私は蛇が大嫌いです。
たぶん多くの人が同じことを言うと思います。
ところがそんな私が少年時代を東北の山の中で過ごしていたのです。
なまなかな山の中ではないのです。
冬などは自宅の前からスキーを履いて通学するようなそんな山の中です。
だから蛇との遭遇機会は非常に多かったと言えると思います。
自分の家の畑に入るとシマヘビ、自宅の納屋の薪置き場にはアオダイショウ。
自転車に乗っていると道端の草むらからいきなりシマヘビが横断。
そのたびにゾゾーッと鳥肌立ち自転車の運転が危うくなる始末です。
その当時はこんな山奥の集落にプールなんて洒落たものはなく夏は近所の川の淀みで水遊びをするのですが、そんな淀みにカラスヘビなる蛇(シマヘビの一種か)がわれわれと一緒になって水面を滑り泳ぎます。
そんな姿を見てしまったらとてもじゃないがもう水に入ろうなど思えなくなります。
いまでも思い出してはゾッとし直す遭遇経験があります。
忘れもしない河原で鬼ごっこしていた時のことです。
鬼に追いかけられ慌てて逃げ出し河原の石の上をポンポンと跳ぶように駆けていたのです。
飛び移る石がなくなり草むらに脚を着こうとしたらナント足を着く場所にヤマカガシがとぐろを巻いているではありませんか。
ヤマカガシと言えば色はきれいですがなんといっても毒蛇です。
ヤバイ!と思いましたが時既に遅し。
おもいきりヤマカガシを踏みつけてしまいました。
派手な蛇なので一瞬でヤマカガシと分かったのですが、噛み付かれたら大変です。
急いで足を上げ、反対の脚で別の場所に着地しようと跳んだのですがナントナント!ヤマカガシは
一匹だけではなかったのです。
結局反対の足でも別のヤマカガシを踏みつけることになってしまいました。
おかげで遊びどころではなくなってブルブル震えながら家に帰った思い出があります。
それ以来五十有余年私は草むらや藪の中、水辺を歩くことに常に躊躇しております。