Q 年金額って皆同じですか? どんぶりだって聞いたものだから。
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Q 年金って、皆同じ額なのかなぁ。
A お座りください。
Q ええ。どんぶりだって友達が言うもので。
A う~ん、二つのことが一緒になっているようですねぇ。まず、一人一人の年金額と、年金制度全体の収支ということでしょうか。
Q そお。
A お一人一人の年金額は、国民年金でしたらその方が納付された国民年金保険料納付月数によって計算されますので、全員年金額が違います。また、厚生年金でしたら、その方の就職から定年までの全期間の平均給与で計算する報酬比例分とその間の月数で計算する定額分との合算になります。ですから、厚生年金も一人一人年金額が違います。厚生年金基金でも、平均給与と月数によって年金計算しますので一人一人ちがいますしねぇ。
Q そお。じゃあ、どんぶりじゃないんだ。
A 年金額計算の場面では、どんぶりじゃないですねぇ。
Q そお・・・・・・・。
A う~ん、どんぶりって、どんぶり勘定のことですか。
Q そういうこと。
A 年金額を計算するときにはそういうことはありませんけど、年金全体の収支、決算をするときの財政計算の場面ではどんぶり勘定と言えることはあるかと思います。
Q たとえば?
A 国の年金財政では、世代間の助け合いという美名の下に社会保険方式という賦課保険方式(今では実態は修正積立方式になっている)で年金数理計算をしますから、言ってみれば、こずかい帳の経理です。これは、どんぶり勘定といえるでしょう。数理という考え方は予定数字で見込むのですから、単なる計画にしかすぎません。現実とはまったく異質なものが出来上がるのです。ここに、政治家や官僚の恣意が入る余地が生まれるのです。数理というのは、目くらましの方法なんですよね。
Q そうなの!
A その点、厚生年金基金の財政は完全事前積立方式ですから、個々人の年金額の積み上げで全体の経理を行うので一応バランスシート勘定になっています。でも、悲しいことに制度の未成熟でしょうか、資産の保全の面では個人勘定になりきっていませんでしたので、結果的に厚生年金基金もどんぶり勘定になってしまいました。
Q ふう~ん?
A どちらにしても、どんぶり勘定のフレームワークであれば、責任の所在はうやむやになりますし、うやむやにできます。政治家や官僚、それに企業経営者にとって都合の良いフレームワークなわけです。
Q そお。
A 「受託者責任」という言葉をご存知でしょうか?
Q いや。
A これも輸入語ですけど、日本の土壌には馴染まないようですねぇ。日本で、この責任を追及すると、日本の司法は国家賠償法で対応するしか能がないんです。
Q そお。
A 国家賠償法というのは、政治家や官僚、それに企業経営者等の個人レベルの責任を回避する手法なんでしょう。
Q 組織責任というやつね。
A そうです。個人レベルではなく、組織レベルなんです。
Q だから、裁判に訴えてもせん無しと言うことか。
A 奥深いところから変わらなきゃあ、ということのようです。
Q こりゃあ、なかなかだねぇ。
A 百年、河清を待つ、ほどのことなんでしょう。
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