逃げることに成功したジフは二人組が追ってこない事を確認しながら廃墟の物影で頭の中の状況を整理していた。
二人組が追って来なかったのは、彼にとって不幸中の幸いであった。二人組は彼が何の目的で彼らを狙ったのかわかっていない。そしてそれはジフにとって大変有利な状況を作り出していた。
二人組の女の方にジフは奇襲を仕掛けたが、それが失敗に終わった。最大の原因は情報が少ないにもかかわらず仕掛けた戦略ミスであると彼は自分を責めた。
そしてその奇襲によって、モリが壊れてしまったことは、ジフにとって最大の誤算だった。彼の手には有効な武器が無くなってしまった。殺傷力が格段に落ちてしまった彼は窮地に立たされた。
女の体はモリが通らないほど固かった。肌の表面に何かしらのコーティングが施されているのか、このままでは女の方を倒すのは不可能ではないだろうか。そんな考えが彼の頭に浮かんだ。倒せなければ死の運命は回避できない。しかしトランの予言はすぐそこまで迫っていて、立ち止まるほどの時間はなかった。憤る気持ちをゆっくり抑えながら、落ち着いて頭を働かせた。
取り急ぎ武器を仕入れなければ、と彼は思った。近接武器はダメだ、もう顔を覚えられてしまっている。できれば銃があれば望ましいが、そんなものこの島にあるわけがない。
しかしなにかを考えなければ、ジフは絶望的な状況でひたすら考え続けた。
そして漁師として生きてきた彼の頭に、ある考えが浮かんだ。
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