深夜に猿倉まで入り、車中泊をし、早朝から雪渓を目指した。
ちょうど白馬駅からのバスが到着したタイミングでもあって、猿倉荘前は、人が多く、白馬山荘の混雑を予感させる。
山荘脇を抜け、ジグザグに登り始めるが、ほどなく林道に出る。
しばらく行くと、白馬鑓温泉への分岐を過ぎ、その後は、緩やかな林道歩きが続く。
この日は、晴れの予報にもかかわらず、ガスが充満して、周辺の景色が見えなかったが、西側に人工で作られたような滝を見ると、すぐに林道終点となる。
そこから、登山道は始まるが、登りは強くない。
二度ほど、沢にかかる橋を渡り。
枯れ沢と登山道が平行に進むようになると、西側に大きな空き地が現れる。
その先に、白馬尻小屋がある。
小屋前の広場では、指導員なのか、この先のルートでの事故が多いらしく、その注意喚起を行っていた。
ここから、雪渓方面の景色が見えるはずだが、相変わらずのガスで、何も見えない。
この先は、しばらく樹林帯の中の登りだが、この先を思うと、まだまだ、緩やかだ。
樹林帯を抜けると、ケルンが現れ、ここが雪渓の始まりだということが、わかる。
ただ、秋になると、雪渓は規模を縮小し、雪渓には入らず、沢の南側の斜面に取り付き、雪渓を避けるように進む。
沢の南側斜面の道は、くる度にそうだが、結構、不安定だ。
ガレているところは、崩れやすく、崩落を避けるように、アップダウンも多い。
慎重に進むと、次第に雪渓も大きくなり、タイミングの良いところで、雪渓に入ることになる。
雪渓に入る地点は、毎回、異なる。
雪渓の縮小具合で、変わるのかもしれないが、よくわからない。
雪渓に入ると、ガスで日も当たらないせいかもしれないが、ひんやりとして、一段と寒さが増すようだ。
昨年よりも雪渓は大きく距離も長い。途中、大きく口を開けたクラックも見ながら、斜面に向かって真っ直ぐに進む。
しばらくすると、突然、ガスが晴れて、日差しが暖かさを運ぶと同時に、周辺の景色が広がった。
このあたりは、紅葉の時期らしく、眼下に広がるガスの白さとのコントラストが素晴らしい。
雪渓を抜けると、夏は雪渓に覆われているんだろうなと思わされるガレ場を抜ける。
雪渓の沢の左岸に取り付くと、その後は、ジグザグの登りに変わる。
次第に登りは強さを増すが、しばらく行くと尾根伝いから外れ、南側の沢に沿って緩やかに進む。
南側の沢は、未だに大きな雪渓があり、上部からの流れに浸食されて、大きく口を開いて、今にも崩れ落ちそうだ。
その後、木が渡された沢を横切って、岩場に変わる。
しばらくは、岩場が続くが、手掛かりが必要なところもあり、やや難所だ。
岩場を抜けると、再びジクザグの登山道に変わるが、少し岩もゴロゴロして岩場の前の道に比べて歩きにくい。
岩場を抜けていくところで、いったん、南の杓子岳側に寄せられたが、再び北側に向かう。
すると、大きな岩が現れ、ガレ場を抜けると、テラスのような見晴らしの良い、休憩適地にでる。
ここまで来ると、周囲はアルペンムード漂う景色となり、見下ろすと、雪渓を進む人が蟻のように見える。
この先、灌木帯が現れるが、少し行くと、避難小屋が現れる。
杓子岳の厳つい岩峰が眼前に迫り、稜線まで、それほど距離が無いことを期待させる。
灌木帯が終わる頃には、杓子岳から延びる稜線に押されるように、道はやや南側に進むようになる。
すると、大きな標識のたつ休憩地が現れる。
ここから、稜線までは、遠くはないが、この先の登りは、まぁまぁ、きつい。
歩いてきた疲れもあるのかもしれないが、木段もあって、落差が身体に堪えるな。
木段には登りようのステップもあって、歩幅は小さくしてくれているが、足がなかなか進まない。
そしてようやく、白馬頂上山荘前に到着する。
今日の宿泊はここではないので、山荘前を抜けて、さらに目の前の稜線に向かって進み、ようやく稜線にでる。
ここから東へ向かう道の先に、白馬山荘は、南北に横たわるように立っており、その大きさがよくわかる。
広々とした最後の登りを進み、ようやく白馬山荘にたどり着く。
白馬山荘で、宿泊の手続きを行い、この時期は、南側の建物は、使ったいないようだ。3人で2畳程度と言われて、説明された部屋に行くと、布団はすでに敷かれていて、言うとおりのスペースが割り当てられている。
良さげなところに、荷物を置き、山頂を目指す。
最初は、ザレた道をジグザグに進み、山頂稜線に近づくと、稜線と平行に直線で、なだらかな登りとなり、そして、ようやく山頂に到着だ。
周囲は雲がかかって、景色はイマイチだったが、翌朝は、すっきり晴れわたり、綺麗なご来光を見ることができた。
その後、山荘に帰ると、テレビの前に人だかりができていて、覗いてみると、御嶽山の噴火のニュースをやっていた。
その日は、ガスが出て、見えなかったが、翌朝、御嶽山方面を見ると、高く噴火の雲が昇っているのが、見えた。