ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆『セパ!』(虹山つるみ)『奏のフォルテ』(黒川裕子)『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつあやこ)

『セパ!』(虹山つるみ) ポプラ社 

 タイトルの『セパ!』は、セリーグとパリーグの略ではない。
 セパタクローというスポーツを扱っているのは、いいと思う。
 タイからの帰国子女で、セパタクローに詳しく情熱を持っている謎の小学生という、この設定とキャラクターは面白かったが、肝心の主人公のキャラクターや、置かれてる環境が、平易。さらに書き込みが足りないので、場面転換が唐突過ぎる。
 それに結末への持って行き方が、なんとも安易。
 セリフだけで展開する場面も多いのがちょっと気に掛かる。
 
 

 奏のフォルテ』(黒川裕子)講談社 

 書き手は音楽好きなのだろうか。
 参考資料もどっさりで、きっとしっかり勉強をしたのだろう。また協力者として音楽家の名前も挙げられている。
 多分、楽器、演奏などについては、正確に表現されているのだろう。
 しかし中2男子の描写とそのレトリックの手法が、まったく共感できなかった。

 今や、スポーツ、将棋、音楽、あらゆるジャンルで天才10代が出現し、世界と渡り合って闘い好成績、あるいは好結果を記録している時代である。
 とくに今年は、すごかった。
 そういう現状を踏まえると、ホルンやオーボエという楽器の奏者に14歳の天才がいたとしても、なんら不思議でもない。
 
 楽器や、音楽や、奏法や、楽譜の理解への取材だけではなく、この書き手は、14歳の少年、あるいは少女たちをを、生取材したのだろうか。

 こういう作品は、読み終わった時、そこに描かれている世界に憧れたり、興味をもたれてこそ、ナンボ?、というものではないだろうか。



 『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつあやこ)講談社 

 これも帰国子女の物語。
 五七五七七の短歌をマレーシア語の数字で言うと、『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』。
 この発想もタイトルも、とても良いと思う。
 しかし、ここでも、どうも主人公女子がね〜、描き切れていないと思うんです。
 二年半、マレーシアに在住して、日本人の補習校にも通っていて、これほど、日本から浮世離れしますかね〜。
 この作品が、講談社児童文学新人賞。
 


 以上、この3日間で読んだ本。






 ついでに、今日の晩ごはん。
 茄子とマイタケの素揚げ。 
 大根と豚バラの角煮。 
 わかめの油揚げの味噌汁。
 出汁巻き玉子。




 

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