『 私達の暮らし方まで考えて貰えるとは思っていなかったので、驚きました。 』
これは、ある家の設計中の時、メールのやりとりの中にあった施主の言葉です。
多くの方は、ご自分の実現したい「家」というものに対して、イメージを明確にはできていません。
「家族が笑い合い、いっしょに居られる家」
が欲しいというご希望は多くの方に共通する事ですが、ご家族の人数や年齢、共働きであるという状況とか、それぞれ違います。同じような事を言っていても、それを元に実現したい家の形は、変わってきます。
打合せや、メールでのやりとりの中で、いろいろな事についてお話をしていきます。
・ 家を欲しいと思った動機
・ それまで住んできた家
・ 暮しの中でどんな場面が「好き」とか「いいな」と思えるか
・ 同様に、、どんな場面が「嫌」とか「寂しい」とか感じるか
・ 生活のパターン
・ 今の暮しについての不満
・ 5年後 10年後 ・・と、出来上った家で、家族はどんなふうに暮しているか
など、具体的な家の形以前に、
・ ご自分にとって気持ちいいもの
・ 暮しの中で大切にしたい事
を掘り起こしていくような話をしていきます。ある程度プライベートな部分の話にもなりますが、「どんな暮しをしたいか」という事を、施主と私と いっしょに考えていくのです。
そんな事をするのか!・・・・ というふうに驚かれたのが最初の言葉です。
そもそも「家」というものは、育った家 や おじいちゃん・おばあちゃんの家 や 独立してから住んでいた家 など、それまでの「家」の実体験や強く残っている印象も大きな要素ですから、上記のような事を考えていくと、ご夫婦であってもお互いの考えが違っていた事に気づく事にもなります。
そんな事を話合っていくと、ご夫婦の場合には、今までで一番お互いの事を話し合い、そして一番相手の事を知る事になるのではないかという気がします。
家作りというのは、そうゆうきっかけであって、これから先、共に生きていくために、とっても大切な事だと思うのです。
だから
カタログでパーツを選んで家を作ったりする前に、自分が本当に実現したい暮し、気持ちいい暮し、お互いの事、、そんな事を真剣に考え、話合う事が大切なんです。そして、夢を、未来の姿を共有する事が・・・。
片方が盛り上がり、片方が冷めていて そして家が出来上ると、 「 こんはずじゃなかった 」 とか 「 (設計してる時に)はっきり言えばよかったじゃないか 」 とか・・・ 「 幸せな家 」 じゃなくなってしまいます。
夫婦が ともに作る のではなければいけません。1から10まで価値観が同じという事もないでしょうから、譲り合う部分も出てくるでしょう。でも良く話合った結果なら、それは納得できる事です。
ただ
あまりに考えが違って感情的になり、夫婦仲が壊れても困ります。なので、双方の考えを解釈し、違う視点で提案する設計者も、必要なのです。第三者に言われて「なるほど」と思える事もあるでしょう。
うちでは幸いそんな場面は無い・・(知らないだけ?) ですが、そんな「第三者」には、できればなりたくありません。
私は、大袈裟に言うと、半分くらいは、いっしょに住む家族のような気持ちです。施主の気持ちや考えを共有し、いい家 を作りたいと思っていろいろお話をし、家を考えていきます。
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志田さんと今日お話しして、自分たちのやりたい方向性や気づいていなかった面が見えてきたように感じています。
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私のメールへ当たり前のように、文を深く読み取っていただいた返信をしていただいて、ありがとうございました。作られるお家の雰囲気などから、いままでもなんとなく、「大丈夫」だと勝手に信頼させていただいていたのですが、やっぱり、きっと志田さんとは一緒に家作りができるんじゃないかなと感じました。
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家族の良いところをみてくださり、ありがとうございます。きっと、志田さんの目は、良いところを発見出来るセンサーがついているんだと思います。
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以上は、打合せ途中でいただいたメールの中の言葉です。
特別な事をやっているわけではないんですが、施主にとって いい家 であるために、うまく言い表せていない事をくみ取りたい、いや、むしろそうゆう事の中に、本当に作りたいものがあるんじゃないか、と思っているのです。
そして
ともに作っていきたい と思っています。
幸せな家のために。。
(終)
絵は、鴻ノ巣の家 (マンションリノベーション) の最初のプレゼンテーションに出したスケッチです。(なつかしい~)
施主Aさんの家づくりのテーマは、家族の自主性の尊重、でも家族はひとつである事。本当はちょっと違ったんですが、今思えばそうだんたんじゃないかなという気がします。
元のLDKと和室をひと部屋にし 家族4人分の机を作り付した、キッチンを含む大きなリビングを提案しました。
Aさんは最初に、5年後 10年後 15年後 のご家族の姿を物語風に書かれました。
設計コンペだったのですが、Aさんは私の案を・・ 私を・・ 選んでくださいました。その理由は「とても熱い人だったから・・」(だったと思う。。)要は、しつこかった という事なのでしょう(笑)。でもそれは、家族の未来図を書く人にすごく興味を持ち、どうしてもやりたかったからでした。本当に「いっしょに作った」と言える家づくりでした。
ご自分の、、ご家族の未来図を描き、ともに いい家 をつくりましょう
家族が笑いあい、自分らしく丁度いい暮しができる シンプルで上質な住まい を提案します。
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