芥川賞作品が掲載されているときだけ、『文藝春秋』を買うことにしている。
講評を読みたいからである。
この講評は、とても勉強になる。
作品を読む者の視点や、つまり作品(作者かな)へ向けられる視点が、勉強になるのだ。
今回は作品を読んでからも、宮本輝の講評が一番、共感できた。
というか、好みじゃない作家の講評は、やっぱり、「ふぅ〜ん、そう感じたわけ?」なんて一読者として、かなり不遜な態度になってしまう。(^_-)(^^;)
受賞作は『むらさきのスカートの女』(今村夏子)だが、結末に近づくほど、どんどんつまらなくなって、最後が、やっぱりかぁというオチで、実はがっかり。
でも、ここまで語り部の文体スタイルを貫き通すのは、面白いと思って読んだ。
この作品の作品としての描きどころは、むらさきの女と黄色の女の境目への策だったろうと思う。
もうちょっと、読者に「あれぇ……?」と思わせるような曖昧模糊でもよかったように私は思った。
『むらさきのスカートの女』の主人公について言えば、
人間の日常というものは、異常と尋常との線引きなんて実は、とても曖昧なものだ。
その線を誰が、どういう価値観で引くのかさえ、なんとも不確定だしね。
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