過去の一般質問はすべて録画アーカイブで公開されています。平成26年9月県議会
阿部悦子議員質問)
次は原発エネルキー問題です。去る9月1日には県を挙げての大規模防災訓練があり参加しました。私は当日、孤立集落でのヘリコプター救出訓練を行うチームの見学を申し込みましたが、自衛隊のヘリコプターが飛ばず中止になりました。県の防災ヘリも飛びませんでした。風はなく、大雨でもありませんでしたが中止の理由は「雲が低くて危険と判断した」と聞き、私は県の避難計画は「絵に描いた餅」だと実感しました。
県は広島の土石流災害の惨禍を受け、県内に15190の土石災害危険か所があると発表しました。このうち、伊方原発から30キロ圏には4100か所、その中でまだ「警戒区域」に指定していない地域が3300か所もあるというのです。
原発の過酷事故と土砂災害が重なれば、全県の危険個所で被災する人が続出したり、ぐずれた道路が避難する人たちの行く手を阻む危険性もあります。 夜間などの原発と土砂災害が重なれば、県民の避難は無理ではありませんか。
岡田県民環境部長答弁)
まず伊方原発についてのご質問にお答えいたします。
質問の第一は、複合災害時の避難についてであります。
県及び市町の避難計画では、夜間の複合災害などにも対応できるよう複数の避難ルートや避難先を指定するとともに、警察消防等関係機関とも連携した道路情報の住民公表や避難誘導、交通規制の実施などの対策を盛り込むほか複合災害にも対応した防災訓練も実施することとしております。
さらに県では緊急時に備えた複数の避難路の整備や緊急輸送道路の耐震強化を進めますとともに被害時には関係機関と協力して道路機能の確保を図るなど避難道路の確保対策も進めてきたところでありまして、今後とも防災関係機関等との連携を図りながら複合災害時も含む避難対策の1層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
阿部議員 再質問)
伊方原発、夜間などの原発と土砂災害との複合災害時の避難は無理ではないかと言いましたが、いろいろやっていますと言うお話でした。しかし今議会では県は災害時の問題で何度も答弁されましたが夜間や落雷時の土砂災害対策は今後検討に入ると発言しており、土砂災害単独でも有効な対応を示さなかったではありませんか。やはり原発の過酷事故と土砂災害が重なると避難は無理だと言うふうに私は思いますのでお答えください。
岡田県民環境部長再答弁)
夜間複合災害時の避難についての再質問でこざいます。夜間の複合災害に対応した避難につきましては先程も申しました通り避難ルート複数の避難ルートの確保やあるいは関係機関による避難誘導、これで円滑にやりたいということで計画の中にも入れておりますしそれ以外につきましても万が一避難ができない場合に備えまして屋内退避も想定して堅牢なコンクリート製の公共施設での屋内退避、こういうことも含めて計画の中には盛り込んでおりまして、これらを総合的に実施することによりまして夜間も含めた複合災害時の円滑な避難防災対策、これを市町とともに推進してまいりたいと考えております。
阿部悦子議員質問)
知事にも原発事故時における「避難の拒否宣言」が県民から内容証明郵便で届いていると思いますが、この宣言の中身は、「電力会社の営業の自由より国民の人格権を優先する」という考え方に基づき、自治体の避難計画を受け入れることを拒否し、原発の再稼働拒否を求めているものです。
2、これらの人々にどう対処するのかお尋ねします。
岡田県民環境部長答弁)
次に避難計画や再稼働等を拒否している方々への対処につきましてですが。
伊方原発の再起動につきましては国の安全審査も終了していない現段階では白紙の状況であり、また県の地域防災計画や広域避難計画についても再起動を前提としたものではなく、現に存在する原発におきまして万が一事故が発生した場合の安全確保のための避難措置等について関係法令に基づいて規定していることをご理解いただき対応願いたいと考えております。
阿部悦子議員質問)
昨年四電は27年度までの安全対策費は830億円と言いましたが。今年新たにヘリポートと緊急対策所の建設をしようとしています。
3、2つの事業費を加えると安全対策費は全部でいくらになるのか、これらの費用は県民が支払う電気代金や税金に上乗せされるのか、また四電が基準地震動を挙げたことで安全対策費の総額はどうなるのかお尋ねします。
岡田県民環境部長答弁)
次に安全対策に要する費用と電気料金等についてのご質問でございます。
四国電力からは福島第一原発事故を踏まえた平成30年度までの安全対策費用は約1,200億円で、ヘリポートと緊急時対策所の建設費は含んでおりませんがこれらの追加費用は自社の経営努力で吸収すると聞いております。
また四国電力からは基準地震動が確定しない現段階で基準地震動の変更に伴う耐震補強工事にかかる費用は未定と聞いております。
阿部悦子議員質問)
ところで、南海トラフ巨大地震は今後30年以内に60~70パーセントの確率で起こるといわれています。国の中央防災会議等は、愛媛県でも死者数は1万2千人と予測しました。
この政府の作業部会の主査を務めた河田恵昭(かわたよしあき)氏らは、このほど東日本大震災で火力発電所の津波被災を検証し、南海トラフ巨大地震の津波被災の想定を行いました。その結果、ナント「四国の火力発電所の全てが5ヶ月以上の間停止する」との発表をしました。これは、重大なことです。被災後は県内ほとんど全ての家庭や会社で電気が使えず停電するのです。
そこで、南海トラフの地震時に、伊方原発が稼働していて過酷事故を起こしたら、原発では冷却のために、自家発電機を使わなければなりません。しかし、自家発電のディーゼル発電機が稼働に成功する確率は50%以下といわれ、もし稼働したとしても非常用ディーゼル発電機の燃料は2週間しか持ちません。5か月間も火力発電からの外部電源が使えず原発を冷やせなくなったら、メルトダウンに陥り、フクシマと同様の事故を起こすことになります。(コメント:下線部については事前に現課との間で根拠となる資料のやりとりがあり、答弁では触れられなかったので、県はツッコミできなかったといえる内容です)
地震と津波被害を受けた住民が、暗闇の中で原発事故に向き合う最悪の事態を、辛くても想定しておかなければなりません。(注:この後、質問もれ?か質問要旨の本文が抜けています。「知事は、伊方原発の稼働中に外部電源が喪失するような事態が懸念されても、国が「再稼働」の方向を示せば、認めるつもりか。」)
岡田県民環境部長答弁)
次に南海トラフ巨大地震に伴う外部電力の喪失と再稼働についてのご質問ですが、伊方原発の再起動についてはこれまでも申し上げてきました通り3つの条件により総合的に判断することとしており現段階では白紙であることに変わりはございません。現在原子力規制委員会により福島第一原発事故を踏まえた電源対策等を含む基準適合性審査が進められておりますのでまずはその状況をしっかりと見守って参りたいと考えております。
(コメント:5.で指摘しているように外部の発電所の電源喪失問題は原子力規制委では審査しないので、このままなら審査もれという重大な瑕疵が明らかになります。)
阿部悦子議員質問)
一方、原子力規制委員会は伊方原発の規制審査の中で、河田教授が示唆したような、南海トラフ巨大地震による電力網被害について検討せず、田中委員長は「電力網から先の問題は経産省の責任なので審査とは関係ない」と記者会見で語っています。
5、田中委員長の発言を知事はどう思いますか。
岡田県民環境部長答弁)
原発問題の最後になりますが南海トラフ巨大地震に伴う電力網被害に関する規制委員会委員長の発言についてのご質問でございます。原子力規制委員会ではお話のような委員長発言は確認できないとしておりますが、原子力発電所の電源に係る審査では外部からの電力供給がない場合でも非常用発電機等により必要な所内電源が確保されていることを基本としさらに安全性を向上させる上で独立二系統の外部電源の確保についても要求しているとのことであり県としては福島第一原発の教訓を踏まえ多重の電源確保対策が厳正に審査されているものと考えております。 なお伊方原発の電源対策につきましては県ではこうした国の審査とは別に四国電力に独自の対策を求め既に対応済みであることを確認しております。
(コメント:元々の想定済みのこれらの審査内容では役に立たないレベルの災害が、今回指摘した火力発電所の被災による大規模長期停電である、と言う基本的な問題が分かっていない答弁でした。(電源車などの非常用発電機=追加のディーゼル発電機ですし、独立二系統というのは、送電網の多重化にしかすぎません。)技術的な評価をする能力が県にはないのでしょうか?)
(コメント:下線部については事前に現課との間で根拠となる資料のやりとりがありました、「お話」と厳密には同じではない、という答えを規制庁から引き出しているのだろうと思います。)
阿部悦子議員質問)
6、県民の安全のためには、今後は電源を地域分散型の再生可能エネルギーに舵を切るか、浜岡原発のように20メートル級の防潮堤を四電の各火力発電所に作らせるかしか選択肢はないのではありませんか。
河野経済労働部長答弁)
伊方原発について私の方から3問お答えいたします。
まず南海トラフ巨大地震に関連した電源のご質問でありますが、再生可能エネルギーは現在の技術水準では安定供給やコスト面から代替エネルギーとしては過度に期待はできません。また火力発電所への大規模な防潮堤の整備については電気事業者自らが経営全般の中で検討されるべきものと考えており、いずれにしても二者択一的なものではなく国においてエネルギーのベストミックスをどうするかといったエネルギー政策全体の中で議論されるべきものと考えております。
(コメント:国に任せておけば大丈夫、という思考停止と無責任体制が見えます。↓の発言のように国の対策を待つことなく、地域の実情に応じたエネルギー政策を進めるべきです。)
阿部悦子議員質問)
知事が就任されて間もなくフクシマ原発事故が起こり、3年半が過ぎました。
この間の知事の公式発言を振り返ると、「維新」という復古調の名前どおり、「華やかだった高度成長経済の夢よ、再び」という男性社会の、弱肉強食の思考回路が感じられます。エネルギー政策では「国策であり県の役割ではない」との答弁が続く一方で、一昨年9月議会の答弁では、「県では今後国の対策を待つことなく、着実に推進していきたい」とも答弁されました。
7、この時の「約束」は、どのように実現したのか伺います。
河野経済労働部長答弁)
次に知事の発言内容について。
県では太陽光発電施設の整備促進に加え、 24年度以降工業用水道等への小水力発電の導入に着手したほか今年度から新たに家庭用燃料電池の導入や再生可能エネルギーの導入 可能性調査に対する助成を開始したところであり今後とも本県の実情に応じたエネルギー政策の推進に努めて参りたいと考えております。
阿部悦子議員質問)
8、知事は、原発・エネルギー政策について就任以来の発言を振り返り、情勢の見誤りや間違いと思われるものがあればご紹介ください。
河野経済労働部長答弁)
最後に情報の見誤りや間違いがあったと思われるものについてのご質問がありましたが 、エネルギー政策は国策であり東日本大震災以降これまで県としての姿勢は一貫しておりその間情勢の見誤りや間違いは無かったと考えております。以上であります。
(コメント:そもそも原発の停止がこれほど長く続くことは想定外だったはず、政府のあたふたした状況も見通すことかできなかったために、国へのエネルギー政策の確立を求める早期再稼働の希望発言などをしたことを誤りと認識できていないのでしょうか。)
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