9.おわりに
6月20日に肋骨骨折してから一か月間、治りかけては傷つけられる苦しい日々を送ったウッチー。健やかで美しかった身体はボロ雑巾のように傷だらけになっていたことは色々なブログの写真やビデオから知ることができる。
何よりも動画をアップロードしてくださった方に心からの感謝と敬意を払いたい。あの動画がなかったら「熊同士の闘争」で風化されていたことだろう。
ウッチーが不幸せな仲間たちを天国から呼び寄せているかのように、動物たちの不審死が続いた。
シマウマの飛馬は扉のサイズ合わせをしなかったという準備不足により、馴致もなく20分もの間真っ暗な箱に閉じ込められ他結果、草食動物にあるストレス性のショックからの肺水腫で死亡。
キリンは過長蹄によりバランスを崩しての転倒の衝撃で胃の内容物が逆流し気管につまり窒息死。
どれもこれも動物に十分に時間をかけて世話をしないことによるもので偶然性のある事故ではなかったのだが、事故としてメディアには流れる不思議さ・・・。
新聞やニュースがいい加減なものだということを知って、ますます失望することとなった。どこか一つでも真相を報道してくれるメディアがないものだろうか。
動物園は少子化の波を受け過当競争の時代を迎えている。統廃合も視野に入れて、営利重視のよって動物たちの福祉がなおざりになることがないように国内の動物園全体で調整して、健全に運営をしていっていただきたいと思う。
旭山動物園の元園長さんが「ありえないことだ。」と驚いたこのウッチー事件の真相を追求し、無残な死に方をしたウッチーの無念をはらして安心して成仏できるように弔ってあげたい。それまでは不審死は続くのかもしれないと思う。悪いことはできないものである。
円山動物園は完全に失ってしまった信用を取り戻すためには罪を認め、何らかの処分を受け入れ、心を入れ替えて動物に向かい合わないと再生は非常に難しいものとなることを肝に銘じてほしいと思う。
しかし、今だにだれも責任を取らず、監視人数が足りずにああいうことになったから、獣医師を増やすことにした、というだけの改善案には反省の色が見えない。そんな保身に終始する姿勢には人々の反感を招くだけだと思われる。
そして、金儲けの道具としか思っていない人たちに飼われている不幸な動物たちは天国からウッチーからの呼びかけに次々と答えているかのように、旅立っている。それはこれからも続くのだと思う。
「ネグレクト型の虐待による死亡事件」だと管理センターから断罪されているにも関わらず、反省の色が見られず、四頭の象の導入も実行しようとしているという。
ウッチーのような残忍で哀しい虐待死亡事件を再び起こさないためにも慰霊碑を建てるよう要望を出している人が多いが、なぜだか頑として拒む円山動物園には、天誅が下ることはまちがいないと思う。
ウッチーのあの透き通るすべてを見通しているような青い瞳を、この事件とともに決して忘れることはない。