街歩きをしていて外壁の汚れが・・異常に汚れてたり苔が生えてたり・・する家が時々目につく。
それは全て、屋根の軒が出ていない、いわゆる「軒ゼロ」の家。
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最初のこの家の場合、雨降り後だったが、1番のところが色が違う。
ちなみに1~3まで、北側の面。
屋根を見ると「片流れ屋根」の一番頂上。軒は出ていない。築後何年かは経っているはずだが、降りつけた雨が多少浸み込んでいるのか、他の面より色が違う。
同じ北面でも、2番の壁は、乾いている。樋(とい)があって、、約10cmくらいだろうけども、それが屋根の軒の役割をしている。
また、1番の壁も、下の3番の部分は、玄関ポーチの屋根が延長しているので、その壁は濡れてない。
もう一度1番の壁を見ると、窓下の部分は乾いている。窓の水切りがあるだけでも違いが出る。
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この写真も、北側の壁。上を見ると屋根の軒は出ていない。
玄関の上は、意匠的なのだろうけど、板が横張りされている。
並びの白い壁と比べても汚れているのがわかると思う。
それは、たくさんある板の目地に溜まった汚れが雨降った時に流れるせい。
木なので水分を含んでいる時間も長く、苔がついてしまっている。
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この家は、丘陵地の宅地に建っている。大雑把に言うと、道路が西。
縦樋(たてどい)がある面が北側。
玄関ポートの部分は意匠的にタイル貼り。その上の壁は吹付。
写真のまん中の縦樋のある面の壁を見る。
屋根の軒は無いが、横樋があるので、それが軒の役割をしていて、吹付の壁の部分は、あまり汚れてないが、その下のタイル貼りの壁から急に汚れ、というか苔が生えているのがわかる。
2番目の家と同じように、タイル目地にホコリや土が溜まり、雨水が溜まりやすくなり、そこに苔が生え、タイル面に広がっている。
ポーチの内側の壁も苔が生えているのは、ほんのちょっと吹抜があって、雨がかかるから。
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都心の狭小地に建つから「軒ゼロ」になるのは100歩譲って理解はするが、「軒が無い家がカッコいい」という考えで作られる家が増えていて、その結果、この3軒の事例のように、異常に早く壁が汚れる。使っている材料の問題ももちろんある。それだって、「見た目だけ」の結果。
単に汚れの問題だけではなくて、雨水が流れる量が多いと壁材の表面が劣化しやすくなり、その結果外壁材が雨水を吸いこむようになれば、水が壁の中に入り込む確率が高くなり、そうすると柱を濡らし、腐らせたり白蟻にやられたりして、家の寿命に関わってくる。
樋があるだけでもその効果があるのだから、せいぜい10cmくらい屋根の軒を出すだけだって、外壁の汚れ方がぜんぜん違うのだ。
日本の場合、雨も多いし、湿度も高く苔が生える率も高いし、苔が生えればますます土が溜まって汚れが加速する。やはり、屋根の軒は、日本の家では絶対に必要。
それでも「軒ゼロ」にしたいなら、雨水がどう流れていくか?をよ~く検討しないといけない。