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確定拠出年金、65歳まで加入延長を検討 厚労省

2018年08月31日 | 投資

2018/8/31 1:53 日本経済新聞 電子版

 厚生労働省は運用成果によって年金額が変わる確定拠出年金について、掛け金を払い込める期間を延ばす方向で検討に入る。上限を60歳から65歳に上げる案が軸だ。期間が延びれば、老後に受け取る年金は増える。60歳を超えても働く人が増えているため私的年金の仕組みを充実させ、先細りする公的年金を補う。

 老後の支えとなる厚生年金は受給開始年齢を段階的に65歳まで引き上げている。このため政府は高年齢者雇用安定法で、65歳まではすべての希望者を雇用することを企業に義務付けた。総務省によると60~64歳の就業率は2017年に66%と、確定拠出年金を導入した01年から約15ポイント上がっている。長く働いて年金を積み立てるニーズは高まっている。

 厚労省は18年度中にも制度見直しの検討に入る。確定拠出年金は働いて得る収入で掛け金を出すことを前提にする。就業率の推移などを踏まえて22年度までに結論を出し、確定拠出年金法の改正案を国会に提出する。

 確定拠出年金は個人が定期預金や保険、投資信託などから運用手段を選ぶ。運用がうまくいけば、掛け金以上のお金を年金として受け取れる。掛け金は全額が所得控除の対象となる。運用益は非課税で、受取時にも税制優遇がある。

 現在は加入できる期間が20~60歳になっている。企業型と個人型があり、厚労省は個人型の加入期間を65歳まで引き上げることを検討する。企業型では、同じ企業グループで働き続ける人を対象に60歳以降も加入できる制度を議論する。

 企業型の加入者は680万人、個人型(イデコ)は94万人で近く100万人を超える。掛け金の上限は自営業者などで月6.8万円、会社員(個人型のみ)は月2.3万円だ。加入期間が5年延びれば、会社員の場合で最大138万円掛け金を多く出せる。拠出したお金の運用期間も延び、複利効果を得やすくなる。

 内閣府が14年に実施した意識調査では、仕事をする高齢者のうち4割が働けるうちはいつまでも働きたいと答えている。健康寿命が延びていることに加え、会社員は働かなければ無収入になる期間ができていることも就業が進む背景にある。

 公的年金の実質的な支給水準(所得代替率)は14年時点で62.7%だった。将来は50%程度まで下がる見通しだ。日本の高齢者は老後の所得に占める公的年金の割合が米国などに比べ高いとされる。自助である私的年金の拡充は欠かせない。

 確定拠出年金の加入年齢引き上げには課題もある。期間を延ばすと税の優遇が長くなるため、政府内での調整が難航する可能性はある。

 

 


 


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