…そして最後が3回目だ
育ての親 (巨大なカミサマのワケミタマ) のサマルトは、その後しばらくメッテッヤをイエス様に会わせず、結界に囲まれた区画内でひたすら、人徳などを磨く特訓を時々行っておられた
…それで心の基礎ができた所で、5才(人間の100才)になる日に、サマルトはメッテッヤを宇宙空間に浮かぶある星の裏側に設けられた、気の世界(それを便宜上須弥山と呼ぶ)に連れて行くことにされた
天界での高い波動の世界から、宇宙界の物質に近い低い波動の中にある、気でできた須弥山の世界にメッテッヤを移し、低い波動に十分慣れさせてから地球へと降ろすのだ
…その前日、サマルトは久々にイエス様を呼び、メッテッヤと別れを交わさされた
イエス様とメッテッヤは宮殿の一階の居間から、横の庭に面した白いテラスに出た
そして、二人でテラスの中央の縁に並んで腰かけた
遠くには、白い気でできた山野が見えている…
メッテッヤはできるだけさり気なく、
「ぼく、あしたここを出てよそに行くんだ、」
と述べた
彼はほんとは行きたくなかったのだが、サマルトに言い渡されていた
彼は慣れた天界のこの場所に満足していたから、他のどこかに行くことなど、考えられなかった
特に、父(サマルト)とは離れたくなかったし、たまに会うこの人にも、得も言われぬ親しみを覚えていた
それなのに、会えなくなるとは……
イエス様は黙って前を向いて聞いておられた
メッテッヤは、
「ぼく、お兄さんのこと、好きだよ……」
と言うと、隣のイエス様の肩に頭をもたせかけた…
「メッテッヤ……」
そうして二人はいつまでも、暮れなずむ遠くの白い景色をながめつつ、暗くなるまで動かなかった…
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