この完訳版、なかなか興味深かった。
今まで読んだ岩波少年文庫の『ハイジ』(上下巻 竹山道雄訳)や、講談社の『アルプスの少女』(大畑末吉訳)よりも、はるかに分かりやすかったし、訳文も明解だった。
翻訳というのは、翻訳者が過ごしたその時代、時代の日本の文化的背景の影響は勿論のこと、原作者ヨハンナ・シュピリ自身の文化的背景を翻訳者が理解するための情報環境が完備されていたのかという問題も大きく影響するのだと思う。
そういうことを考えながら、この三人の翻訳を読み比べてみるということは、実に面白かった。
さっそく、私も原文の『Heidi』を、読んで見ようと思う。
それにしても、ハイジの舞台となったスイス、マイエンフェルトのハイジ村(Heididorf)記念館に入ったとたんに、あの高畑勲、宮崎駿のアニメのオープニングのヨーデルが聞こえ、アルムの山小屋がアニメに描かれるそのまんまだったことには、いささか驚いたものだ(^_^;)
しかも、ブルーノ・ガンツが、アルムのおじいちゃんを演じる映画『ハイジ』の脚本、演出、配役のキャラには、高畑、宮崎アニメの『ハイジ』が土台となっているというのだから、これまた、びっくりである。
今や原作よりも高畑、宮崎の『ハイジ』アニメの方が広く世界で認知されているという。
高畑&宮崎は不滅です。
シュピリの原作と、高畑、宮崎アニメの『ハイジ』比較作品論は、現在、あまり行われていないような気がする。
これを行うなら、かなり面白い展開になりそうな気がする。
私のハイジ旅写真。