エバーオバサンの事件簿

落ち着きのないオバサンの日常のドタバタアレコレです。
ジェシカオバサンのような冴えた解決はありません

映画 「梅切らぬバカ」

2021-11-22 19:34:12 | 日記
 みなとみらいのブルグ13で観ました。
自閉症の息子役をドランクドラゴンの塚地武雅さん、
その母親を53年ぶりに主演を務める加賀まりこさん。

 80分弱の映画ですが、ものすごく早くあっという間の上映時間でした。
梅の木に手を合わせて挨拶をしてから作業所に向かう塚地さん演じる忠さんは、
伸びすぎた木にお隣から苦情を入れらえて木が切られていくのを
目の当たりにしてパニックを起こします。
また、50歳を過ぎた息子のこれからの生活を案じた母親が
グループホームに忠さんを入れますが、みんなとうまく生活できないことに
ストレスが溜まって忠さんがイライラするシーンもあります。
本来お笑い芸人がお仕事の塚地武雅さんが繊細で愛らしい忠さんを
素晴らしい表現力で演じています。
芸人さんにこんなに素敵な表現をされたら、本当に役者一本で働く人は
困ってしまうのでは、と思ってしまいました。
自閉症の人を表現するときに、その人に敬意を持ち、その人の心の機敏に寄り添い、
大げさではないけど、ちょっと笑えることもあって、
そんな人たちは可愛い人たちなんだと見る側を和ませてくれます。
忠さんは梅の木を「父親」だと思っています。そうだよね、切られたらヤダよね。
忠さんの繊細な心が泣いて叫ぶんです。

 加賀まりこさんはほぼすっぴん、ぼさぼさ髪で明るく元気よく、
忠さんの最大の理解者として大きな愛で包んでいます。すっぴんなのにお美しい。
梅の木を植えた忠さんの父親は、おそらく忠さんと加賀さん演じる珠子さんを
置いて出ていったのでしょう。
忠さんと上手く交流できなかったことが、父親として苦しかったのかもしれません。
54年間主演で映画に出なかった加賀さんが、なぜ54年ぶりにこの作品を選んだのか。
観れば答えはあります。うん、納得の作品です。
作品全体は決して重すぎず、コメディ要素がちりばめられ、
愛らしい作品なっています。
他の出演者ではお隣の少年と、障害者を支援する法人の代表役の林家正蔵さんが良かった。
FAXを突き付ける正蔵さん、カッコイイ!

 漫画や小説が原作の映画が多いので、監督のオリジナル脚本なのも良いです。
自閉症の中年の息子と70代の母親の二人暮らし、
伸びた梅の木でのお隣との小さないさかいがやがて雪解けになっていく流れや、
障害者のグループホームに不信感を持つ反対派の住民とのいざこざ。
梅の木は切ったほうがいいに決まっているけど、
この母子の木は切らないであげて欲しい、そっとしておいて欲しい。
珠子さんが忠さんと幸せな日々を送れるのはあとわずかしかないけれど、
今はどうかそっと見守っていて欲しい。
反対派の住民の気持ちが全く理解できないわけじゃないけど、
それでもそう願わずにいられない作品でした。



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