「沈黙の勇者たち」岡典子著
強制収容所には行かないと決断した人達と、それを支援した人達の話。
強制収容所に行かないと決めたユダヤ人の中には、「アンネの日記」のように、隠れ家にひっそりと隠れていた人達がいる一方で、偽の身分証を作ってもらい、ドイツ人として生きていた人もいたらしい。
ドイツ人の中には、お金のためか、ユダヤ人のためか、はともかく、自分の身分証をユダヤ人に提供してくれる人達がいたということ。
そして本人は、紛失届を出して再発行してもらうという方法。
偽の身分証をつくる職人が、身分証の写真だけを張替え、その上に偽の印を押す。
そうして、身分証を手にしたユダヤ人は、ドイツ人として働いていたりしたらしい。
危険といえば危険だが、配給制の当時のドイツで食料を手に入れるには、闇市で買うか、ドイツ人の援助に頼るしかなく、闇市での食料購入のためには、働くことも必要だったのだろう。
そのリスクの引き受け方が、見事。
それにしても、ナチスドイツに財産を奪われ、身ひとつになったユダヤ人が、戦後、移住したアメリカやヨーロッパの国々で、成功しているのはなぜなんだろう?
人間って、全部を失っても、またやり直せるんだな!
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