伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

4月に周辺自治体向けの要請

2006-05-10 12:39:17 | 運動の紹介
プルサーマル導入を審議/「慎重な対応を」伊方町長に要請 「共同の会」
と(朝日新聞で)紹介していただいています。

この日の2自治体だけではなく、愛媛県内各地の自治体首長あてに、訪問しての申入れを複数グループに分かれて4月中旬に分かれて行っていました。伊方町長に対しては選挙後のこの時期になったのにあわせて、隣の八幡浜市長へもこの日になりました、ということです。

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                                   2006年4月26日
八幡浜市長 高橋英吾 様

         伊方原発プルサーマル計画の中止を求める愛媛県民共同の会
          【代表連絡先・幹事団体】
           愛媛地方労働組合連合会
              松山市三番町8-10-2 電話089-945-4526     
           愛媛労働組合会議
              松山市宮田町132   電話089-941-4500     
          【幹事団体】
           伊方原発等の危険に反対する愛媛県民連絡会議/
           愛媛原水協/愛媛原水禁/原発さよなら四国ネットワーク/
           環境市民/社会民主党愛媛県連合/新社会党愛媛県本部/
           日本共産党愛媛県委員会

     「伊方原発プルサーマル計画」についての慎重態度と
          徹底した住民への情報提供等に関する要請

 チェルノブイリ原発事故から20年目の今日、放射能被害の深刻さを痛感するとともに、あらためて日本の原子力行政が ①「推進機関から独立した規制機関が確立」していないこと、②「苛酷(過酷)事故は起りえない」としている根本的な欠陥を有しており、IAEA(国際原子力機関)の「原子力発電所の基本安全規則」にも合致しないことを強調しなくてはなりません。
 さて、3月24日、「地震で被ばく」の可能性を認定した志賀(しか)原発での金沢地裁判決にもみられるとおり、原発の耐震強度が根本から問われています。にもかかわらず、3月28日には経済産業省が四国電力の原子炉設置変更許可申請に「許可」を与えるという事態に至っています。
 金沢地裁判決が被害の及ぶ範囲を北陸から九州にまで認めたことをみれば、伊方原発の苛酷事故において、県内全域はもとより、四国全域、近隣諸県に及ぶとみるのは当然の見地です。この問題を伊方町の「地元了解」次第のように扱うことは決して許されないと考えます。県民全体に重大な影響の及ぶ問題として、十分な情報と学習などを保障したうえでの県民的議論が求められていることは明らかだと思います。
 ついては、以下の諸点をご考慮いただき、文末の記載事項について実現いただけるよう要請いたします。

 現実に想定しなくてはならない地震の脅威

 巨大地震の襲来が確実視される中、隣の高知県では南海大地震に対する真剣な対策が取り組まれています。活断層研究で知られる高知大学の岡村眞教授は、「先に周辺部分からエネルギーを放出し、次に本体部分が揺れる。兵庫県南部地震(1995年)→鳥取県西部地震(2000年)→福岡県西方沖地震(2005年)とマグニチュード7クラスの地震が起っており、今後、10年から20年という幅で大地震の起る確率が高い。過去3回の歴史があるからだ」といいます。そして、伊方原発が四国の北部を走る国内最大規模の活断層にあまりにも近い位置にあることの危険性を指摘しています。
 また、国の原子力安全委員会耐震指針検討部会の委員であり、1976年に「東海地震説」を初めて唱えた地震学者である神戸大学の石橋克彦教授は、大地震と原発の苛酷事故による大災害の可能性を指摘しています。
中部電力は、浜岡原発の「設計用限界地震」最大加速度を600ガルから1000ガルに引き上げる補強に取り掛かっています。2005年に発生した宮城沖地震において女川原発の加速度が888ガルに達したことも、地震の脅威をいっそう現実のものとしています。
 伊方原発の場合、危険性が指摘されている活断層からわずか6kmという常識はずれの位置にありながら、500ガルにも満たない水準で想定しているのであり、プルサーマル以前の問題としてはなはだ心配なところです。

 プルサーマルによる原子炉や重要部分の老化・劣化加速

 この上、プルサーマルを行えば、原子炉や重要部分への負荷が高まり、老化・劣化が加速され、耐震強度を強めるのとは全く逆の方向に向かうことが明らかです。(昨年10月の経産省申し入れの際、国側は老化・劣化の加速について「数パーセントと想定している」旨回答)。昨年12月に伊方町で開催された資源エネルギー庁の講演会では会場から「プルサーマルにともなう老化・劣化の加速」が質問されました。これに対し、プルサーマル安全論を主張する京都大学の山名元教授は「プルサーマル燃料を入れた場合に、その集合体のところでは、確かに中性子のエネルギーがやや高くなります。ご指摘の点は中性子のエネルギー分配状況をきちんと評価して、それが炉壁にどれぐらいの照射の増加を与えているか。その数字に基づいて検討することが大事」と述べましたが、その検討の内容は示されておらず、安全審査の項目にもあげられていません。
 また、昨年12月11日、原子力安全保安院と原子力安全基盤機構が愛媛新聞に一面広告を出しましたが、その記事中、東北大学の庄司哲雄教授は「原子力施設の多くの損傷事例は、原子炉冷却水環境の影響を受けた材料の問題です。その中でも構造部材などの応力腐食割れ現象は特に高経年化と共に顕在化の傾向が見られ大きな関心が払われてきています」「中性子照射による材料劣化と照射誘起応力腐食割れに重点をおいた取り組みが進められています。」と述べています。放射能の影響による材料の劣化という深刻な問題が解決していないことが分かります。

 MOX燃料と高燃焼度燃料の危険な組み合わせ、深刻な被ばく

 3月7日の原子炉安全専門審査会に出された資料を見ると、「MOX燃料集合体は輸送中に高温(約300℃程度)となり、強度が低下することを考慮して、輸送及び取扱時の加重を4Gに制限する」としており、従来の6Gの3分の2です。やはり燃料棒の強度が弱くなることは否めない事実です。また、高燃焼度燃料ステップ2とMOX燃料との組み合わせが長期の営業運転で使われた事実は示されておらず、いきなり住民を巻き込んだ実験をするようなものです。
 また、昨年11月の伊方2号機の深刻なひび割れの修理の際には、炉の中に人間が入って作業を行い、最大で2.66ミリシーベルトの被曝量のあったことが県議会環境保険福祉委員会で明らかになりました。もしこれが、プルサーマルを行うMOX炉心であった場合、アクチニドと呼ばれるきわめて毒性の高い放射性核種が増大するなど、いっそうの危険にさらされます。
 ウラン炉心とMOX炉心の危険度を比較する資料として、高浜4号機について被害を試算した米国核管理研究所のエドウィン・S・ライマン科学部長の論文があります。伊方で計画されているような4分の1MOX炉心の場合、周囲113kmについて、急性死が1.98倍、潜在的ガン死で2.22倍とされています。危険性が著しく高まることは明らかです。

 さらに、使用済みの燃料が発熱量の高い超ウラン元素を多く含んでいて、冷ますまでには500年かかるとも言われることなど、きわめて重大で深刻な問題が多々あります。こうした諸問題が、愛媛の県民や四国の住民に十分知らされることなく、ただ「安全」だと信じ込ませることは許されません。
 以下、要請します。
 
 【要請事項】
 一 県ならびに国に対して、プルサーマル問題での拙速な対応をいましめ、慎重の上にも慎重な姿勢で臨むよう、意見書送付や見解の表明など、住民の生命・健康・安全に責任をもつ自治体の立場に立って努力し行動すること。

 二 貴自治体として、一方的な宣伝の立場に立つのでなく、住民への正確な情報提供を行い、反対意見も含めた公平な構成による公開討論やシンポジウムなどを積極的に開催すること。

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