2017.03.23 AM10:00
支柱が運ばれてきた。
看護師さんがおもむろに、輸液ポンプを取り付け始める。
何もかもが目新しい出来事が目の前で行われた。
1本の支柱に2台のポンプ、そこから繋がれた数本のチューブ。
その先には支柱にぶら下がった、袋に入った液体。
テレビで見たことのある、いわゆる病室にあるそれだ。
物珍しさが先に立ち、それをこれから肌身離さずに連れて回らないと
いけなくなるとは思いもせず、興味津々で見入っていた。
袋に入った液体からの行き先は右首だ。
先端を近づけ挿入部に押し当てる。
看護師さん指導のもと、これからの事の説明を受ける。
抗がん剤と同時に生理食塩液を投与する。
点滴により体内に、1日約2000mlの量が入るので、それ以上の排尿が必要
となる。
そのため排尿量を把握する必要がある。
尿意のあるごとに尿カップに採り、量を記録していく。
記録が終われば尿を捨て、ペーパータオルをカップにかぶせておく。
そのままだと尿に流れ出た微量の抗がん剤が蒸発し、体に2次的な影響を
及ぼす為だ。
ナースコールを押す。
洗浄に看護師さんが来てくれる。
1回目の尿計量、一連の作業が終わり一息つく。
ふと思った。24時間の投与の為、点滴は装着しっぱなし、ということは
これから24時間1週間ずっとこの作業の繰り返しになると。
いつでもどんな時でも尿意があればすぐにカップを取り計量しなければ
ならない。昼夜を問わず。
そんなことが自分にできるのだろうか。
想像できないが、とにかくやらないといけない。
壮絶な1週間が始まった。
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