友人から、国立西洋美術館で今やっているのが面白いらしいと聞き、調べているうちに見つてしまった。
常設展で展示されているハマスホイの絵を。
それを知って「そのうちいつか行こう」とは思えず、数日後に思いきって西洋美術館に向かった。
西洋美術館の常設展はそれほど展示の入替えがないので、ほとんどの絵を見ずに、ハマスホイの絵のある1階展示室に向かった。
その展示室に入るとひと目でその絵がわかった。
描かれている光がひときわ美しいかった。
『ピアノを弾く妻イーダのいる室内』1910年
4年ぶりの再会。
美しい光、静かな時間、が描かれている。妻イーダがピアノを弾いているはずなのに「動」的なものを感じないのがハマスホイの特徴。
それを「静寂」と私は思っていたの
だが、「静謐(せいひつ)」と言うのだそう。
行ったり来たり、遠くから眺めたり、しばらくずっと見ていた。
そこでふと気がついた事がある。
絵画とは平面の絵であり額縁で区切らて以上の空間を感じるはずがない。
だけど
左を見れば、その部屋の左方向の奥行きを、右を見れば右側奥の奥行きを感じるのだ。
それはきっと、丁寧に描かれた光のグラデーションと影によるのではないだろうか…。手前にあるテーブルと下の床に映る光も妥協なく描かれている。
そんな事に気づくと(思い込みかもしれないが)ますます他の作品を観てみたくなってしまう。
そんな事に気づくと(思い込みかもしれないが)ますます他の作品を観てみたくなってしまう。
いつかあるだろうハマスホイの展覧会を、想う。
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ハマスホイ(現在はこの表記らしい。以前はハンマースホイ)と聞くと苦々しい想いが蘇る。
2020年1月から3月まで東京都美術館で
展が開かれ、会期半ばで閉幕してしまった。あのコロナ騒動のせいで。
私は1月に見に行き、会期中にもう一度行こうと思っていた。それくらいすごく良い展示だった。なのに…。
今思い出すと(ドラマなど見る)戦時中にどんどん世の中が不穏になり人々の行動を締付け規制していったあの様子と同じだ。
閉幕した展覧会は次の開催地の山口県に移動した。コロナ騒動も少しは落着き展覧会は開催されるものだと思っていたのに…一度も開催される事なく、終了してまった。
私は一度見れたからいいものの、楽しみにしていた多くの人や、展覧会に関わった多くの方々はどれだけ無念だったかと思うと、やるせなさと怒りが込み上げる。
またいつか、日本で開催される事を願って止まない。