ただの偶然なのですか

私のお気に入りと日々の感想  

小説「包帯クラブ」天童荒太著の感想

2007年10月10日 | 読書
「包帯クラブ」と聞いて、綾波レイを思い出したのは私だけ?

子どもの頃、小さなキズをして絆創膏を貼ったとき、なんだか嬉しかった…。
見て見て、怪我しちゃったのよ~って感じで…。
その頃、私が遊びで書いていたマンガの登場人物も、よく包帯を巻いていたっけ…。

若い人たち向けに書かれた小説で、読みやすい文章でした。
これが、いわゆるラノベっていうやつかしら?とも思いましたが、
ドキッとさせられる文章や、ハッとさせられる言葉がたくさんありました。
高校生達の純粋な気持ち、将来への不安、世の中の矛盾に対する苛立ち、やるせない思い。
若い人の視点で書かれたこれらの感情は、大人になった私にも共感できる部分が多くて、大切なことを思い出させてくれました。

心の傷は目に見えない。でも、みんな傷ついている。
心の傷を傷として認めて、その場所に包帯を巻いて手当てをてする…。
何もできないかもしれないけれど、他人の心の傷を見ないふりをせずに、
その傷に寄り添う気持ちがあるだけで、世の中は生きやすい場所になるのかも…。

登場人物達の中のひとりの少年が、実際に他人の立場になってその気持ちを感じ取るために、爆竹を自分の体に巻きつけて車にこもって火をつけたりします。
その少年は大人になって、海外の紛争地域の取材をする映像ジャーナリストになります。

その気持ちは、数日前にミャンマーで亡くなられたジャーナリストの方の信念に通じるものがあるように感じました。






コメントを投稿