ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆『室町記』 山崎正和 著 講談社

               

 仕事が、切羽、詰まった時に、かならず、脇目をふりたくなる。
 げげっー、やばい! と思いながら、本棚からついつい、取り出してしまう。
 今も、そうだ。
 実は、書評七冊分の〆切りが今日なんだけど、26日の日曜日まで延ばしてもらった。
 にも、かかわらず……。

 ああ、これは、いつごろ、読んだ本だっけ。
 相当、昔だ、なーんちゃって、ブログにupだもんね〜。(アホじゃ。)

 その昔、生徒だったとき、日本史の授業で一番、つまんないのが室町時代だった。
 昨今、歴女なんてもてはやされているが、私は小学校三年生から歴史が好きで、筋金入りの歴史大好き人間。
 高校時代は、必修の他に選択まで取って、二年間も日本史を勉強したんだから。
 勿論、成績は、テスト98点以上は取っても、以下は取ったことない。10段階の10。(あははは、だれも知らないから言える!!)

 それにしても生徒だったとき、なんであんなに、足利の時代がつまらなかったんだろう。
 年表を覚えて、金閣寺の写真ぐらいじゃ、時代の雰囲気、伝わってこないよね〜。

 今、考えれば、不思議この上ナシなほど、劇的なドラマチック時代。
 宮廷の麻呂たちが、劇的に闘うのである。
 南北朝に、後醍醐天皇の隠岐の島へ流されて、そうそう、児島高徳という武将を憂う唱歌まである。私はこの歌を夫が鼻歌っていたのを聴いたのが初めてで、そんな歌があるんだぁ〜と、おどろいていた。夫の祖父が、やっぱり鼻歌で歌っていたらしい。しかし、その後、NHKの歌番組で、だれか有名な歌手が正調で、歌ったのである。おどろきガガガ〜ンでした。

 余談1 1914年には、文部省唱歌「児島高徳」が発表され、『尋常小学唱歌 第六学年用』に掲載された。(検索したらちゃんと出てきました。インターネットはたいしたもんじゃ。)

船坂山や杉坂と、
御あと慕ひて院の庄、
微衷をいかで聞えんと、
桜の幹に十字の詩。
『天勾践を空しうする莫れ。
時范蠡無きにしも非ず。』
御心ならぬいでましの、
御袖露けき朝戸出に、
誦(ずん)じて笑ますかしこさよ、
桜の幹の十字の詩。
『天勾践を空しうする莫れ。
時范蠡無きにしも非ず。』
※歌詞の著作権消滅済

 これを、小学6年生が、歌っていた。
 すんごい難しい言葉ばっかりですけどぉ〜。意味、わかってんすかね〜?(今風に、言ってみる)


 余談2  学生時代に隠岐の島へ行った。その時、美智子妃殿下がお使いになったというご不浄を使わせてもらった。(ほんと、まったくの余談ですわ)

 日本の天皇で、私にとって記憶にばっちりと刻まれている二大天皇は、この後醍醐天皇と、讃岐に流され殺された崇徳天皇。

       怨霊となった崇徳天皇

 この崇徳天皇が讃岐で、恨み骨髄、舌を噛みきって亡くなってからというもの、平氏から源氏、足利など天皇親政が行われない時代が約700年が続き、ようやく明治維新で天皇親政が復活したときに、まず明治天皇というか明治政府がしたことは、崇徳天皇の怨霊を鎮めるために神社を建立したというのだから、すごい。(京都の御霊神社がそれ)
     

 
 実は、大人になって、読んだ本、諸々によると、室町時代って、チョー日本史の流れ、いやいや世界史的な視点でも、なかでも異端的に面白いってことが分かった。
 その、そもそもが、この本だった。
 学校教育では、知り得ないことばっかりが、どっさり書かれているのであります。
 目からうろこ、というより、まさに開眼ですわ。

 バサラなんてことば、近年、漫画にもなっているらしいけれど、山崎正和が、きっと、文字に記した初めの人でなかろうか。

 中高の学校で習った歴史も、私には充分、エンターティメントに楽しかったけれど、もっと歴史って面白いって思わせてくれた人のひとりが山崎正和。

 他には、林基、網野善彦、藤木久志、宮本常一、などなどかな。
 因みに、藤木久志も、かなり、いいよー。



<追記>
 私は、高校生で進路を決める時期になったころ、父親に、東京の大学で日本史を勉強したいと言ったら、私の父親は、東京という地名だけでも、血相を変え「大学で日本史を勉強して、その後、おまえは、あわよくば、中学校の教師になって、それで、チョークの粉を吸って結核になるか、行かず後家になるのが関の山」と言い放った。当時、私は父と闘う日々だった。父を踏みつけて、(踏み越えてかな? あははは)この家を出て行くんだと思っていた。

 既にその父も鬼籍となり、今は、時々、その父の啖呵を、思い出して、なんとなく頰笑ましく、笑ってしまう。
 父は、私が、健康で、まともに結婚して欲しいと願っていたのだろう。
 きっと、不埒な娘であることを、親の勘で、察知していたにちがいない。
 
 
 

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