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発達障害の原因と発症メカニズム-黒田洋一郎・木村黒田純子著---続---



昨日に引き続き、この本に書かれている内容で私が勝手にみなさまにお伝えしたい内容を抜粋・列記しました。
あくまで私がお伝えしたい内容の部分のみの抜粋です。その点はご了承ください。

今日は第7章 発達障害の毒性学と発症の分子メカニズムから

●藤原武男と高松育子(国立成育医療研究センター研究所 成育社会医学研究部)によれば、論文発表当時(二〇一〇年)までの自閉症の環境要因にかかわるデータを網羅的に調べたところ、疫学的に有意と認められるものに、①妊娠初期の喫煙、②水銀、③有機リン酸系農薬、④ビタミン等の栄養素、⑤親の高齢、⑥妊娠週数、⑦出産時の状況(帝王切開等)、⑧夏の妊娠、⑨生殖補助医療による妊娠があり多様である。201頁

●自閉症、ADHDなど特定の症状をになう神経回路に発達障害をおこす因果関係がすでに確立している一般の発達神経毒性をもつ環境化学物質には、自閉症、ADHDともその原因として有機リン系農薬、ニコチン、水銀化合物その他、動物実験など実験医学的に疑われるものにPCB、ダイオキシン、ネオニコチノイド系農薬がある。211頁

●高次機能にかかわる長い軸索をもつシナプスの形成は、一歳以降もより活発に起こっていて、それを反映する髄鞘化は一〇歳を過ぎても続いている。胎児期のみでなく乳児期、小児期の子どもでも戸外で空中散布された農薬や室内で噴霧する殺虫剤による曝露のリスクが予想できる。227頁

●ヒトでも胎児や乳児では、この血液脳関門がないか未発達なので、毒性化学物質の曝露に弱いことは、子どもの発達障害を考える時の重要なポイントである。233頁

●コラム7-1 放射線には閾値はなく、確率的にDNAが損傷され、多様な健康被害が生じる 234頁

●現在では低用量作用をもつ毒性化学物質の論文は数多く、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の存在は科学的には確立しており、その低用量作用の分子メカニズムも次の(C)で開設するように判明しつつある。
 困ったことに毒性によっては、化学物質でも閾値がないものがある。235頁

●農薬など、環境にバラまくので個人の曝露の事実とその量が非常に分かりにくい環境化学物質では、主成分の毒性でさえ、発達神経毒性をはじめ真摯な対応がなされていない。235頁

●たとえば、たった1pM(ピコモル)の非常な低用量(低濃度)の化学物質でも、細胞液1μリットル中では、その化学物質は分子数にすれば六〇万分子もある(アボガドロ数は約6×10の23乗)。六〇万分子のうち、大まかにたとえて言うと、たった一分子の環境ホルモン(にせホルモン)が転写調節因子に結合して働けば、その転写調節因子結合部位の下流は発現が変わるので低用量作用がおこるのは、おかしくない。~中略~実際は確率的なものになるが、それでも六〇万分子を考えると確率はかなり高くなりそうである。237頁

●生理的な化学物質に構造/作用の似た、ネオニコ農薬や各種環境ホルモンのような人工化学物質は、低濃度でも遺伝子発現をかく乱しやすい。240頁

●免疫異常をおこす環境化学物質は多数あり、ニッケル、水銀、ディーゼル排気など大気汚染、有機リン系農薬、ピレスロイド系農薬、ネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ農薬)でも報告されている。大気汚染粒子は、最近注目されているPM2.5などもふくんでおり、これらの粒子には有害金属や多種類の農薬が検出されている。経気曝露で有害物質が取り込まれると、肝臓の解毒を受けずに体内を循環するので、より危険度が高くなる。251頁

●ネオニコ農薬は、国内では農薬以外にも防虫剤として建材、ガーデニング、シロアリ駆除、家庭用殺虫剤、ペットの蚤駆除など多用され、松枯れ防止に空中散布が実施されている地域もある。~中略~一般家庭の室内空気やハウスダクト(※ハウスダストと思われる)から、シロアリ駆除剤や建材から流出した複数のネオニコが検出されている。267頁

●ネオニコ系以外でも脳神経系を標的にしているものが多い農薬は、子どもの脳発達に特異的な影響を及ぼし発達障害の一因となる可能性が高いので、農薬全般について、妊娠時や発達期の子どもへの曝露はなるべく低くなるよう注意が必要である。270頁

●今後私たちは、農薬に汚染された野菜など食物の摂取、部屋の中などでの殺虫剤散布など、農薬(殺虫剤)などの毒性化学物質を、脳に入れないことが肝心である。279頁

●一〇万種を超えるという人工化学物質は、まったくと言っていいほど発達神経毒性があるかどうか、組織的に調べられていないのだ。299頁

●井上らはその「確立性」を強調している。ヒトのもつ全遺伝子のうちどの遺伝子が放射線で損傷されるかは、全く「確率的」なのですべての遺伝子が「確率的」に損傷されさまざまな疾患健康異常が「確率的」にバラバラにおこる。--中略--この「確率論的」な遺伝子発現以上の発生は、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)による遺伝子発現異常をはじめとして、広くはエピジェネティックな遺伝子発現調節・制御でもおこっている可能性があるが、専門的すぎるのでここでは述べない。302頁

●もう一つの社会的リスクは、「地球全体の化学物質汚染の結果としての人体汚染」で、PCBや農薬に代表される主に近代の工業化社会がつくりだした人工化学物質によるグローバルな環境汚染と、その必然的な結果である人体汚染による健康被害である。304頁

●二〇一六年の論文では、日本の児童(三歳児)の尿の検査で、約80%がネオニコ農薬に、100%が有機リン系農薬、ピレスロイド系農薬に汚染していた。315頁

●農薬の空中散布や殺虫剤の室内散布も危険だが、子どもたちが、ほぼ毎日、浸透性のため洗っても落ちないネオニコ農薬に汚染された食物を、自宅、給食などで知らず知らずのうちに食べていることも問題である。317頁

●有機リン系、ネオニコチノイド系農薬などは、ヒト脳の発達の重要部分に、このようにアセチルコリンやニコチン性受容体が深くかかわっていることなどまったく知らないで開発・販売され、しかも母親や子供に曝露しやすい農薬、殺虫剤として現在でも私たちの周囲で使用されているのである。337頁

●毒性化学物質が二種以上体内に入ることを複合汚染といい、表8-1のように日本人は全員多数の毒性化学物質に汚染されている。このとき一つ一つの毒性物質は微量でそれだけではあまり影響がなくても、複数だと相加作用、相乗作用がおこり、発ガンなど大きな健康影響がおこることが多いことを述べた。352頁

すべて大切な内容ではありましたが、特に7章 発達障害の毒性学と発症の分子メカニズム、8章 発達障害増加の原因としての、PCB、農薬など環境化学物質汚染の危険性 は目を通していただけましたらと思います。また9章では発達障害の予防はできる ですとか、10章 治療・養育の可能性と早期発見 もありますので、危険、危険というだけでなく、ではどうしたらよいの?という内容も書かれております。
また巻末に資料として根拠も掲載されておりますので、根拠(一次資料)を確認することも容易です。

この本は、私が志向しております健康住宅、子どもたちに安心な空間を、という想いの後押しをしていただいているような内容でした。
私は、子どもの健康のためには、家(空間)だけでなく、食べ物や土地(地域)など総合的な視点が必要と思って活動をしておりますが、この本の内容が世の中に広がり、すべての子どもたちが笑顔で過ごせる世の中になりますことを祈るばかりです。

次回は、ではこの本にも書かれていた農薬が住宅にも使わてれいる、人工化学物質が住宅にも使われているということをお伝えしたいと思います。

ひと・すまい・くらし一級建築士事務所
 新井 伸宏


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