掠れた独特な鳴き声が、深夜の事務所を取り囲みます。
確かに、’クラウディア’に、間違い有りません。
冷静に。と自身に言い聞かせ、給湯室に向かいました。
同僚の話の通り、何かを数えている様にも聞こえます。
ぃちにゃ~ク、にきゃ~く、と、、。給湯室に近付くにつれ、
鳴き声は、はっきりと聞こえて来ました。
そして、4客。ここで鳴き止む!と思っていたら、
’クラウディア’は、鳴き続けました。5客、6客、、。
給湯室前に来た時には、9客に。
覚悟を決め、給湯室を覗くと、姿は無いと思っていた
’クラウディア’が、其処に居ました。
その瞬間に思わず、「Oh!’クラウディア’、ナゼ、9客も数えるんだぁ!!」
と、答えが返って来る筈の無い、猫に叫んでいました。
すると、’クラウディア’は、人間の言葉で、
「年末年始の9連休。一緒に休暇を取ろうと思うから、
その分鳴いていたのさ!!」
。。お後が宜しい様で!?、、テケテン、テケテン、テンテン♪♪
、、落語のネタ落ち、、。
、、温かい、、ィェ、読んでしまった!方の、突き刺さる、冷たい視線、、。
、、それは、雨を、雪に変えて、ホワイト クリスマスに?、、メリー クリスマス!?<(_ _)>
割れた茶碗は、何時も使用している、九谷焼の唐草模様、湯呑み5客セットの一つでした。
同僚は、少し迷った様ですが、話し始めました。
姿を見せなくなった’クラウディア’の鳴き声が、深夜2時過ぎになると、
給湯室から聞こえてくる、、。
それは、何かを数えている様にも聞こえる。
そして、4回鳴くと止まり、暫くするとまた繰り返し、明け方迄続いた。
給湯室に行っても、’クラウディア’の姿は無く、鳴き声も止まる。
当然、そんな事は、信じられないと思うけど、、。
話を聞いて、猫版’番長皿屋敷’?冬の怪談!?
でも、割ったのは、普通の湯呑茶碗。虐めた訳でもない。
けれど、こんな嘘や冗談を、言う人ではないし、、。
気にはなりましたが、仕事の忙しさもあり、話の事は忘れていました。
しかし、深夜2時過ぎ頃、給湯室の方から、猫の鳴き声が聞こえて来ました。
’急’に続く。
去年の夏。
一匹の猫が、会社に姿を現す様になりました。
首輪を付けていませんでしたが、綺麗なキジトラでした。
サザン好きの同僚が、その曲名から、勝手に’クラウディア’と名付けて
呼んでいるうちに、何時の間にか、皆もそう呼ぶ様になっていました。
それから一年。
’クラウディア’は、会社のマスコットになり、何処に居ても、怒られる事は有りませんでした。
そして、12月になったばかりの或る日。
給湯室に居た’クラウディア'は、熱いお茶の入っていた、茶碗に触れて仕舞い驚いて、
それを下に落として割ってしまいました。其の儘、逃げる様に飛び出して行った
’クラウディア’は、姿を見せなくなりました。
給湯室には、怪我をしたのか血の跡が点々と、逃げ出した方に向かって残っていました。
基本的に残業は無い会社なのですが、どうしても年末年始休暇前に、
纏める仕事が入り、急遽三日間、交替で夜勤勤務をする事になりました。
三日目の当番になり出社すると、前日迄の夜勤をしていた一人が、
話し掛けて来ました。
’破’に続く。