上に並べ、『お年寄りには大きいからね』と言うと寿司に包丁の先を当て、二つに切った。半分に切られた握りは親父の心遣いと共に、小さな折箱へ美しく収まった。

一週間前から病院で絶食状態だった大叔母はなんとその寿司を全部平らげたのだ。そして驚いたことに彼女は快方に向かい、それから3年後に大往生を遂げる。食い意地の張ったわが一族には、カンフルより寿司が効くようだ。
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