著者の天外伺朗氏は、ソニーの上席常務、工学博士でAIBOの開発責任者だった土井利忠氏です。
この本では、合理主義、市場経済主義を追求する従来の経営学が、企業と社会の行き詰まりを生んでいると論じています。
確かにそれらを追求しすぎた、昨今の企業、経済危機を見れば頷けるところです。
これからは、個々人の内なる精神、楽しさや幸せをベースとした人間性経営を行っていくことが重要であると説いています。
最近、社員を徹底的に「信頼」することで奇跡を生み出す、新しい企業経営の潮流が現れ始めています。
そこには「燃える集団形成」や「フロー経営」という言葉も登場します。
また老荘思想のベース、タオによるマネジメントや、ユング派分析家のアーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学などを引き合いにしながらそれらをひも解いています。
ここであげられている、サウスウェスト航空や、ゴア社、パタゴニア、そしてブラジルのセムコ社などの経営スタイルは、私たちが提唱するFISH哲学やサーバントリーダーシップにも大いに通じるところです。
私は、こうしたスタイルを総称するものとしてのサーバントリーダーシップに大いなる意味を見出しております。
確かに合理性と効率性を追求し、左脳偏重型のマネジメントスタイルに陥ると、どんどん苦しくなるし、追い詰められていきます。
問題を解決したり、新しいビジョンや夢を語るときには突飛さだったり、遊び心だったり、楽しさだったりというエネルギーが必要でしょう。
それを、どのように企業経営に活かしていくか、また導入している企業はどんな経営になっているのかを事例をあげながら解説してくれている素晴らしい本となっています。
これからの基軸を作っていけるに違いありません。
ヒューマンスキルアップの専門教育機関
Human Unity LLC/ヒューマン・ユニティ(合)
代表 網中 達也
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