1月の広島高裁仮処分での勝訴項目である、中央構造線についての論争が愛媛新聞で取り上げられました。
この項目については、はんげんぱつ新聞の2020年3月号でも小松先生に寄稿していただいています。
以下、原稿より紹介。
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伊方原発は、中央構造線のダメージゾーンにある
小松正幸(愛媛大学名誉教授)
1月17日広島高裁の伊方原発の運転差し止めの仮処分決定は、中央構造線の問題と火山の影響を根拠としています。前者は、佐田岬半島沿岸2000m以内にある中央構造線が活断層の可能性があるので、精査する必要がある、とする2017年12月に出された地震調査研究推進本部の「中央構造線断層帯の長期評価」(第2版)の記述を全面的に採用し、四電側が推進本部の議論に対して提示した疑義を明確に否定しました。この決定で伊方原発訴訟は新たなフェーズに入ったと言えるでしょう。
私たちは伊予灘の中央構造線について、四電および旧原子力安全保安院による二次元反射法地震探査断面図を解析し、中央構造線(すなわち三波川結晶片岩帯と領家花崗岩ないし和泉層群が接する境界断層)が伊予灘沿岸の数百m沖(伊方原発沖では約600m)を走っていること、これが活断層の可能性があることを主張してきました(17年3月号の反原発講座参照)。伊方原発を包囲する4県仮処分の中では山口地裁岩国支部での仮処分で初めて主張したことが裏書きされたのです。
2月22日愛媛県松山市において京都大学名誉教授芦田譲氏による「原発立地における三次元地震探査の必要性」講演会が行われました。芦田氏は日本物理探査学会の元会長であり、教員になる前は石油探査会社で物理探査の実務に携わっていた経験を持つ物理探査学界の権威。芦田氏は「学会内でも中央構造線が活断層であるかどうかについて議論がなされている。それを明確にするためにも海上の三次元反射法地震探査を実施すべきである。海底探査の現在の常識は三次元探査であり、しかも陸域を含めて沿岸部まで探査が可能。これは原発の安全性確認に寄与するばかりか、学術的にも意義が大きい」と結論づけました。
なお広島高裁の決定では、小松・早坂が提出した、佐田岬半島北岸は活断層である中央構造線のダメージゾーンであり、伊方原発はダメージゾーン上にある旨の意見書は、認められていません。芦田氏は四電の音波探査図については、敷地において一本の測線での探査のみであり、しかも十分な信頼できる補正を行なっていない、などの問題点を指摘され、この問題は松山地裁本訴での争点にもなりつつあります。■
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