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昨年リフォームした 中板橋の家 を今年もリフォームします。昨年は2階3階で、今年は1階。
奥様Kさんは、この階段が嫌いです。
何が嫌かというと、閉塞感 を感じてしまうからだと。
「閉塞感 とは 狭い事? 薄暗い事?」
と聞くと
「抜け感がない」 という事だと言います。
「志田さんの作る階段は抜け感がありますよね」
Kさんが言いました。
この家は3階建の家。
写真は1階から2階へ上る階段。2階から3階へ上る階段も同じ位置で重なっています。
ハウスメーカーの家なので、階段の下面にはボードが張られ、きっと誰でも想像してもらえると思いますが「階段室」という「それ以外なにもない」という空気感があります。
それにしても何なんだろう・・・ハウスメーカーのつくる階段の「薄さ」
「薄さ」というのは、階段の板の厚さの事じゃなくて
意味のなさ、色とか光とか、気配すらないという感覚。
無味無臭・・ 無気力・・ 無表情・・ 息づく気配がない。
「階段は階段であって、それ以上何があります?」
これまでたくさんハウスメーカーの階段をみてきたけど
その階段を上り下りする時に、そんな声が聞こえてくるような感覚があります。
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中板橋の家の階段と、同じような形の階段が、私の設計した家にあります。
それが、1枚目の写真。 鳥牛之家 という密集地に建つ小さな家の階段です。
密集地であるために、1階はそれほど明るくありません。
玄関から入って正面に階段があります。明るくはない廊下の先に、温かい光の中に上っていくような階段にしたいな、と考えました。
階段を、寂しい場所にしたくないんです。
家の中のどこも、温かい場所でありたいんです。もちろん階段も。
「温かい」とは「温度」ではなくて「ぬくもり」・・というか、守られてるような感覚。
階段って、楽しい場所です。
上ったり下りたり、1段ごとに見え方、見える景色が変わります。
座れます。階段に座るって、意外と楽しいです。
狭さが、気持ちよかったりもします。
片隅が秘密基地のようにもなります。(妄想^^)
「階段は階段であって、それ以上何があります?」
って聞かれたら
「楽しい事がたくさんありますよ」
って答えます。