2002年に設計監理し完成した家 K-house のリフォーム工事が始まりました。
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代が変わり、息子さんご家族が住むために、家をリフォームします。
工事内容のひとつは、2階にあった「納戸」と「トイレ+洗面」部分をつなげて、大きなウォークインクローゼットを作る事です。
上の写真は、納戸の壁を壊し始めたところ。
下の写真は、壁の向こうの「トイレ+洗面」とつながった様子。
この家を設計した時にここも、すごく考えた場所です。作るのも、大工さんは簡単ではありませんでした。
だけど・・ 壊すって、簡単ですね。
そんなに感傷的ではないですけど。。
約1カ月半の工事です。どんなふうに変わるか・・・楽しみです。
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この写真は、1階の洗面脱衣室の、洗面台の脇の壁に作った収納です。
壁の一部が収納になっています。・・・・というふうに見せるために考えました。
収納の扉も、壁の一部であるかのように「見せる」ために目立たないように考えました。
それを改めて見て・・・「違うな、これ」って思ってしまいました。
形はともかく・・・「使い良くはなかったかも」と思ったんです。
「壁に見せたかった」から、取手をつけていません。収納の扉の小口に、「引手」をつけてあります。
今日触ってみて・・・ なんというか・・・ 開け心地が良くない。
いや、別に扉開けるのに「快適」と思ってもらう事もないんだけど
なんとなく「開けずらい」かな?って感じてしまいました。
シンプルに、、目立たなく、、デザインする
それは悪い事ではないんだけど
人が使うものであるならば
動作する時に、何か感覚的に「ひっかかる」事はあってはいけない
と、今は考えています。
この収納でいえば、扉を開ける時に、”指がツルっと滑る”とか、”腕を上げるときにちょっとギコチなさを(無意識に)感じる高さ”だったりとか
そういうのが「ひっかかる」感じです。
・・
この家は、当時70代のご夫婦のために設計しました。
39歳だった私は、”ご夫婦が使いやすいように”とは、もちろん考えました。
でも、本当には考えきれてなかったんですね。
そもそも70代の人の、身体的な感覚を 理解できてなかった。。
そして、自分のエゴの表現でした。
70代の人の身体的な感覚を 今は理解できます。
60代はもちろん、80代の事も(両親がそうだから)理解できます。
自分自身がそちらに近づいてきてますから
70代80代と同じではなくても、実感する部分もあります。
その上で・・・
今・・・
良いデザインとは
「わかりやすい」事。
「使いやすい」事。
があるものだと思います。
もちろんそれが絶対ではなく、理解された上で「使いにくさ」を楽しむ事も、「良い」と思います。
理解してもらって・・・それを楽しんでもらえるなら!です。
私の考える『良いデザイン』は・・・
「わかりやすい」事。
「使いやすい」事。
そして
「シンプルであり、端正である」事。
ただしそれは、暮しの器としてのデザインであり
そこに暮らす人のラフな暮しを受けとめらるものです。
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使いやすさ優先で 介護用の道具とか仕様みたいなのも、ちょっと違うと思っています。
あれを見たとたん・・ 「介護なんだ。」つまり「もう歳なんだ。」と思ってしまいますよね。
デザインって、そうじゃなくて、、、それがある事で、それを使う事で元気になるものを作る事です。
そう思います。