前記事
確率論的リスク評価とは?(お勉強)
に続く。
さてさて、確率論的リスク評価の現状が一つ前の記事の一番上に書かれたような状況であるにも関わらず、新聞報道などで、お墨付きを貰ったかのように、川内原発の重大事故を起こす確率は十分低い、と宣っている御仁は?
・・・そう鹿児島県の伊藤県知事ですね。
”…原発事故でも、あまり心配する必要ないと思います。審査を受けた原発の炉心等がどう変化をするかは、結構時間があるので、ゆっくり動けばいい。制度設計は100万年に一回の事故を想定すればいい。その時の川内は5.6テラベクレル。炉心から5.5kmのところは毎時5マイクロシーベルトです。…”(11月7日記者会見録より)
川内原発の重大事故発生確率も、伊方と同じく原子炉メーカーである三菱重工が(地震や津波などの外部事象を除けば)ほとんど同じリスク評価手法に基づいてこれこれの事故の確率は低い、という計算をした結果の付随文書を原子力規制委員会に提出し、それに基づいて審査書が作られたハズですから、現状の(川内の)確率計算は、外部の専門家の目で見れば、まだまだ不十分な評価である、ということが実際にNRC委員らを含む、電中研原子力リスク研究センター「技術諮問委員会」の専門家の評価で分かっているわけです。(前記事の前半参照)
そんなものが通用するのは、安全神話が脳内復活している伊藤県知事だけである、と大声で言うべきことだと思います。
ということで、伊藤知事に安全神話を吹き込んだ側の資料を見てみましょう。
●今年1月14日に(財)伊方原子力広報センター主催の原子力講演会に出て、(上記電中研原子力リスク研究センター技術諮問委員会委員の)山口彰東大教授の講演を聴いてきました。そこでは原子力防災の一般的な論を基礎自治体の職員さんや四電社員さん相手に吹き込んでいた中で、確率に関する目標も紹介をしていました。これです。
●残念ながら、ここの2列目から3列目までの確率低下をさせることが、絵に描いた餅であるのです。
●はい、一つ前の記事で後藤政志氏が最後に指摘していましたが、BWRの柏崎刈羽6,7号機の評価では、炉心損傷すれば確率1近くで格納容器破損に到る、という評価に衝撃を受けた、と話していました。これはすなわち、原子力規制委員会の目指す、1/10への確率低減は不可能だ、という反証ではないでしょうか。
炉心損傷が起こる確率が10^-4回/年であるとして格納容器が保ってくれなければ1/10にはならず、それよりも先のシビアアクシデント対応のいろんな作業で、大規模放出をさらに1/10にすることは困難になります。伊藤知事がいう10^-6回/年というのは、原子力規制委員会のこの希望的「目標」を垂れ流しているだけではないのですか。
確率論的にBWRと比べて、PWRである川内原発は、格納容器の防護性能がはるかに高く、破壊確率を1/10に抑えることは可能だ、ということなんでしょうか。
確率論的評価を導入するのであれば、BWRの再稼働まで視野に入れた今の原子力規制委員会の審査の進行は、重大な安全性の切り捨てをしようとしている、てな話なんでしょうか???
ふう~、ここまで長々と書いてきましたがちゃぶ台をひっくりかえす話をしましょう。
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