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アッラアアア

宝島 12

2019-03-23 | 宝島 ワンダーランド
相田が家に戻った時、トランとおばあさんはすでに寝ていて、お父さんだけが茶の間で準備を進めていた。

お父さんは相田にナイフを手渡した。

今のところ武器になりそうなものといえばこんなものくらいしかない。
お父さんは言った。

他にトランと婆さんにもナイフを預けてある。もちろん、それがどこまで役に立つものなのかわからないがな。

お父さんは漁で使うモリを持っていた。

もしもの時は、それで婆さんをやれ。
お父さんは言った。

えっ?
相田は驚いた。

死の運命は死の運命を告げられた者へも対象を移すことができる。

いや、そうじゃなくて。
おばあさんも助かる方法を考えなきゃ!
相田は言った。

いいんだ。婆さんはいい。助かっても老い先が短いんだ。婆さんも薄々感づいてるはずだ、自分が犠牲にならなければならないことを。
それに、若いお前が生き残らなくてどうする。

……
相田は沈黙した。

そんな折、外から足音が聞こえた。
1人じゃなく、2、3人だろうか。複数の足音だった。

来たか。
お父さんは言った。

俺は自分の死の運命を避けるために、とにかくいまから来る奴らをやる。

相田。トランを頼んだ。

そういうと、お父さんは人影を追って家から出て行った。

相田はトランが寝ている部屋に行き、枕元でぐっすりと眠るトランを見つめた。
おばあさんが犠牲になるのはなんとかして避けなきゃならない。そして自分がトランを守るんだと、強く誓った。
相田はあたりを警戒しながらぐっすりと眠るトランの頭を撫でた。
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