音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Fred Hersch/Whirl

2010-11-06 16:30:37 | ジャズ



この気持ちよさを表現する言葉がなかなか見つからない。

Fred Herschは本当に私にとっては特殊解で、Blog関係の方々の記事なくしてここまで聴きこむことはなかったと思う。しかしこの言葉にしにくいなんとかは自分が堀部安嗣の建築でブツクサ言っていたことがそのまま当てはまっていた。

突出した何かというのは見えにくいが、細かいものの積み重ねで何かが成っている。

繊細と思える音を出しながらミスタッチを恐れない荒っぽいプレーも混在。
綺麗に走るフレージングと思えばフッと止まるタイム感。
つまり繊細なのか荒いのか、上手いのか下手なのか判らないのです。

それにしてはこの良さは何だろう。これを朝から晩までリピートしていた日があるんですが、飽きるどころか毎回気持ちいいのです。止める理由が生まれなかったというある意味「神盤」です。

今までHerschはソロばかり聴いてましたが、トリオはトリオでまた別の味があります。このトリオのメンバーはHerschをすごく理解しているんでしょうか。Herschの世界にしっかり寄り添っている印象。

そして生まれている独特のスイング感が「シトッ」としていて良いのです。リズムの間に落とされるタッチの力感もなんというか、何度でも押したくなる感触のスイッチボタンのような、又はナタデココのような食感というか(結局無理やり言葉にするとこのありさま。なんだナタデココって)。

曲もオリジナルはもちろんそれ以外も「シトッ」としている統一感でしょうか。

あとは、もしかしたらいろんなものが解決している様で解決していないかもしれないということ。
ハーモニーやフレーズ、タイム、オリジナル曲(進行が解決してるしてないはまた別問題)の作風も。完結させてない感じ。

判りやすい音波は脳が記憶しやすく、そうなると飽きると聞いたことがあります。
そういう意味ではいろいろなことが単純ではなく、脳が憶えきれない音楽なのかもしれないです。でないと一日中聴けない。

ジャズ自体が記憶しにくいものだと思っていますが、Herschは表面的にはエレガントですがひときわ複雑な内容を擁している気がしてならないです。




お好み度:●●●●● ●●●●○(更新しました)



1. You're My Everything
2. Snow Is Falling...
3. Blue Midnight
4. Skipping
5. Mandevilla
6. When Your Love Has Gone
7. Whirl
8. Sad Poet
9. Mrs. Parker of K.C.
10. Still Here


Fred Hersch-piano
John Hebert-bass
Eric McPherson-drums



2010年作品