米国対中国、米国対欧州連合(EU)の貿易戦争が世界貿易機関(WTO)トップの座をめぐりもう1度火がつきそうな勢いだ。今度は韓国がその真ん中に立った。
WTO次期事務局長に対する加盟国の支持調査の結果、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相がリードしていることが明らかになった状況で、米国が競合である韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長支持を公開してだ。EUと中国、日本などが推しているオコンジョイウェアラ候補を事実上拒否したものだ。
米通商代表部(USTR)は28日に声明を通じ「米国は次期WTO事務局長として韓国の兪明希本部長の選出を支持する」と明らかにした。USTRは「兪本部長は25年間通商交渉家・貿易政策立案者として活動した専門家。いまWTOと国際通商紛争解決体系は統制不能状態に陥っており、透明性の義務を履行する加盟国はとても少ない」ともした。
同日WTO事務局のロックウェル報道官は「ただ1カ所を除きすべての代表団がナイジェリアの候補に対し非常に強力な支持を送った」としてオコンジョイウェアラ候補を単数推薦した。その上で反対した「ただ1カ所」が米国だと公開した。
WTO事務局は19日から27日まで加盟国に支持候補を問い、優勢となった候補を来月9日のWTO一般理事会で次期事務局長候補として承認する計画だった。その間に劣勢だった候補には自主的に辞退を勧めることになる。
米国の韓国支持の背景に対してはさまざまな解釈が可能だが、親中性向のアフリカ候補に対するトランプ政権の反感も作用したとの分析が外交界から出ている。大統領選挙を控えたトランプ政権は米中体制競争を最高潮に引き上げていて、新型コロナウイルス局面でアフリカ出身の世界保健機関(WHO)のトップが親中性向を見せたとし不和を生じさせた。
中国はナイジェリアの候補を支持したものと外交部は把握している。
欧州ではWTOを無力化するための「サボタージュ」ではないのかとの疑いも出ている。中国やEUなどと貿易紛争を行っている米国は、これに先立ちWTO上訴機関委員の選任を防ぐ方式で事実上機能を中断させた。トランプ大統領はまたWTOが中国に偏向的として脱退をちらつかせたりもした。
これと関連して、英日刊紙ガーディアンは消息筋の話として、「米国がオコンジョイウェアラ氏の任命を防いでいる。米国の反対表明はトランプ大統領がしばしば批判する(WTO)組織に対する意図的な妨害の試みなのかは不明だ」と伝えた。
◇韓国、当面は「持ち堪える作戦」
米国が公開支持を表明し、兪本部長は自主的な辞退の意志を表明しない側に方向性を固めた。「最後まで行く」という基調は青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)と外交部の共通した雰囲気だ。
事情に通じた消息筋は「米国がいつになく強い拒否の立場を明らかにしたため、WTOでどうにか自分の意見を貫徹しようとするだろう。現時点では自主的に辞退を明らかにする理由がないというのが韓国政府の判断」と伝えた。
韓国政府当局者も「相手候補側では圧倒的支持を確保したと主張しているが、われわれの計算では大きな差はない、もう一度コンセンサス(合意)を試みることができるとみている」と明らかにした。
ガーディアンなどは米国が継続してナイジェリアの候補を支持しないのならば、これまでコンセンサスにより事務局長を選出したのと違い投票をすることになるかもしれないと予想した。だがWTOでも影響力が大きい米国の反対を押し切って選出を強行するには負担がある。
WTOのまた別の軸であるEU・中国・日本がナイジェリアの候補を推している状況で容易にコンセンサスが出るのも難しい状況だ。結局事務局長選挙が強大国の力の争いに広がる場合、WTOトップの空白が長期化しかねない。
もちろん双方の立場を反映した妥協案が出る可能性もある。1999年にもタイのスパチャイ元副首相とニュージーランドのムーア元首相の対決でコンセンサスが集まらず、結局4年の事務局長任期を2年ずつ分割した前例がある。
韓国も4年任期を分け合ってオコンジョイウェアラ氏と「2+2」で行くにしても、1回の再任規定を挙げて「4+4」で行くにしても兪本部長カードを推す案を優先的に考慮している。米国が兪本部長選出を前提にこれまで引き延ばした上訴機関委員選任に協力するという妥協案を出すこともできる。
今後の変数は米大統領選挙だ。11月3日の大統領選挙結果により民主党のバイデン候補で政権交替がされることになれば米国が立場を変える可能性があるためだ。バイデン氏は「トランプ式一方主義」を批判し多者主義外交と国際機関への復帰を公約として掲げた状態だ。
ある消息筋は「韓国政府では米大統領選挙の結果を見て立場を表明したり、あるいはトランプ政権の任期である1月20日まで持ち堪えたり状況を見守って対応するだろう」と話した。
WTO次期事務局長に対する加盟国の支持調査の結果、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相がリードしていることが明らかになった状況で、米国が競合である韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長支持を公開してだ。EUと中国、日本などが推しているオコンジョイウェアラ候補を事実上拒否したものだ。
米通商代表部(USTR)は28日に声明を通じ「米国は次期WTO事務局長として韓国の兪明希本部長の選出を支持する」と明らかにした。USTRは「兪本部長は25年間通商交渉家・貿易政策立案者として活動した専門家。いまWTOと国際通商紛争解決体系は統制不能状態に陥っており、透明性の義務を履行する加盟国はとても少ない」ともした。
同日WTO事務局のロックウェル報道官は「ただ1カ所を除きすべての代表団がナイジェリアの候補に対し非常に強力な支持を送った」としてオコンジョイウェアラ候補を単数推薦した。その上で反対した「ただ1カ所」が米国だと公開した。
WTO事務局は19日から27日まで加盟国に支持候補を問い、優勢となった候補を来月9日のWTO一般理事会で次期事務局長候補として承認する計画だった。その間に劣勢だった候補には自主的に辞退を勧めることになる。
米国の韓国支持の背景に対してはさまざまな解釈が可能だが、親中性向のアフリカ候補に対するトランプ政権の反感も作用したとの分析が外交界から出ている。大統領選挙を控えたトランプ政権は米中体制競争を最高潮に引き上げていて、新型コロナウイルス局面でアフリカ出身の世界保健機関(WHO)のトップが親中性向を見せたとし不和を生じさせた。
中国はナイジェリアの候補を支持したものと外交部は把握している。
欧州ではWTOを無力化するための「サボタージュ」ではないのかとの疑いも出ている。中国やEUなどと貿易紛争を行っている米国は、これに先立ちWTO上訴機関委員の選任を防ぐ方式で事実上機能を中断させた。トランプ大統領はまたWTOが中国に偏向的として脱退をちらつかせたりもした。
これと関連して、英日刊紙ガーディアンは消息筋の話として、「米国がオコンジョイウェアラ氏の任命を防いでいる。米国の反対表明はトランプ大統領がしばしば批判する(WTO)組織に対する意図的な妨害の試みなのかは不明だ」と伝えた。
◇韓国、当面は「持ち堪える作戦」
米国が公開支持を表明し、兪本部長は自主的な辞退の意志を表明しない側に方向性を固めた。「最後まで行く」という基調は青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)と外交部の共通した雰囲気だ。
事情に通じた消息筋は「米国がいつになく強い拒否の立場を明らかにしたため、WTOでどうにか自分の意見を貫徹しようとするだろう。現時点では自主的に辞退を明らかにする理由がないというのが韓国政府の判断」と伝えた。
韓国政府当局者も「相手候補側では圧倒的支持を確保したと主張しているが、われわれの計算では大きな差はない、もう一度コンセンサス(合意)を試みることができるとみている」と明らかにした。
ガーディアンなどは米国が継続してナイジェリアの候補を支持しないのならば、これまでコンセンサスにより事務局長を選出したのと違い投票をすることになるかもしれないと予想した。だがWTOでも影響力が大きい米国の反対を押し切って選出を強行するには負担がある。
WTOのまた別の軸であるEU・中国・日本がナイジェリアの候補を推している状況で容易にコンセンサスが出るのも難しい状況だ。結局事務局長選挙が強大国の力の争いに広がる場合、WTOトップの空白が長期化しかねない。
もちろん双方の立場を反映した妥協案が出る可能性もある。1999年にもタイのスパチャイ元副首相とニュージーランドのムーア元首相の対決でコンセンサスが集まらず、結局4年の事務局長任期を2年ずつ分割した前例がある。
韓国も4年任期を分け合ってオコンジョイウェアラ氏と「2+2」で行くにしても、1回の再任規定を挙げて「4+4」で行くにしても兪本部長カードを推す案を優先的に考慮している。米国が兪本部長選出を前提にこれまで引き延ばした上訴機関委員選任に協力するという妥協案を出すこともできる。
今後の変数は米大統領選挙だ。11月3日の大統領選挙結果により民主党のバイデン候補で政権交替がされることになれば米国が立場を変える可能性があるためだ。バイデン氏は「トランプ式一方主義」を批判し多者主義外交と国際機関への復帰を公約として掲げた状態だ。
ある消息筋は「韓国政府では米大統領選挙の結果を見て立場を表明したり、あるいはトランプ政権の任期である1月20日まで持ち堪えたり状況を見守って対応するだろう」と話した。