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小窓

Takanawar121116

高輪の家R の階段の最上部に 小さな窓 を作りました。

その小窓をつけたところは、小屋裏にある物入部分で、そこには、採光通風のために小さな窓(北側)があります。工事前は、その物入のためでしかなく、もったいないな と思いました。今回の工事では、その物入の床を減らし、階段の吹抜けとし、物入と階段の境の壁に作ったこの小窓は、階段に、明かるさを取り込むためのものです。

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窓は、光(明るさ)を取り込むもので、その大きさに比例して、入る光の量も増えます。窓が大きいほど明るくなるのはいいけれど、それも使い方次第です。特に外壁の窓の場合には、サッシが大きいほど、夏場の外部の熱の入る量が、冬場は室内の熱の失われる量が増えます。また、たくさんの光が入り明るくなるという事は、影(暗さ) がなくなるという事・・・ つまり 大袈裟かもしれませんが、情緒 がなくなるという事です。

昔の日本建築は、深い軒で、入る光の量を制限しました。教会などでは、高窓からの光やステンドグラスで光に効果を与えています。そういった光の中で、人の感情 や 心理的 な深みが産まれます。その中に居る人の気持ちを豊にしてくれるものです。

また、窓は、「そこが壁ではない」という事を表すために使う事もあります。窓というよりは「ガラスの仕切り」という使い方です。建築の純粋な形態を表現するためで、窓は「有るもの」ではなく「無」を表します。

私は、どちらかというと、光を効果的なものとして考えたいと思っています。ただ単に明るさを得るためのものというだけではなく、1年のうちのたった数日の、そして数分でしかないかもしれないけれど、そこから差し込む光が、心に浸みこむ状景を作るものとしての窓をひとつでもふたつでも作りたいと思います。

窓が小さければ、演出的には「効果的」ですが、日常の暮しにはそれでは不十分です。明るさと換気と効果と、そのバランスに悩みます。

ただし、高台だとか、森の中や、目の前が海だとか、そうゆう自然の豊な風景が広がっている場所の場合には、根本的にそれらを堪能できるよう、「無」としての窓を考えます。




木造住宅の全面改修 (リノベーション)  高輪の家 R




東京 暮しリノベーション > 志田茂建築設計事務所

思い描く暮らしの物語がはじまる上質な場 をつくります。



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