いぬくそ看板の向こう側

いぬくそ看板の背景に存在する「人間ドラマ」を紹介するブログです。

【いぬくそ看板散歩】駿東田方セレクション

2025-03-23 10:00:00 | いぬくそ看板解説
2025年3月22日、23日開催「ぬまりびと博覧会2025」にあわせて駿東田方(沼津・三島)エリアのいぬくそ看板を紹介する。

■オリジナリティを感じさせる駿東のいぬくそ看板
通常、いぬくそ看板は既成のものを活用するものだが、沼津・三島はオリジナルが多いように感じる。静岡県内でも首都圏に近く、県から自立する気質が旺盛である。インディペンデントな気運はどのようないぬくそ看板風景を形作るのだろう。一緒に見ていこう。


分類:義憤グループ公共セクター質実剛健型
必要なメッセージを最小限のリソースで絞り出しているあたりに、課題感の切実さを覚える。東海道線の線路沿いで、お散歩コースとして適当なところも注目したい。
横向きの看板もある。こちらは赤字を活用している。看板は北を向いているので日焼けして字が抜けてしまう心配が無い。

説得グループ企業セクターなかよし型
企業がオリジナルで看板を作成する例は少ない。特にサービス業以外はあまり見かけない。沼津の独自性がよくわかる。

規制グループ市町村セクターなかよし型
他市町村でもよく見かける「利発そうな男の子にフンの処理されて照れる犬」の看板だ。飼い主に向けて優しく呼びかけたり、美化を啓発する標語が書かれるのではなく、条例に言及するあたりに沼津のオリジナリティを感じる。

説得グループ市町村セクターオリジナルキャラ活用型
市町村のオリジナルデザインの看板は頻繁に見かけるが、オリジナルのゆるキャラを活用している例は非常に珍しい。静岡県内(特に静岡中部)の保守的な姿勢とは一線を画す新進気鋭の気風が感じられる。

義憤グループセクター不明カリグラフィー型
静岡県の県民性として穏やかさを指摘される事が多いが、この看板のように明確な怒りを示す場合もある。駿東と伊豆の微妙な気風の違いが感じられる。

説得グループ市町村セクター照れ犬型
石材屋さんが設置したと思われる看板だ。歩道が広いと犬の散歩コースになりがちで、店舗前の空間が広がった場所はフン放置されがちのようである。飼い主は客商売に対する配慮が無いのだろうか。悲しくなる。

説得グループ市町村セクター寺子屋型
伊豆箱根鉄道駿豆線沿いに設置されていた。看板自体の主張は穏やかだが、幹線道路に面した場所に設置されている事を考えると、不届きな飼い主への怨嗟の想いの強さが感じられる。


説得グループ市町村セクター看板掲示型
こちらも看板の中で看板を掲示させるタイプだ。制作意図としては、犬に何か主張させたいが、犬は喋れないので看板で訴えさせるといったところだろうか。らんま1/2で乱馬の父親がパンダに化けた時のメソッドを応用していると思われる。そう考えると、日本の表現の歴史における高橋留美子の功績は大きい。

説得グループ市町村セクター看板掲示型
神社前という事もあり、感情を抑え穏やかな印象だ。看板のイラストの中の看板(ややこしい)に記載されたフレーズが標語チックで楽しい。


説得グループ公共セクターわんにゃん型
伊東市内の看板。シグネチャを見ると広域に配布することを想定しているようで、特徴が穏やかな最大公約数的看板だ。漁港が近いからか猫への言及も暗に含まれているのだろう。


静岡県内でも特徴的な地域性を示す東部。首都圏に近く県からの独立心が強い。横浜東京方面への指向性が強いのと、都市の郊外化が進んでいるのとで、地域の都心部への求心力が穏やかであることから、地域内の独自性が読み取れる。まだ採取したサンプルが少ないため精度は低いが、今後頻繁に訪れて理解を深めていきたいと感じた。

【転載】いぬくそ看板は街に存在する究極の人間ドラマだ!

2025-02-01 00:00:00 | いぬくそ看板解説

マルイが運営していたサイト「偏愛メディア5PM Journal」に2024年3月27日寄稿した記事を転載します。5PM Journalサービス終了に伴うものです。



街に溶け込んで注目することなく通り過ぎてしまう風景。あるきっかけから、そんな見過ごしがちな景色に注目し探し続けるようになった。犬のフンの片付けを啓発する看板『いぬくそ看板』は、人と人の嫌悪と対立、そして和解の様子までを語る壮大なドラマなのである。

1.いぬくそ看板とは何か

住宅街や公園などを歩いていて、かわいいイラストで「ペットのフンは持ち帰ろう」のようなメッセージが書かれた看板をよく目にする。私はこういった犬のフンの片付けを啓発する看板を『いぬくそ看板』と呼び、その看板が設置してある場所の風景や看板自体について考察を巡らせることをここ十数年続けている。


ホンダ狭山工場付近にあるいぬくそ看板

私はいぬくそ看板をSNSで紹介していて、多くの人にこの観察趣味を広めようと活動している。私なりの分析と考察で、この趣味が広まることを願っている。

2.いぬくそ看板はドラマ

いぬくそ看板の魅力は、その風景が持つドラマ性である。
いぬくそ看板が設置される背景に想いを巡らせると、まず犬のフンが放置されている問題が発生したに違いないことが想像できる。フン放置の再発を防ぐためには住人が飼い主にフンの片付けを促すメッセージを送らなければならない。しかし、感情に任せて苦情を伝えられない。飼い主との衝突は地域の人間関係にハレーションを起こす心配があるからだ。また、飼い主が家の前に来るまで待つのもしんどい。だから看板を設置するのである。

一方で、飼い主にしてみれば大切な家族の体調に関わる。散歩中にしか催さないワンちゃんだったら外で用を足すしかないので、「犬のトイレは自宅で済ませてください」と看板に書かれたら反感が湧くだろう。飼い主も受け入れられるようなソフトでわかりやすい内容の看板でなければいけない。結果的に設置される看板はかわいいイラストとともに当たり障りないメッセージが添えられたものとなる。顔を合わせることのない人と人の静かな心理戦の結果が看板設置なのだ。

連凧型のいぬくそ看板

ただ、この写真を見ると住人と飼い主の心のぶつかり合いがよくわかる。柔和な表情をした看板が複数枚、無秩序に設置されている。当初1枚だけ設置されていたのだろうが、フン放置の被害が収まらなかったのだろう。メッセージをより的確に伝えるべく、2枚め、3枚めと数を増やしていったに違いない。そこに強烈な人間ドラマを感じてしまう。
冴えない風景写真でここまでドラマを語れることが他にあるだろうか。街中のありふれた風景の中で、いぬくそ看板は雄弁な語り部なのである。

3.いぬくそ看板との出会い

いぬくそ看板を初めて意識するようになったのは小学2年生の頃だ。

1988年当時、私の家には『現代下世話大全まちのヘンなもの大カタログ バウッ!』(通称VOW)という本があった。年の離れた兄が誰かから借りてきたものだったのだろう。VOWは宝島社発行の雑誌『宝島』に連載されていた読者投稿コーナーをまとめた書籍で、新聞や雑誌の誤植や変わった記事、今で言う路上観察などを紹介していた。その中に掲載されていた物件にいぬくそ看板があったのだ。
好事家の間で語り草になっている「Don't UNKO」の看板が掲載されていたのもこの本だ。兄は当時中学2年生。年上の文化であるVOWネタの洗礼を小2で受けたことが将来に繋がる。
VOWとの出会いから20年後、クルマに乗るようになって自宅の駐車場でやたらと犬のフンを踏むようになった。不潔で最悪の気分になるのだが、フンを踏まずに済む方法を考えるうちに、昔読んだVOWネタが頭をよぎった。いぬくそ看板である。月極駐車場だったから自ら看板設置はできないが、いぬくそ看板に対策を学べるのではないか。そんな考えもあり、街中の看板を眺めたり撮影したりするようになり今に至る。

4.いぬくそ看板の場所

いぬくそ看板を知ってもらうには街に出るのが手っ取り早い。それらが設置されている風景を眺めれば説明なんかいらない。
まずは住宅街。犬を飼う世帯が多ければお散歩する犬も多いから想像に易い。大通りから一本入った道沿いにある住宅の入口付近や月極駐車場のフェンスに看板が設置されているケースが多い。閑静な場所はワンちゃんが催しがちなのだろう。また、放置の現場を押さえにくい状況も飼い主に片付けない隙を与えてしまうのかもしれない。
公園のような開けた場所も多い。こちらもお散歩に適しているからだろう。風景が開けた線路沿いや高架道路脇の公園は、フェンスや柵、植わっている樹木に看板が高密度で設置されている。昼は人が集まるからフンを放置できないだろうが、深夜に犬の散歩をする場合は放置率が一気に上がりそうだ。

まとめると、①大通りから一本入った住宅街、②線路沿いか高架道路付近にある、③公園周辺。
この条件に合致していても、人通りがより多い駅前や大型商業施設の近くだとゴミの放置にフォーカスされるようでポイ捨て禁止の看板をよく見かける。人通りが少ない郊外は不法投棄の看板ばかりだ。

5.いぬくそ看板の分類

いぬくそ看板を数多く眺めていると、設置地域や設置位置、看板の内容などから分類できることに気づく。

いぬくそ看板四大分類マトリクス
設置する人の感情が昂ぶっているか落ち着いているか、設置場所が私的な場所か公共な場所かで縦横に軸を取り、マトリクスにした。最も頻繁に見られるものは軒先のようなプライベートな場所に冷静な状態で設置する『説得グループ』。公園や公共の場所でよく見る冷静タイプは『規制グループ』。公共の場所で相当迷惑がっている人がヒートアップしていると『義憤グループ』。私的な場所で怒りが爆発している『怨念グループ』。

街で見かけた看板を分類する時のヒントにしていただければ幸いだ。この分類は設置者と犬のフンを放置した飼い主との関係性を知る上での補助線になるだろう。また、この分類を応用して時系列を追うこともできる。

いぬくそ時系列図

同じ看板を、時間を置いて観察すると、犬糞放置の被害が終息するのがわかるはずだ。終息すると看板は撤去されるべきだが、プライベートな場所に引っ込めたり看板を放置したり、その結末は様々だ。
一方で飼い主側が看板に反感を持ってしまうと被害は悪化する。設置者はヒートアップする傾向にあり、行き着く先は進化しすぎた掲示となる。怨念に満ちた迷惑物件と化してしまう。
義憤グループから怨念グループ化

地域の迷惑事象である犬糞放置を防ごうとするあまり、公共物の落書きになって地域環境を悪化させてしまった例だ。犬糞問題は人と人との問題。こじらせると問題が拡大してしまうのだ。

6.街から学ぼう!

いぬくそ看板観察で得られた最も大きいものは、出来事の向こう側を見ようと努力する気持ちだと思う。かわいらしい看板のデザインの奥には、必ず人間ドラマがあり、大きな学びを得られる。通勤通学や散歩ジョギングの折、少しだけ街に目を向けると、意外な学びがあるかもしれない。
さて、あなたが犬のフンを放置されたらどんな看板を出しますか?
あなたが犬の飼い主なら看板出されてどんな気持ちになりますか?

【いぬくそ看板散歩】羽田から蒲田にかけてのジョギング

2025-01-12 20:28:35 | いぬくそ看板解説
前回の続きだ。

分類:義憤グループセクター不明ラミネート活用型
マトリクス:
フリー素材をプリントアウトしてラミネートしている。

犬糞問題を解決する策として、まずは市町村あるいは町内会に相談した上で地方自治体が配布している既成の看板を設置する事が多いようだ。しかし、こちらはインディーな精神で個人が解決にあたろうとしている。自ら課題を背負う気概が感じられる。

分類:説得グループ市町村セクターユニコーン型
マトリクス:
大田区内でよく見かける意匠の看板だ。「大迷惑!」の文言のみに注目し、ロックバンドの曲名にあやかって「ユニコーン型」と呼んでいる。
線路沿いは交差点の都合からか幹線道路に面する事が少なく、自動車の往来が少ない。結果的に犬の散歩道に適した環境となるケースが多い。京急線に乗り入れるカッコいい浅草線の車両を存分に楽しみたいのに腰を折られた格好だ。鉄オタ的な視点からも飼い主はマナーを守ってもらいたい。

分類:説得グループ市町村セクターユニコーン型
マトリクス:
先ほどの看板と同じ意匠のものが別の場所にも設置してあった。電車の次は自動車である。しかもポルシェのSUVだ。クルマの乗り降りでフンを踏むのは当然ショックな事だが、それ以上に愛車でフンを踏んでしまう事のダメージが深刻だ。タイヤハウスから臭いが取れないのである。

分類:義憤グループ民間セクター質実剛健型
マトリクス:
非常にシンプルで力強く、犬糞問題に困っていることが伝わってくる。ロケーションを見てみよう。
駐車場の敷地の中である。おそらく月極だろう。広々した場所が少ない都会の一角で、散歩中のワンちゃん達が広さを求めて駐車場の中に入ってしまうのだろうか。飼い主からしたら想定外の行動だろうからフンの不始末がどうしても発生してしまうと想像した。飼い犬は家族だと言う。家族と共に過ごすことの喜びとともに困難な様子も垣間見えてしまう。

大田区は都内でも広い部類に入る区だ。区内のエリアごとにいぬくそ看板の設置スタイルが違う。大森や田園調布といった高級そうなエリアとの比較も興味深い。今後の調査と考察にご期待いただきたい。

【いぬくそ看板散歩】大田区臨海部のジョギング

2025-01-04 21:19:37 | いぬくそ看板解説
従来いぬくそ看板の風景をInstagramで紹介していたが、一覧性を担保するため紹介の場をブログに移行する。

■2024年12月末の港区から大田区にかけて

分類:説得グループ民間セクタードッグパーキング便乗型
マトリクス:

住宅街のコンビニでよく見かける「店内に連れ込めない飼い犬を繋いでおく柱」だ。この場所は歩道を拡張するように整備された細長い公園で、そこにワンちゃんを連れ込まないように配慮したものだろう。この配慮の奥には過去に不届きな飼い主が度重ねて犬糞を放置したからだろう。カッコいい設備だが、裏は闇深い。

分類:規制グループ市町村セクターたべっ子どうぶつ型
マトリクス:

公園の入口に設置された看板だ。犬の形状を模したファンシーなもので、親しみ深い。
一方で、その看板に書かれている文面は堅い。区で制定された迷惑防止条例と思われる条文の一部が記載されている。硬軟のメリハリをつければ区民みんなが注意を向けてくれるはずだ。

分類:義憤グループ市町村セクターステンシル型
マトリクス:
ステンシルを活用した看板は町内会によるインディペンデントなものが多いが、大田区のシグネチャが入っているところを見ると公共性のより高いもののようだ。赤と黒の二色刷りというシンプルな構成である分、メッセージが強く印象に残る。

看板の背後にある「いしであそばないでね いしをいえとくるまになげないでね」の貼り紙が印象的だ。この辺は注意しないとマイカーが子ども達が投げる石の餌食になるのか。怖い。

分類:義憤グループ市町村セクター連凧型
マトリクス:
年末の羽田の街で見た風景だ。穴守稲荷が近く、初詣を案内する幟が立っていた。神域に近いこの場所で犬のフンを放置するのはいかがなものだろう。住民たちも対策に頭を抱えているのがわかる。犬を終生愛するためには地域との調和が必要だと痛感した。

この記事へのアクセスが良好であればこのスタイルを継続したい。

【いぬくそ看板風景紹介】不届きな飼い主の衛生観念

2024-12-14 11:49:06 | いぬくそ看板解説

概要
撮影日:2009年12月4日
場所:京都市中京区
分類:説得グループ企業セクターパワーポイント活用型
マトリクス:

 
コメント
病院は世の中で最も清潔に気を配る必要のある場所だ。病院の駐車場は屋外だが、それにしても駐車場利用者が犬のフンを踏んだ状態で病院施設に入るのは避けたい。そんな事を全く考えず無遠慮にフンを放置する飼い主の心情を逆に知りたくなるくらいだ。