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Q&A 年金の行方 (4)多額な不足金発生

2009年06月14日 | 厚生年金基金
(4)多額な不足金発生

Q 厚生年金基金の決算報告書に多額な不足金が計上されているのだが、どうしたことだろう。確か、今まで不足金ではなく、剰余金だったが。
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Q おはようございます! 今日も混んでいますねぇ。

A ええ、おかげさまで商売繁盛(!)です。

Q ところで、今年も基金から決算報告の広報誌が届いたのだが、今年、突然、不足金が計上されているのだが・・・・・・・。

A う~ん、突然ですか?

Q そお、ちょっと前までは剰余金だったのに。突然、大きな不足金に変わったんだが。

A 会計方式について、基金から連絡はありませんでしたか。

Q さて、知らないねぇ。

A そうですか。ここの窓口では、基金の決算についてはご案内できませんけど、オフレコで私の知る限りのことでよろしかったらお話させていただきます。

Q それでいいですよ。

A さて、う~ん、どこから話しますかねぇ。

Q 簡単でいいよ。

A といわれても、・・・・・・・。そお、バランス・シートってご存知ですか?

Q 会社の決算で使っているやつかな。

A ええ、貸借・損益計算書です。基金の決算も、制度発足以来そのバランス・シートで決算をしています。

Q そうでないところもあるんだ!

A はい、国の厚生年金などの決算はバランス・シート方式ではありません。単式簿記のこずかい帳決算です。

Q ふう~ん? それで、どんな問題があるのかな。

A 単式簿記と複式簿記、さらに簿価主義と時価主義の違いということになります。

Q そお。

A 単式簿記と複式簿記の違いは役所経理と会社経理の違いですねぇ。バランス・シートが有るか無いかの違いなんですが、ものの見方、ものの考え方の違い、世界観が違うんですねぇ。

Q そお。

A さらに簿価主義と時価主義の違いは、多少図式的な説明になりますけど、会社経理と基金経理の違いということになりますねぇ。

Q そお。

A たとえば、以前に買った不動産の経理処理で、簿価主義は購入当時の金額のまま計上します。値上がりした部分は含み益という考え方です。時価主義であれば、現在値に修正されて計上され、含み益という考え方はとりません。

  すると、簿価主義では資産のバブルが発生します。時価主義であれば、バブルは基本的にありえません。

Q なるほど。

A バブルという意味では、役所経理の単式簿記も同様です。次年度以降の収入を大前提にしていますので、常にバブルを内包しています。

Q そお。

A つまり、日本の企業会計インフラと行政会計インフラは、右肩上がりの経済を前提にしてバブルを生み出し、先送りが許容されるシステムになっているわけです。都合がいいんですよ、彼らには。使い勝手がいい経理になっているのです。

Q そお。

A それで、今回、基金が不足金を発生させた件は、複式簿記の簿価主義であった基金経理に企業会計より一足先に時価主義(平成9年)が採用されたので、突然、債務が巨額化したというわけです。

Q そお。

A そうなると、政府から預かっている「代行分」は企業にとってお荷物以外の何物でもなくなってきたのです。「代行分」の資産運用で稼ぐノウハウは日本企業には無いですから。日本株式会社は製造業ですから。

Q それで、いっせいにどこの会社でも代行返上に雪崩込んでいるんだ。

A 図式的には、大まかにそう言えると思います。

Q そうなんだ、これで大分すっきりしましたよ。もやもやが晴れてきました。どうも、ありがとうでした。

A どういたしまして。


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