ちーむひじかた<管理人の小部屋>

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1/27 「助かって当たり前」と思う心理。

2016-01-27 21:55:08 | ニュースとか
今はもう高齢のため引退してしまったが、産婦人科医をしていた伯父が現役終盤に「最近は何かあるとすぐに訴訟騒ぎになるので恐ろしい」と漏らしていたそうだ。
田舎町の開業医だったので、希に大病院でないと対処できないような難しい症例の患者さんが訪れるらしいが、紹介状書いて大病院に回そうとしたら、診察拒否だのたらい回しだの訴えてやるだのと騒いだ様子。
その後大病院で診察受けたら「町医者クラスで良く発見出来ましたね、後1ヶ月発見遅れたら手遅れだったかも知れませんよ?」と言われて謝罪に訪れたらしいが。

2013年12月、富士山の3500m付近で京都市の男性(55)が滑落し、静岡市消防局が悪天候の中ヘリで救助に向かったが、つり上げの途中で金具が外れて要救助男性が3mほど落下、悪天候のため再救助活動を断念し帰還。要救助男性は翌日心肺停止状態で回収された件について、この男性の遺族は救助方法が不適切だったとして損害賠償を求める裁判を起こしている。
この事故にはいくつかのポイントがあって、
・静岡県と浜松市・静岡市との間で県のヘリが出動出来ない時は両市のヘリが応援出動する相互応援協定を結んでいた。
・事故当日は県のヘリがメンテ中だったため、静岡市のヘリが出動。
・静岡市消防局は市内最高峰の山(3190m)で遭難救助訓練を行っていたが、3500mという高高度の富士山での遭難救助は初めて。
・要救助男性は一刻を争う容態で天候も悪く、つり上げる準備をしている最中にも心肺停止状態に陥る可能性が高かったため、救助隊員は低酸素環境の中、凍傷や低体温症になりながらも救助活動を行い、簡易固定のままつり上げを敢行したが途中で金具が外れてしまう。
というような、悪条件が重なった事故だったみたい。
この事故後、静岡市消防局では高高度救助の困難さ(ヘリは空気が薄くなると揚力が低下するので制御が大変らしい)と隊員の危険度を考慮して3200m以上の高度での遭難に対しては出動しないことを決定。
うん、まぁそりゃそうだろうね。
命の危険冒して助けに行ってるのに、助からなかったのはお前らのせいだ訴えてやるって言われたんじゃやるせないわ。
遺族からしてみたら「救助されて当たり前」って思ってるのかも知れないけど、冬山登山で遭難なんて死んで当たり前で、助かったら儲けものって話。
訴訟を起こす権利は誰でもあるって言うけど、その内容が不当であれば当然非難されるべきで、地裁がまともな判断で却下することを望もう。
むしろ「そもそも救助に向かう人がいなければ要救助男性の死は確実で、簡易固定を選択したのも要救助男性の容態をおもんばかって一刻も早く搬送する必要があると判断した結果である。こうした自らの命の危険を顧みず捜索、救助に当たった救助隊の行動は賞賛に値するものだが、原告側は冬山の危険性を要救助男性に十分伝えて登山を思い止まらせる努力をしておらず事故の一端を担う過失と認定できるが、その主張はそうした過失に言及することなく一方的に救助隊を非難しており、あまりに利己的で全国で災害救助にあたる勇気ある人々の名誉を著しく傷つけている。原告が要求した金額を救助隊の名誉を傷つけた損害相当額と認定して、原告は被告への損害賠償を命ずる」ぐらいのことはやって欲しい。

事故でも病気でも、本来「死んで当たり前」なんだよ。
病気や怪我を治療したり、救助して貰ったりっていうのは自分じゃ解決できないことを人にやって貰うことなんだからさ。
本来死ぬハズだったんだから、医療活動や救助活動が何をしたって損害を生むはず無いんだ、明確に悪意をもってたら別だけどさ。
現代では「骨折」程度の怪我じゃ死ぬことはまず無いだろうが、一人山奥で足を骨折し、誰とも連絡を取れない状況であれば、水や食糧の確保もままならず、移動も出来ず死が訪れるのを待つばかり。
「助けようとしてくれた」と感謝こそすれ、「助けてくれなかった」と恨むのは筋違いじゃないかな。


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