さて、9月13日にあった、広島地裁での伊方原発差し止め仮処分の第4回審尋を傍聴に行ってきました。(審尋は一般には傍聴不可です)
この時は四国電力側のプレゼンテーションの回で、もちろん原告(ではなく債権者)側から質問や反論が認められているわけではなかったので、ただ聞くだけしかなかったわけですが。
その四国電力のプレゼンの中では基準地震動の問題に特に焦点を当てた構成となっていて、さらに基準地震動を求めるべき活断層は何か、について発言がありました。以下、数枚の四電側資料を紹介しておきます。
●「地質学上の中央構造線は活断層ではない」とハッキリ言っていました。明らかに小松説について意識した発言だったと思います。
四国電力が想定している基本ケースの震源断層は、「中央構造線断層帯」と呼ばれている伊方から8−10キロ沖合の、半島に並行して走っている断層の下、深さ2kmから15、6kmまでの地点に想定しているわけです。(赤色の実線)「断層の幅」は一般に鉛直方向ならこの深さあたりとされています。
が、実際にはこの深さそのものでの断層のエコーは、元の海底を調べた図で見つかっているわけではありません。あくまで地下浅いところに「活断層」があることから、その下に延長されている震源断層があることを「推定」しているだけのものです。
実際には想定の不確かさ、という観点から、断層モデルを作るときには、基本ケースを鉛直の右横ずれ断層としていますが、それに加えて、北30度に沈み込んでいる面(まさに地質学上の中央構造線です)(黒字の点線の延長先)と、南側80度(鉛直からわずかに傾けた面)(図にはありません)に傾けた場合の2種類を、派生ケースとしてこの場合も断層モデルを作って比較評価をしています。
実際には、動くはずがない、と前段では否定していますが、不確かさの中では、地質学上の中央構造線も想定しているわけですw。まあ南側80度というのも、60度くらいまで横に傾けてしまえば、もう原発の直下に震源断層が潜り込んでしまってあまりに不都合だから少しだけ傾けたものを想定した、と指摘できるものです。
本来なら(京大グループが別府湾について提案した学説に基づけば)、右横ずれ断層ではなく逆断層(衝上断層)として動く場合を、この不確かさ評価の中で一緒に想定すべきでしたが、この場合はモデルそのものが全く違うモノになるはずなのでしておらず、(派生ケースとして)地質学上の中央構造線が動くことを想定しているとしても非常に部分的なチェリーピッキング、都合の良いとこ取りとなっているかと思います。
この四電の派生ケースの評価では、北30度傾斜で深さ2kmよりも浅い部分は震源ではない、とするのですから、実際にはこれは鉛直の基本ケースよりも原発からは震源断層が遠くなるので、小さな地震動の結果となるという評価になっていました。
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