伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

全国の電力需給に余裕があるかぎり関電の不足は融通で賄えるはず&足止めの論

2012-04-20 01:33:30 | 南海トラフ地震で長期広域停電問題

阿部悦子議員の2月県議会での質疑

再稼働関連:電力需給についての県議会質疑

、のなかでも四国の電力需給問題の論点がまとまっていますが、阿部さんは、系統の広域連携(いわば電力会社の絆!)で賄えば、トータルとして全国の電力会社の電力需給に余裕がありさえすれば、個別の例えば関西電力単独で需給が足りなかろうがどうしようが停電は起こらない、という論で攻めています。

 この論、乱暴なように聞こえるかも知れませんが、当然各電力会社は他社からの臨時の融通というものを当てにしているはずです。

 何万kWを融通する、とあたかも荷物の受け渡しのように言っていても、実際には電力会社間の接続系統は、常時閉になっていて融通が必要な時だけ開閉所で開けるようなものではなく、接続し続けているもののはずで、少々のアンバランスによる流れ込みは常時起こっていることで、めくじらを立てずにいましょう、という紳士協定でいるはずです。

●そういう絆があれば、一電力会社の不足は賄えるはずです。足りない企業がたとえ関電でも。

●仮にそのような絆がない場合には:

 閑話休題。これまで日本では停電が想定外に近い、なかなか起こらないことでした。その結果として、原発の事故の発生原因としての大規模停電については、ほとんどシナリオの中に入っていないものと思われます。

 が、今年夏の関電管内を始め、電力需給が本当に逼迫していれば、大飯3,4号機の2機くらい動いていたからと言って、厳しい暑さが続けば電力不足と停電になることはシナリオとして想定すべきですし、実際に停電確率は上がることでしょう。

 そこで、「大規模停電が引き金となって起こる原発事故」についてのリスク管理の想定がどのようなシナリオに基づいてなされているか、ということが重要になってくると考えます。

これは、従来の条件、動いている原発が潤沢にあり、さらにバックアップ電源として投入可能な予備の設備もあるという条件での再稼働問題と、電力需給がまさに逼迫していて、予備の設備が「ない」状況での再稼働問題とは違うということ、そしてそのリスクは十分に評価されていないことを意味します。

それでもフクイチ事故の第一の原因は受電鉄塔の倒壊であることと同じ条件が、大規模停電時の原発では起こることになります。

 タービントリップに始まる、タービンブレードのミサイル破壊という話も昔は議論されていたと思いますが、そういう話はどこへ行ったのでしょう?

大停電時のリスクは果たして今回のストレステスト(一次評価)で評価されているのでしょうか?

大停電が原因となり「人為ミスが原発の被害を圧倒的に拡大する」ケースはいろいろ想定できるはずですが、残念ながら今回のストレステスト一次では、そのような人為ミスは存在しないものとしており(つまりベスト&ブライテストが沈着冷静に対応と想定)、機械的な要件だけで炉心溶融までに至るケースを想定したというだけのものです。(未完のストレステスト二次で、炉心溶融後の人為的な各種対策によって、被害の規模がどのくらいになるかを明らかにすることになっています。)

 フクイチの事故に、どれだけ東電の現場の人の人為的ミスが関わったかを、今現在多くの人は認識しているはずです。

 それに似た人為ミスが、複数回起こる大停電という状況の内の一回で、炉心溶融にまで繋がることはありえないという保証は、政府はしてくれないでしょう。

 

そして他の原発が沢山動き続けている(電力供給が潤沢な)中での再稼働に比べて今回の大飯3,4号の再稼働は危険なのだ(どれくらい危険なのかは分からないけれど)という今の状況は、これからもずっと続くのだと思います。

 そう、ピークオイル後の電力不足時代には原発は危険すぎて運転し続けられない、という結論が出てくるかもしれないという話です。

 未来についての本当の選択肢とは、大規模停電が、原発事故の心配を伴う不安な停電なのか、その恐れのない停電なのかの二つなのではないでしょうか。

 

ツイッターで書いたことを拡げてみました。

 本当に需給が綱渡りな状態だと、原発動かしていれば大規模停電が原発事故に繋がる恐れがあり怖い。 RT : 【関電、和歌山の火力1機がトラブル停止】安定供給が脅かされる。大飯原発3、4号機の再稼働見通しが付かない中、綱渡りの電力需給が続く  

複数回の大規模停電の内の一回が原発事故につながると RT: 需給が綱渡りな状態だと、原発動かしていれば大規模停電が原発事故に繋がる恐れ RT : 大飯原発3、4号機の再稼働見通しが付かない中、綱渡りの電力需給が続く  


 停電リスクは、今後数十年以上に渡っての基調となると思います。

が、だとすれば、いかにして停電にresilientな社会に作り替えていくか、をこそ議論すべき。それが脱原発への最短距離でしょう。


5/7に追記

4/23の国家戦略室下に作られた需給検証委員会会合の場と、その後の5/4大阪府・市エネルギー戦略会議の場で、実際に関西電力の大飯3,4号機を動かした場合でも、夏場の需給にはギャップが生じる(つまり大停電のおそれがある)ことを関西電力は明らかにしました。ひどい開き直り発言として、メディアにも紹介されています。

 関西電力がどうして再稼働させたいか、のメディアでの評論もネット上で記録されています。

「どうしても原発を動かしたい関西電力の裏事情」(そもそも総研5/3全部書きだし)

きーこさん、すごい!すばらしい。

 


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