ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆『アルフレートの時計台』 斎藤洋 作 森田みちよ 絵 偕成社



「妖し」の世界を描く斎藤洋は、本当に妖しげ、満載でなのある。
子ども時に住んでいた町に、クラウスは医者として赴任してきたイーデシュッタトという町。
思わず、グーグルマップで検索したくなるけれど、これは架空の町。
イーデシュタットは、Jede Stadt どこにでもある町という意味だ。

クラウスが、子ども時代を思い出し、時計台へ入っていく。
その時計台で出会った、アルフレート。
時計台の窓から見える風景。
斎藤洋の文体は、整然として、感情を揺さぶるような表現はない。
その淡々ぶりが、いい。
風景の描写といい、妖しさといい、さすが、ドイツ文学、ホフマンの研究者であり、ドイツ在住経験がある斎藤洋の仕事だと思う。

『ドローセルマイヤーの人形劇』とも、交錯する場面もあり、思わず、ニヤリとしてしまう。
表紙、さし絵の森田みちよは、斎藤洋と、何冊も仕事をしているが、斎藤洋の文学を、具現しており、作品に及ぼす、この画家の貢献度は高いと思う。

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