伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

3月5日は阿部悦子県議の最後の一般質問でした

2015-03-07 05:53:50 | 南海トラフ地震で長期広域停電問題

質問終了後、ロビーにて傍聴者と阿部悦子県議。

アーカイブ動画が登録されています。

原発関連のみ。


阿部議員)

2.南海トラフ巨大地震を想定した県の被害想定調査を元に、伺います。国の中央防災会議は、東日本大震災の甚大な被害を受けて、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討」して、平成24年度には、人的・物的、経済的な想定被害を公表し、これを受けて県は、平成2512月に「報告書」を公表したところです。

 

伊方原発のある佐田岬半島の付け根から西に延びた約50キロは過疎化・高齢化が進んでいますが、50集落に約5000人が住んでいます。

この半島の地質は、全体が、日本で「3大地すべり地質」といわれる「三波川変成帯」から成り立っています。実際にこれらの集落を歩くと、細い急峻な坂道や階段を支えるのに薄い緑色の自然石を重ねた壁が、多くの場所で見られます。

その細い道に、高齢者が住む家もありますが、壊れかけたまま放置された家も多くみられます。

 

(1)ここは、車はおろか、自転車も車椅子も使えません。ここの人々の救済はどのように行い、予防対策はどうなっていますか。

 

県は「被害想定報告書」で、伊方町での「孤立集落」や「孤立世帯」は「ゼロ」と記しています。

(2)災害発生時に孤立集落を想定するのは、災害対策を作る時の基本ですが、県は伊方町に孤立集落がないという根拠を確認したのか、伊方町に助言は行わなかったのかお聞きします。

 

 

一方、県は、国の「改正土砂災害防止法」の施行により、県内の土砂災害危険個所の基礎調査結果を、去る2月23日に公表しました。

伊方町の災害危険個所のマップを見て私は驚きました。418か所の危険個所があったのです。土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険個所、地すべり危険個所は合計で418か所です。伊方町に孤立する住民がいないと県が断じた根拠を示してください。

 

 

県の報告書では、水の問題での想定も行っていますが、県内の上水道の断水人口を、地震直後には110万人、1カ月後に約40万人と想定し、断水などによる避難者が約56万人に上るとしています。

(3)県は、大地震に備えて県民に1週間分の水の備蓄を求めていますが、どのように広報しているのか、またこれは適正だと思いますか。

 

(4)愛媛県の断水人口の多さは、各家庭に送られる水道管の耐震性が全国44位で23%しかないことによります。県がこれを放置してきた要因は何か、今後どうするのか、お答えください。

 

また県は、同じく県下の「停電軒数」については、地震直後の68万戸から、1週間後には4万戸になり、ほとんど復旧するとしていますが、この想定は「大アマ」です。

 すでに昨年の9月議会の質問で、伊方原発の外部電源喪失リスクの問題で質問しましたが、国の中央防災会議の、「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」主査をつとめた関西大学の河田恵昭教授が、「南海トラフ巨大地震が起きたら、津波被害により四国内の火力発電所は全て長期に広域停電し、復旧に要する日数は5カ月に及び、他の電力会社と比較して、はるかに長い」と発表している問題です。このような事態を、県は想定せず、危機管理についても答えずにいます。

停電すると、ポンプ等が使えなくなり、浄水施設等が停止し、断水時間はさらに長引きます。浅井戸も塩水被害で使えなくなります。県の想定のままで南海トラフ巨大地震が起これば、愛媛県に人が住めなくなる可能性があります。

(5)―ア・県は長期広域停電問題を想定した被害想定にすべきではありませんか。

(5)―イ・長期広域停電を明らかにしないままで、伊方原発を再稼働するべきではないと思いますが、いかがですか。

 

 避難計画についてお尋ねします。県は「広域避難計画に」、原子力災害時における「避難先候補施設」を掲載し、各市町も「防災マップ」を作っていますが、重大な問題があります。

 例えば、宇和島市の明倫小学校区のマップには、指定避難所として、標高が2mの「宇和島水産高校」や「総合体育館」などが赤丸で書き込まれ、他8箇所も、2、3mに位置し、想定される6、7m以上の大津波には、飲みこまれてしまう場所に立地しています。

 また、八幡浜市の「松陰地区のマップ」でも、津波浸水予想区域に12箇所の避難所が指定されている上、「ふれあいセンター」は土石流危険渓流の域内にあり「保健福祉センター」は「地すべり危険地域」に隣接しています。

県がこのような施設を「避難先候補」に挙げることが、そもそも初歩的なミスです。

 

(6)ア

昨年改正施行された「災害対策基本法」及び「原子力災害対策特別措置法」では、「緊急避難場所は人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる安全区域に指定しなければならない」とされました。よって県の広域避難計画は、法に違反していることになります。これを県は認めますか。

 

(6)イ

県の「原子力防災計画」と「避難計画」では、複合災害時に、住民の生命・財産を守るという自治体の基本的な責務を果たせないことになります。県はこれを認めますか。

 

(7)現状の防災体制のもとでは、伊方原発の再稼働の是非を論じる条件が全くないことを認めますか。


県民環境部長)

続きまして南海トラフ巨大地震と防災に関しましてお答えをいたします。

(1)質問の第一は佐田岬半島に住む人々の救済についてでございますが。災害時における住民避難等につきましては災害対策基本法等におきまして地域の実情につうじた市町において行われることとなっておりまして、一義的には伊方町において適切に対応することとなっておりますが、県におきましても市町と連携して各種防災訓練様により住民避難誘導や救出訓練、道路警戒訓練等を取り組みますとともに避難道路の改良や法面などの防災対策を行うなど、地域の実情に即した支援を行うこととしております。
 
(2)次に佐田岬半島に孤立集落はないとする根拠についてのご質問でございます。
県の地震被害想定調査における孤立可能性集落数の想定にあたりましては平成21年度に国が実施いたしました孤立集落発生の可能性に関する調査をもとに地域の実情を把握している各市町が把握しておりますことから伊方町からは各集落に通じる道路が複数ある、また海岸からの避難も可能であることから孤立可能性集落は無いとの報告を受けております。
 
(3)大地震に備えた水の備蓄についてのご質問でございます。
 県では東日本大震災での教訓や、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告を踏まえまして家庭における7日分を目標に家庭においては7日分を目標に飲料水の備蓄に勤めるよう県地域防災計画に記載いたしますと共に防災意識啓発講演や啓発キャンペーン、広報紙や防災リーフレット等を活用致しまして備蓄の促進に努めているところであります。
さらに県民による備蓄を補完するため市町とも連携しながら民間企業等他県との応援協定による支援体制を構築するなど必要となる飲料水の確保に努めているところでございます。
 
(4)次に水道管の耐震化についてのご質問でございます。
 県では水道管の耐震化促進に向け事業主体であります市町に対してあらゆる機会を通じて指導助言を行っており、これを受け市町では耐震化計画を作成しその促進に取り組み平成25年度の基幹管路につきましては耐震化率前年度からの伸び率が全国平均を上回る2.2ポイントとなるなど着実に進展しているところでございます。
今後は現在策定中の愛媛震災対策方針アクションプランで耐震化の目標数字明らかにするとともに災害時に拠点となる施設につながる管路の耐震化の優先的に整備など引き続き指導助言を続けていくこととしております。
 
(5)-ア.(答弁もれ?そもそも上水道の断水が5ヶ月続く可能性を指摘されたものとは、県の担当者は理解出来ていなかった?そんなはずはありません(議員の質問の一言一句を事前に提出させているのですから)が、質問側が5-ア.の要旨自体に水道問題である、と明記できていなかったので、わざとそのことは問われなかったことにしたものでしょう。)
 次に長期広域停電問題を想定した被害想定にすべきではないかとのご質問でございます。
県の地震被害想定調査における停電の状況につきましては国の手法に順じましてゆれや火災、津波による建物や電柱等の被害状況と過去の大規模地震発生時における電力の復興状況等を元に、県全体被害状況を一定の尺度で精度をもって想定したものでありまして現在その見直しについては考えておりません。
 
(5)-イ.次に長期広域停電と伊方原発の再稼働についてのご質問でございます。
伊方原発につきましては外部からの電力供給が絶たれた時でも社内で必要な電源を変える事が確保されることが新規制基準の基本的な要求事項とされ原子力規制委員会において現世に審査が行われているところでございまして再起動については白紙の状況であることに変わりはございません。
 
(6)-ア.次に危険区域内に避難所が指定されている問題についてのご質問でございました。
県の広域避難計画では市町が定めた避難所を避難先候補施設としておりますが原子力災害対策特別措置法関係法令では市町の避難所の指定基準として想定される被害による影響は比較的少ないこととされており、ご指摘の施設のこの基準に照らしますと違法であるとは考えておりません。
 
(6)-イ.次に県の避難計画等では住民の生命財産を守ることができないのではないかというご指摘でございました。
県の広域避難計画では避難先等施設として中、区域内の住民約13万人に対しましてその数をはるかに上回る約129万人分の施設2,000を超えるわけですが、をリストアップしまして生かしますとともに、被害状況に柔軟に対応できるよう第一次第二次の広域避難先を設定するなど複合災害時にも対応可能な計画としてあります。
 
(7)最後に現場の防災体制のもとでの再稼働の是非についてのご質問でございます。
伊方原発の再起動は安全性の確保を大前提として国の方針、四国電力の姿勢、地元の理解の3条件を総合的に判断することとしておりまして、一方防災対策につきましては原発の安全対策と並行して実践的な訓練などを通じ不断の充実強化を図っていくべきものと考えております。

阿部議員再質問)(ここはアドリブです。すごいっ数の再質問をしていました。)
 

2-2佐田岬の孤立集落と孤立地帯がゼロとしている問題です。400箇所以上、地崩れとか崩壊地域があるのにも関わらずゼロというのはどうしてですか。伊方原発があるのにゼロにしたいとしか思えないでしょう。内閣府が孤立集落の定義を定めました。直近の定めでは集落の一部区画が土砂災害危険箇所であることが書かれています。この土砂危険箇所が伊方町には400箇所以上あるんです。ゼロというのはおかしいから見直すべきだと思います。お答えください。

 

2-5ア、イ(ここで阿部議員は上水道の5ヶ月断水の答弁漏れを指摘できていませんでした。自分でなぜア、イの2つを分けたのか、を失念してしまったものでしょう)

 長期停電のことについてですけれども、この長期広域停電というのは、もし他電力からの電気を引こうとしましても、中央構造線系活断層上に送電網があり、そして鉄塔などもありますから、ここがすべて倒れるということを前提にしなければなりません。5ヶ月の長期停電を県が考えなければ、規制庁はこのことについては審議しない、と言っているんです。誰が審議するんですか、では。愛媛県民を誰が守るんですか。お答えください。

 それからイですね。そのような長期停電のことは考えないで再稼働してはならないと思いますがいかがですかお答えください。

 

 それから2-7です。伊方原発の再稼働の条件を論じる前提がないんじゃないかということを申し上げました。私が手に入れたのはたった2枚の、数千人が住む地図です。それでも、2,3メートルのところに一杯避難所があります。6メートル7メートルの最大津波を想定しながら、2メートル3メートルのところに避難所を作ったら、東日本で同じ事がありました。そこに避難所に集まったらそこに津波が来て沢山の人がなくなったということがありました。

 県はですね、少なくともこのUPZ圏内の30km圏内で何百箇所あるか分かりませんけれども、津波が来る以下の土地に避難所が建っている、そのことを見直してですね、そのマップを作り直して、住民に周知するまでは原発は再稼働してはならないと思いますがいかがですか。


 
県民環境部長再答弁)
(2)孤立集落の問題でございますが佐田岬半島の地形等を踏まえ、孤立集落がないというのはおかしいと言う事でございますが。
県といたしましては、一義的には伊方町が判断することではございますが、伊方町に対しまして改めてそのことを国の定義も示した上で伊方町においては地域の実情を踏まえまして道路の状況でありますとか災害危険区域等、それらを総合した上で伊方町として孤立集落ではないと言う判断を申しておりますので県としてはその判断を尊重するものでございます。
 
(5)-ア.それから長期停電の問題でございますが長期停電、関西大学の教授が言われておることにつきましてはこれは一方では5ヶ月以上停電すると言うことに対しましては本州関西域との系列連係によりましてこれは補完できる、あるいは瀬戸内海側におきましては5ヶ月以上もかからない火力発電所の復旧が可能であるそういう見解もございます。
 
(5)-イ.それから長期停電問題に関連してこういう中での再稼働問題でございますが先ほど申しました通り国の規制委員会の中ではこの外部からの電源が全く断たれた場合におきましてもその発電所内におきまして電源が確保できるこれが条件に基準になっていましてそのことを含めて今現在厳正な審査が行われております。
その状況をはっきりと県としてはしっかりと見守ってまいりたいと考えております。
 
(6)-イ.それから再稼働の条件として避難先が浸水地域頭に含まれとるということにつきまして先ほどもしました通り避難先として13万人の方々が避難することに対して約129万人分の避難先を想定してしては2,000カ所以上を指定しておりまして災害の条件に応じましてそれは柔軟にその施設の中から安全な区域の施設を選定して避難していただくそういう形で柔軟に対応できるものと認識しております。
以上でございます。

 というようなわけで、ワーワー傍聴席で言っていた「5ヶ月の断水問題についての」答弁漏れの問題が、議会の中の方々にはきちんと伝わっていなかったという経過、があるのかもしれません。わざと答弁しなかった県知事側が狡かったということですが。
 
P.S.
 特筆すべきなのは、愛媛新聞がワザとこの一連の話を全く紹介しなかったことです。昨年9月の阿部議員の質問でも南海トラフ巨大地震による長期広域停電問題を一言も載せませんでした。原さよの記者会見やら請願の中身としても一度も掲載していません。伊方再稼働への「不都合な真実」を伝えることをブロックするシフトが、県知事側の意向に沿って作られているのだ、とここまで来たら判断せざるをえません。
 

 

 P.S.2 以前の9月県議会での阿部悦子議員の質問と答弁はこちら

P.S.3

 阿部悦子県議は、愛媛県議会初の女性議員、無所属市民派議員として4期16年間県議会で孤軍奮闘してこられましたが、今期で引退することを10月に発表済み。

 4月の愛媛県議会議員選挙は、無所属市民派の県議が居なくなるのかどうか、本当に負けられない闘いになります。→渡部伸二を推薦する会HP

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2 コメント

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原発反対をさらに進めて欲しい (野田 松太郎)
2015-06-03 11:54:36
阿部議員が引退されるのは残念ですが、渡部さんに頑張っていただきましょう。阿部さんは大丈夫でしょうが、民主党県連代表⇒落選して政界引退⇒政治とは無縁(民主党もどうなってたか?)の永江孝子のようなことには、絶対にならないで下さい。県議会での阿部様のご質問で、原発事故発生時の30キロ等は、どこで決めたのかがあと必要かなと思いました。チェルノブイリ事故の2年後に国際会議を開催してソ連の著名な研究者と話しました。彼はチェルノブイリから200キロ離れたところに住んでいるが、彼と奥さんは地元の食材だが、娘さんにはモスクワから取り寄せとのこと。それくらい危険なのです。あと、一昨日の朝日新聞で、カズニック教授の話が出ていました(広島・長崎原爆)。関心が高かったので、メールであれこれ書くと、ちゃんと返信が来ていました。原発問題でもからんでもらうと面白いかもしれません。
返信する
野田さんへコメント感謝 (伊方No Plu田丸)
2015-06-05 06:35:33
阿部さんは渡部さんの政策秘書としてバリバリ二人三脚で活動を続けると宣言していますので大丈夫でしょう。
 原子力防災はあまりに絵に描いた餅なので、以前にはEPZ5km圏以上には全く影響ありません、の県答弁などというのもありました。県というのはそういうでまかせを平気で言っているところです。
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