ひらつかウオーキング協会

シニア世代 健康保つには

シニア世代 健康保つには

栄養バランス 適度な運動 社会参加 持病の悪化予防


 新型コロナの影響で長く続いた外出自粛も解除され少しずつ外に出る機会も多くなってきました。しかし、また熱中症対策による外出自粛。こうして家に閉じこもる生活が続くと、筋肉が減り、関節は硬くなり、様々な不調がおきて気分も滅入ってしまいます。そして、こうした生活が続くと「フレイル」になりやすいと言われています。「フレイル」については、以前にもスキルアップ研修の報告の中で書かせてもらいましたが、この時期だからこそ、再度書いてみました。

 「フレイル」とは何でしょう。歳をとって心身の活力(筋力、周知機能、社会とのつながり)が低下した状態を「フレイル」と言います。フレイルは「虚弱」を意味する英語「frailty」を語源として作られた言葉です。多くの人が健康な状態からこのフレイルの段階を経て、要介護状態に陥ると考えられています。フレイルになる原因に、明確なのものはありません。ただし、加齢に伴う心身の変化や慢性的な疾患などによって身体が思うように動かなくなる「サルコペニア」になることが、ひとつのきっかけと考えられています。


 サルコペニアになると筋肉量が減少して基礎代謝量が低下します。基礎代謝量が低下すると1日のエネルギー消費量も当然減ります。そのため、食欲の衰えによって食事の摂取量が減少し、低栄養状態になります。
 そうなるとさらにサルコペニアが進むことになります。このような悪循環を繰り返すことでフレイルが進行する可能性が高くなります。
 サルコペニアとは、ギリシャ語の「sarx (筋肉)」と「penia(喪失)」を合わせた造語です。加齢や疾患、心不全、消化器疾患などが原因で筋肉量が落ち、筋力が低下することでものをつかんだり、歩いたりすることが困難になる状態のことを言います。サルコペニアには加齢による「一次性サルコペニア」と、活動量の低下した生活や無気力状態などによる「二次性サルコペニア」があります。サルコペニアによって基礎代謝量が低下し、低栄養などを経てフレイルの状態が進行します。

それでは自分がフレイルかどうかを診断してみましょう。明らかに自分は関係ないという方も試しにどうぞ。

フレイルの診断基準は、以下の5項目が挙げられます。
①体重を減らそうとしていないのに、年間で4.5~5kg以上も減少する
②何をするのも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある
③歩く速さが遅くなる
④握力が弱くなる
⑤体を動かす機会が減り、身体活動量が低下している


 この5項目のうち、当てはまる項目が1~2項目であれはフレイル予備軍の「フレイル」、3項目以上当てはまるならフレイル状態に該当します。如何でしたか?
 加齢が進むなかで食事量が減ってくると、体重や筋力が次第に低下していき、握力も減少していきます。また、体の衰えが進んでくると、外出して人に会うのはおろか、部屋から出ることすら面倒になるかもしれません。
 このように、体の衰弱がさらなる衰弱を呼ぶという悪循環が進むと、やがてフレイル状態に至ってしまいます。
  
 東京大学高齢社会総合研究機構の研究では、フレイルは3つの要素で構成されていることが明らかにされています。動作が遅くなる、転倒しやすくなるなどの「身体的要素」、認知症やうつなどの「精神的要素」、さらに孤独や閉じこもり、経済的な困窮などの「社会的要素」です。
 そしてフレイル状態への移行に大きな影響を与えるのが筋力の衰弱です。筋力が衰えた状態のサルコペニアや運動器が障害をきたした状態「ロコモティブ・シンドローム」を経て、その後、生活機能全般が衰弱するフレイルとなります。そこからさらに要介護状態に至るというのが衰弱する高齢者の典型例と言われています。
 「サルコペニア→フレイル→要介護状態」という状態にならないためには、最初の段階であるサルコペニアになることを防ぐこと、あるいはその状態を改善することが大切なのです。
  
 それでは、フレイルを予防するためにはどのようにしたら良いのでしょう。3つの柱があります。それは「栄養」(食・口腔機能)「運動」「社会参加」です。
 フレイル予防においては、食事にも注意が必要です。
 「1日3食バランスのとれた食事」が大切です。ポイントは、筋肉の元となるたんぱく質をどれだけ摂取できるか、ということ。筋肉量を維持するために、高齢者は若い世代以上にたんぱく質を摂取し、筋肉の構成を促進するアミノ酸の血中濃度を上げなければなりません。フレイル予防の観点からすると、性別に関係なく、体重1㎏あたり1g(体重60㎏の人は
60g)のたんぱく質を日々の食事で摂取するのが望ましいと言われています。
 口周りの筋肉も加齢とともに衰え、活舌が悪くなったり、食べこぼしが増えたりします。噛めないからと柔らかい物ばかり食べていると、さらに噛めなくなります。このような状態をオーラルフレイルといいます。オーラルフレイルとは、口(オーラル)の虚弱(フレイル)という意味です。放置すると、全身の筋肉や心身の活力の衰えが進みます。

 筋力の低下は足腰から進みやすいので、フレイル予防のためには、「適度な運動をする」ことです。ウォーキングのような有酸素運動が有効とされています。
 有酸素運動には血流をよくする・疲れにくい身体にする・動脈硬化を防ぐ・脂肪を減らす、などの様々な効果があります。1日8000歩とか10000歩歩くと良いと言われていますが、高齢者の場合は最低でも1日5000歩以上歩くようにすると、筋力の低下を防げると言われています。6月号で紹介した、スクワット・もも上げ・ひざ伸ばしのような筋トレも効果があります。いずれにしても続けることが大事なんです。
 意外に思うかもしれませんが、筋肉は何歳になっても増やすことが可能なんです。
  
 フレイルを予防するためには筋力を衰えさせないことが大事です。それに加えて「社会的な孤立や意欲低下を防ぐ」ことも必要となります。
 高齢になると若い頃よりも物事に取り組む意欲が低下し、人と接するのが面倒になる人も少なくありません。しかし、社会との接点が減ると、家に閉じこもりがちになって人と話す機会が減り、場合によってはうつ傾向が出ることもあります。今は地域の集まりやウォーキングイベント等も中止になり、機会が減っていますが、精神を健康に保って活動量を上げることがフレイル対策においては大切です。


 自分にフレイルの兆候はあるのか?  
 神奈川県では、60歳以上の方を対象に、フレイルチェックを実施するための取組みをしています。現在、横須賀市、平塚市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、海老名市、厚木市、座間市、中井町、湯河原町でフレイルチェックを実施しています。

 「自分の筋力が虚弱化した状態に陥っているかどうか」を簡単にチェックできる方法があります。
 ひとつは、「指輪っかテスト」という方法です。
 両手の親指と人差し指で大きな輪を作り、足のふくらはぎの一番太い部分を囲んで、輪にどのくらい余裕があるのかを調べます。
 もし指で囲んですき間ができるようなら、筋肉量が少なくなっていると判断されます。

 もうひとつは、左にある栄養状態や運動習慣、社会性などを評価できる「イレブンチェック」です。
 Q4、Q8、Q11の項目で「はい」、それ以外の項目で「いいえ」がついた数が多いほど、フレイルの可能性が高くなります。


フレイルのイレブンチェック項目
1..同年齢の同性と比較して、健康に気をつけた食事を心がけていますか  
2.野菜料理と主菜(肉または魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか 
3.「さきいか」「たくあん」くらいの固さの食品を普通にかみ切れますか 
4.お茶や汁物でむせることがありますか 
5.1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか 
6.日常生活において歩行または同程度の身体活動を1日のうちに1時間以上実施していますか
7.ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか
8.昨年と比べて外出の回数が減っていますか
9.1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか
10.活気にあふれていますか
11.何よりまず、物忘れが気になりますか


 いかがでしたか?
 長々と書いて来ましたか、これを読んでいるみなさんのほとんどは「フレイル」なんて関係ないと思っていると思います。
 しかし、ウォーキングイベントもなく、家にいる時間がコロナ以前とは全く違った生活で、外に出るのが億劫に感じたことはありませんか? そして体も暑さに慣れていないなかで心配される熱中症。ますます外に出ることが不安になってきます。
 そうすると運動量は減ってきます。運動量が減ると食欲が落ち、栄養不足から筋肉量も低下してますます運動しなくなってしまいます。
 そんな悪循環に陥らないためにはウォーキングイベントが自粛されている今こそ運動量を減少させない生活をしていくことがカギとなるのです。  鎌田

出典:神奈川県HP、よくわかる介護ガイド
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