タイトルに物語とあるが、物語というより、16世紀後半から5〇〇年のオランダの歴史書。
オランダってどんな国?
という問いに、マジに応えている本。
しかも文体が、読みやすい。
この本を読むとオランダという国の成り立ちから、オランダ人気質など、だいたいは理解できる。
昔、オランダに住んでいたことがあるが、オランダという国がどこにあるのかも知らないまま、渡航の飛行機に乗った私だから、当然、オランダへの知識といったら、小学校の地図帳のおしまいのページに書かれて人口密度が世界一ということや、鎖国の江戸時代に日本と唯一貿易をしていた国だとか、シーボルトがやってきたとか、こんな程度のものだった。
でも、だいたいの日本人にとって、オランダという国の知識は、こんなもんだと思う。
しかし、である。
私がオランダに住んでみて、知ったオランダは、とても興味津々、実に面白かったのだった。
私が住んだ家の向かいの家に、メイフラワー号で新大陸アメリカへ渡った清教徒、ピルグリムファーザーズが住んでいたとか。
私が住んでいた家のすぐそばの運河で、16世紀のスペインとの独立戦争を闘ったとか。
私が住んでいた家の裏手にある、なんとか伯爵の屋敷の庭が処刑場で、その向かい側にある建物はレンブラントが通学していたラテン語学校だったとか。
もう、ほんとうに、面白いことにばっかり出くわして、私の好奇心はいつもマックス状態でした。
ところで、
オランダというのは、実はオランダの国名ではない。
正しくは、The Nederland という。
オランダという名前の由来は、今でも オランダには Holland州という名前のエリアがあるが、当時、日本にやってきていたポルトガル人が、とりあえず、Holland (ホーランド) という呼び名を、日本の通訳に紹介したため、日本では、オランダというようになったらしい。
ただ、この時代、まだ The Nederland という国家は、成立していなかった。
そんなこんな、小ネタも満載で、しかもオランダ中世史の研究者が書いているので、その情報にはまちがいがない。
北海道よりも小さな国土のオランダという国だが、案外、面白いので、オランダ好きの人には読んでもらいたい書。
オランダ旅行を計画している人にとっても、とても良い概説書です。
<余談>
オランダが、いわゆる国(国家)とし認識され(誤認され)、国旗が掲揚されていたのは、世界でも長崎出島のみだったというのは、有名な話しである。
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