Aさんは自分の幽体が日本風の若い僧侶の姿(薄い上衣と動きやすいはかま姿)になったので戸惑ったが、別に違和感はなかった
実を言うと、彼女は若い時からごくたまに、快活な青年のような心理になる瞬間があった
そんな時、彼女は誇りを持ち明快な気持ちであり、これが、彼女の魂の中に隠れていた弥勒青年(あるいは少年)の、本来の性質だったのだ
…今、彼女にはまだその実感はなかったが、とにかくその姿で、吉祥天と対峙した
すると、急に吉祥天は態度を変え、近寄ってくると、
「あらあ、いい男ねえ……人間で、こんないい男、見たことない…」
などと言いながら、もたれ寄ってきた
しかしAさんは (天上で修養をし、元々中性の心であり、) まじめな人だったのでぶぜんとし、立ってまっすぐよそを見たまま、き然と
「どうか離れてくれませんか、」
と言った
吉祥天は離れず口答えしたが、Aさんは冷たい態度でさっさと離れると、とうとう吉祥天と気の術で戦い、吉祥天が負けて、ごめんなさい、嫉妬した私が悪かったわと謝った
実はこれは全て、吉祥天がお釈迦様に言われてやった芝居だった
つまり、Aさんを男性の姿に戻れるようにしておき、なれなれしく話しかけて、Aさんの潔癖度を試すものだった
むろん、Aさんは今世では女性であるし、なびくわけもないのだが、彼女に兜率天でいた時の姿に戻ってもらう目的もあった
(吉祥天は帰った)
なお、Aさんが仏教の兜率天で日本人風の服装をしていたのは、将来日本に生まれるから、なじませておくためだった
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