音楽という食物

ジャズ系を中心に好きな音楽について

Branford Marsalis & Joey Calderazzo/Songs of Mirth & Melancholy

2011-06-29 03:48:07 | ジャズ




Branford Marsalisといえば自分にとっては未だに「Engrishman In New York」のソロの人。中学生頃、HR/HMをメインに聴いていましたが珍しくSaxに耳を取られて「凄くいいなぁ」と思っていました。

こういうわけでジャズでの活動は特に追っかけていないのですが好印象な人です。


そしてこのJoey Calderazzoとのデュオは想像していたよりずっと良い。

ジャズに拘らないBranfordの音がたくさん聴けて嬉しいし、正五角形的バランスの実力者というイメージのCalderazzoもその印象はそのままなのですが、盤石の安定感と幅広い音楽性で正面からちゃんと聴かせてきます。クラシックもかなり弾く人だったんでしょうか。

特に「5」は凄いですね。Calderazzoを過小評価してました。同じ位Branfordもやらかしてますが、Calderazzoの内面に揺らめく炎そのまんまという感じのプレイには参りました。

Branfordが思いっきりshoterっぽい「4」は、本気度は伝わってきますが冗談なのか本気なのかわからない。本気でもユニーク。

アルバムの中盤は割とシリアスにクラシカルに来ますが、始めと終わりが元気に明るいのはやっぱりこの方々、というかBranfordな部分なんでしょうか。「5」なんかでも案外終わり方はケロッとしてるんですよね。



この作品はBGMっぽく聴くというよりは思いっきり大音量の方がいいと感じています。
音を上げるほど気付くし気持ちが良いです。いわゆるジャズにおけるデュオとは違いますが(そういうトラックもありますが)、個人的にはSaxとPianoによる音楽の新名盤だと感じています。





Branford Marsalis & Joey Calderazzo/Songs of Mirth & Melancholy
●●●●● ●●●○○

1.One Way
2.The Bard Lachrymose
3.La Valse Kendall
4.Face on the Barroom Floor
5.Endymion
6.Die Trauernde
7.Hope Buy
8.Precious Buy
9.Bri's Dance



Branford Marsalis - Saxophones
Joey Calderazzo - Piano




2011年作品





Pianist・Waltz for Bill Evans

2011-06-25 20:31:51 | ジャズ



ジャケからしてただのオムニバスかと思いきや、ほとんど新録という。

正直したたかな企画盤だと思いますが、中身が気になりすぎる。
基本ソロやトリオには目がありません。
Chickのトリオの音源も被りが無いということで購入。



「1」の小曽根のHOW MY HEART SINGS、良いオープニングです。選曲良し。泣ける。


「2」のChick、Gomez、Motianのトリオは正直正規盤が出るまで取っておきたかった。
しかしMotianの世界をChickがきちんと反射した音世界を作っていて期待できることがわかりました。
エバンスゆかりの曲で刻むMotianはやっぱりたまりません。思い入れがあるのは全世界共通でしょうね。


「3」。初ハクエイ・キムです。ドライでかつドライブしますね。なるほどこれが話題の。テーマが木端微塵ですがな。
ところで大槻“KALTA”英宣という方のドラム、良いですね。これは強力だ。


「4」の山中千尋はやっぱり良いです。HERE'S THAT RAINY DAYなんて「Alone」での演奏が死ぬほど好きなのですが、
ここでは重さを体現している気がします。シンプルで重い。ちょいファンキー節が出るのはあまり好みではないのだけれど。


しかし更に凄いのが「5」の大西順子のトリオでした。
この集中力は凄い。この人こんなに凄かったっけか。超が付く名演では。
「すげー!」って言っちゃいました。車で。


この前半が後半のテイクよりそれぞれ良いと感じています。


「7」は既出のテイクですが、上原ひろみがどうしても良いと感じられない私はあのデュオ盤もほとんど聴いていないのです。が、このVERY EARLYと他数曲は印象に残っています。



こういったオムニバスに各ミュージシャンがどのような状況で取り組んだか、なんていらないことを考えてしまうのですが(例外のテイクはあるが)、Evansのもとには問題なく集ってサクッと良い演奏が出来てしまう、というより良い演奏になってしまうんでしょうね。皆スイッチが入ってます。

その気持ちが伝わってくるのは聴き手もEvans大好きだから、というのもあると思います。



ジャケとか「Pianist・Waltz for Bill Evans」なんてタイトル、かなり恥ずかしい感じでうーん、、、てところですが、
入門編というよりはそれぞれのミュージシャンが好きな人の方が楽しめる内容だと思います。




Pianist・Waltz for Bill Evans
●●●●● ●●○○○




01.HOW MY HEART SINGS
02.WALTZ FOR DEBBY
03.ISRAEL
04.HERE'S THAT RAINY DAY
05.NEVER LET ME GO
06.NARDIS
07.VERY EARLY
08.YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
09.WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?
10.I SHOULD CARE



小曽根 真-piano(01.06)

Chick Corea-piano/Eddie Gomez-bass/Paul Motian-drums(02)

ハクエイ・キム-piano/杉本智和-bass/大槻“KALTA”英宣-drums(03.09)

山中千尋-piano(04.10)

大西順子-piano/Reginald Veal-bass/Gregory Hutchinson-drums(05.08)

Chick Corea & Hiromi(07)



2011年作品






Pat Metheny/What's It All About

2011-06-22 08:19:11 | ジャズ



Patが弾くThe Sound of Silence。確かに興味津津です。
イントロは完全にPatの世界。素晴らしい。なにか日本の楽器ももっと何かできるのでは、なんて思ってしまうオリエンタルな音。
ところがその後出てくるThe Sound of Silenceの旋律がイントロに負けている。
これが問題なのかどうなのか。

普段はスタンダードやポップス、ロックのカバーは結構嬉しい方なんですが、今作は全般この印象がつきまとう。

やっぱ、Patのオリジナルは素晴らしすぎるんじゃないという再確認。
それをPatが弾くとまた一番良いということも凄い。
全てのミュージシャンが行きたい境地にいる人なんですよね、きっと。というか絶対。

今回はなぜこういったソロなんだろう。本当に作りたかった作品なのか。
Orchestrionで色々厳しくなったのかなんてことも思わなくもない。
そうだとしても悪いこととも思いませんが。

その中でAlfieやGarota de Ipanemaは違和感が無く、むしろ素晴らしく安心する。
こういうIpanemaは聴いたことが無い。彼のソロはいつも夜の情景ですね。PMGだと陽気なのに。
夜のIpanema。ダークだと思いきやこれはこれで独特の情景にあふれた演奏です。
彼は夜を凄く観察しているんじゃないでしょうか。夜中の間ずっと起きていたくなってしまう不思議な力がある。

気付くと全体的にはやっぱりPatの音世界で、ものすごく美しく録られている様々なギターの音だけでも良い気分です。
他の音源で聴き慣れたテーマが来ると、この曲でなくても別に良かったなという気はしますが。

しかしカバーをしつつも大地から音を汲み上げているようなスケールの大きさを感じる瞬間もあり、やっぱりこの人はさすがだなと思うのです。





Pat Metheny/What's It All About
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1. The Sound of Silence
2. Cherish
3. Alfie
4. Pipeline
5. Garota de Ipanema
6. Rainy Days and Mondays
7. That`s the Way I`ve Always Heard It Should Be
8. Slow Hot Wind
9. Betcha by Golly,Wow
10. And I Love Her



Pat Metheny-solo baritone guitar, 42-string guitar (1), 6-string guitar (4), nylon-string guitar (10)



2011年作品





Sarah McLachlan/Laws Of Illusion

2011-06-17 23:50:53 | 洋楽



結構なセールス(3000万枚)と受賞歴(グラミー等)を持つ女性シンガーの様ですが全く知りませんでした。
名前だって「マクラフリン」だと思っていたら「マクラクラン」だ。
全くの初耳です。そんな名前ってあるんだ。


内容は王道ポップス(フォーク寄り)という感じで、声が良いのはそうですが、曲の良さにビックリ。特徴は薄いのですがそれはさておきという感じでとにかく曲。次から次へと容赦のないトラッドな美メロの応酬に圧倒されます。個人的にはAztec CameraのDreamland以来かという。わかっていても避けられない。ベタな感動。


どこかで聴いたかなという曲ばかりですが、こういうNorah Jonesのデビュー作の様な王道チューンが有無も言わさず好きな方は気に入るんじゃないかと。
あれよりもっとポップですが、声ももっとおとなしいですが、良いです。
竹内まりや的に力が抜けていて。


音もR&B方面には行かず、歌謡曲的な方向。1曲目がいきなりダンサブルなんで今風?なんて思いますがだんだん落ち着いていきます。ピアノなどバックが基本生音なのが落ち着きます。ドラムもブラシだったりして。


これは秋だったらもっと染みていたかもしれない。
気付いたら結構聴いている好作品。過去の作品も先日買いました。







Sarah McLachlan/Laws Of Illusion
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1. Awakenings
2. Illusions Of Bliss
3. Loving You Is Easy
4. Changes
5. Forgiveness
6. Rivers Of Love
7. Love Come
8. Out Of Tune
9. Heartbreak
10. Don’t Give Up On Us
11. U Want Me 2
12. Bring On The Wonder
13. Loving You Is Easy (Acoustic)
14. One Dream
15. Love Come(Piano Version)



2010年作品





Bruce Hornsby/Hot House

2011-06-12 06:39:32 | 洋楽




Bruce Hornsbyが好きです。
1986年のBruce Hornsby&the Rangeの大ヒットで知ったのですが、
音楽性はソロになっても大きくは変わらない。

ピアノ基調なアメリカンロックにフォークやカントリーテイストが入ったような&the Rangeの音楽性から、ソロではジャズテイストが少し加わった印象。なんにしても曲が素晴らしく良いし、アレンジもわかりやすくも非常に心に残る。デビュー作「The Way It Is」はいまだにたまに聴く。

この「Hot House」はここ最近の再ヘビロテです。
毎度聴く度にソングライティングの才能というものを考えずにはいられないし、
アレンジにおける各楽器の活かし方、配し方も素晴らしいし、
そのなかできちんと自身のピアノはイキイキしているし。

何より音楽がカラッと明るく乾いていて、今の時期なんかには特に良いです。

そのHornsby監督の音楽の中で「2」のBela Fleckや「4」等でのPat Methenyが最高の仕事をしています。しかしぶっ飛んだソロでかっさらっているという類いのものではなく、その曲その曲にきちんと貢献しているという塩梅です。ブルーグラスやカントリー風味のリフやユニゾンみたいなものがいつもすごく効果的なんですよね、この監督のアレンジは。

そのアレンジに疾走感と切れ味をもたらしているバンドのJohn MoloやJimmy Haslip(これはクレジット写しながら気付いた!)のリズム隊も最高です。「1」からしてVinnie Colaiuta?っていうノリでこの作品の密度を予感させます。比べて打ち込み系のトラックは少し聴き劣りするけれど、息抜きになっているといえばそうかも。


最近のBruce Hornsby&the Noisemakersは気にしつつまだ聴いたことがなく、Christian McBride,Jack Dejohnetteとの意外なピアノトリオというのも常に気になっているのですが(ずーーーーっっとamazonの欲しいものリストの中に居る)、この「Hot House」あたり(よく似た毛色の「Harbor Lights」も同評価です)を聴くとすっかり満足して次に手が出ないというのが本音です。

ジャケットは地味ですが中身は素晴らしい作品です(これも今知りましたがWikipediaによると「ブルーグラスの大御所ビル・モンローとジャズの重鎮チャーリー・パーカーがジャムセッションを行なっている姿を想像したイラスト」とのことでした。そうだったんだ)。




Bruce Hornsby/Hot House
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1.Spider Fingers
2.White Wheeled Limousine
3.Walk In The Sun
4.The Changes
5.The Tango King
6.Big Rumble
7.Country Doctor
8.The Longest Night
9.Hot House Ball
10.Swing Street
11.Cruise Control



The Band:

Bruce Hornsby-piano,accordion,vocals
Jimmy Haslip-bass(2-5,7-9)
J.V. Collier-bass(1,6&10)
John Molo-drums
J.T.Thomas-organ
Debbie Henry-vocals
John D'earth-trumpet
Bobby Read-saxophones(alto&tenor)



Guests:

Pat Metheny-guitar(2-4,7),sitar(8)
Jerry Garcia-guitar(11)
Randy Jacobs-guitar(7,8,11)
Bela Fleck-banjo(2)
Glenn Wilson-baritone saxophones(6)
Chaka Khan-vocals(7)
Levi Little-vocals(3,10,11)
David Hollister-vocals(3,10,11)
John White-vocals(6)
Louis Price-vocals(8)
John Paris & Robert'Blue'Brookins-programming(3,8)
Derwin Cox & Larry Sears-percussion(7)
Ornette Fogelberg-tambourine




1995年作品

Larry Goldings/In My Room

2011-06-04 20:53:27 | ジャズ




かわいい作品です。

曲はすべて短く、甘口。
ものすごく丁寧に、そしてすこし恥ずかしいくらいに美しく弾いています。
ギリギリOKなのは無駄な装飾は施していないからかも。

Interludeでは弦を叩いて遊んでいます。
曲によってはオーバータブがありますが、それほど必然性や意図は感じられない。

ピアノは3種類使われているようで、細かいライナーは解読出来てないのですが非常にプライベートな音楽という印象です。
音の違いなんかにも耳を傾けていると、これは真面目にピアノなアルバムだと感じられてちょっと嬉しいです。

しかしスリルや躍動、興奮といったものはありません。
月9の挿入曲、なんて気がしなくもないです。
ピアニストはひとりでピアノに向き合っているときはこんな感じなのでしょうか。
Mitchell Formanの作品にも近い印象です。
しかしもっと無色です。これを誰が弾いているか当てるのは難しいです。


Goldingsらしさとして強いて挙げれば丁寧な音の鳴らされ方でしょうか。
非常に密度が濃く、良い音です。これはピアノを弾いている作品においていつも感じられる彼の大きな長所です。

どんな音楽を弾こうがこの部分が残っているという意味では、
ピアニストとしての大切なところはしっかり示すことが出来ている作品だと思います。

それとやっぱりこの人は歌が好きなんだろうというのは改めて再確認しました。
良い歌伴が出来るわけです。個人的に歌伴でも聴きたいピアニストですし。





Larry Goldings/In My Room
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1. In My Room
2. Beautiful Dreamer
3. Crawdaddy
4. Interlude No. 1
5. Take Me Out To The BallGame
6. The Flower Song
7. All I Want
8. Roach
9. Maybe
10. All My Born Days
11. Interlude No. 2
12. Everything Happens To Me
13. A Rose For Emily
14. Libre
15. Interlude No. 3
16. The Wedding
17. Interlude No. 4
18. Here, There And Everywhere


Larry Goldings-piano,Hammond B3 organ(6,13),Hohner accordion(6)

Steinway & Sons O(1913) 1-5,7,9,11,12,15,17,18
Mason & Hamilin BB 7'Grand(1915) 8,9,14,16
Wing & Sons upright(1917) 6,10,13



2011年作品