日曜日に、東京ステーションギャラリーで開催されている「アルバー・アアルト展」に行きました。
日曜日の午後、覚悟していきましたが、やはりすごい混雑。
その混雑さに驚いてる「お客」の話しに驚きました。
「この人ってそんなに有名なのか?」
ですって。
アルヴァ・アアルトを知らないで来てるの?・・・
まあ、知らないと来ちゃいけない事はないですけど。。
それに、チケットをもらったから、という事もあるかもしれないし。。
アアルトの事や、その建築を知らなくても、アアルトがデザインした家具は知ってるかもしれません。
この展示では、模型や図面も多数展示されていて、その建物の写真と合わせてじっくり「アアルトの建築」を確かめる事ができます。
入口あたりの解説や若い頃の作品はすっとばしても(*)、それらをじっくり見たほうがいいと思います。
(*:実際、入口ですごく渋滞してるので)
振り返ってみると、「内容が濃いか?」というとそうでもないかもしれませんが、北欧の偉大な建築家の思考をいくらか感じる事ができるように思います。
展示場内は撮影できませんが、ひと通り見て会場を出ると、そこにラウンジ?があり、アアルトの椅子が置かれ、照明(ペンダント)が付けられていました。
[ 69チェア ]
この小ぶりな椅子が、結構座り心地良かったです。形は、一見、どうとうゆうものではないのですが、何気なくそこにある存在の温かさみたいなものがあります。人に寄り添う椅子・・というような。。
[ A330S ペンダント ]
かっこいいんですよね。これ!
展示場内に、ペンダントのコーナーがありますが、アアルトのペンダントは、それも暗いんですが、妙に惹きつけられるのです。真鍮を使ってる器具なので(*)光がオレンジ色・・・夕日の光みたいな感じがします。それもかなり日没近くの。
(*現在の製品は真鍮メッキらしい。?)
最後にショップを通ります。これ、買いました。↓
勢いというか。。なんとなく、感覚的に合う本でした。じっくり読んでみます。
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私が大学の研究室は、アアルトの元で仕事されていた武藤章さんの研究室でした。
その武藤先生から、アアルトについての講義をしていただきました。
その時に使った本がこれ↓
(武藤先生が訳)
表紙をめくると・・・
久しぶりに本を開いて気が付きました。武藤先生の話しを聞いてメモしたのでしょう。
なんと書いてあるかというと・・・
条件、機能に、素直に、自由な(プラン)、精神
と書いてあります。この時に聞いてメモした事、、、この歳になってすごくよくわかります。
今回の展覧会を見て、
「アアルトの建築は自由だな~」と思いました。
しかもそれは、個人的な形態の表現ではなくて、その建物を「使う人」や、(利用者じゃない)「外にいる人」の事をひたすら考え続けた結果の形です。
日の光の入り方や音の響きを考えたスケッチがたくさんあります。
複雑な形に見えても、メンテンナンスの事も考え設計されています。
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アアルトの建築は、決して「流行」を追ったのでも、作ろうとしたものでもなく、「人の心や行動」を深く考え、北欧という厳しい自然の中で在るべき姿を追い求めたものです。
とても優しく、そして 凛としています。しかも、なんだか楽しい。
本質的な建築です。そして、自由 を感じます。
・・
東京ステーションギャラリーでの「アルヴァ・アアルト展」は次の日曜(4/14)まで。
よかったら行ってみてください。
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武藤先生は、私が在学中に亡くなられてしまいました。私達の代が最後の研究生。
享年54歳。若かったな~。私はもうその歳を超えている・・・。
先生の講義に使った本を改めて開くとは・・・。なんだかいろんな想いがめぐります。